【ハナレイ・ベイ】感想。吉田羊が追い詰められ戦った作品とは

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Not For Saleですが・・・

はっきり言えば、いらないな。これ。。。

内容は吉田羊が女優引退まで考えるほど追い詰められたという。

確かに・・・

吉田羊の一人舞台だからね。でも、素晴らしかったと思います。

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母として

最近の吉田羊は母親役が増えてきている。年齢的にはそんな年齢だしね。

村上春樹さんの短編集が元になっている作品。

吉田羊以外はみんな俳優じゃない。あ、村上虹郎は俳優か。それでもまだ卵だ。

なんと栗原類が吉田羊の夫役で出ている。しかもヤク中の役。

なんかすごい違和感がなかった。

ある意味すごい。

吉田羊演じるサチはシングルマザーで佐野玲於演じる息子タカシを育てていた。

仲の良い親子ではない。

タカシはハナレイ・ベイでサーフィンを楽しんでいた。

その最中、サメに右膝したを食い千切られ死んでしまう。

はっきり言えば、タカシは最初の10分も出てないかもしれない。

その後に回顧シーンで出てくるけど、まぁそこまで印象に残らない。

しかもサーフィンシーンから始まるけど、ボードの上で寝ているシーンで終わってしまう。

ハワイ・カウアイ島。

静かなキレイな海。

そんなところにもサメは来る。

遺体確認後、警察にカウアイ島は自然そのものなのだと言われる。

だから、カウアイ島を憎まないでくれと。

息子の死をどう受け止めていたのか、地元の人はフォローをする。

そして「息子さんの手形をとりませんか?」と言う。サチは「No」と言うが、結局は押し切られてしまう。

その手形は預かっておくからと。

サチは毎年同じ時期にカウアイ島を訪れていた。

日本人的だと思う。

死者を弔うということはその人の最後の場所でという気持ちになる。

そして10年後に、若者サーファー2人と知り合う。

大学生の彼らにタカシの影を重ねていたのか?

村上虹郎演じる高橋と佐藤魁演じる三宅。佐藤魁って人はプロサーファーなんだね。めちゃめちゃサーフィンは上手い。が、演技は大根。

英語がわからない日本人ってことでとりあえず・・・OK?的な感じ。

村上虹郎はサーフィン出来ていたのか?それなりにうまかった。

そして英語も。

吉田羊もだけど、ほとんどが英会話。

かなりキレイな発音だと思う。

ネイティブと違うから私でも聞き取れるくらいの感じで。

二人はサチのことを「おばさん」と呼び、仲良くなるが、サチは息子のことをはっきりとは言わない。

現地の人はサチが毎年来ていることを知っていて元海兵隊員のアメリカ人がサチに絡んでくる。

店のオーナーが仲裁し、終わったように見えたが、お店を出た高橋と三宅に再び暴言を浴びせる。英語が実は話せる高橋はおばさんを侮辱したことに対して「ファック!」とやってボコボコにされる。

警察からの電話で二人の元へ。

サチは「男ってバカよ」と言うが、高橋は「おばさんは何もわかってない」と言う。

二人が帰国する際に、サチに言う。海から片足の日本人サーファーが居ると。

それからサチは来る日も来る日も海岸を歩き、片足のサーファーの姿を追う。

そして気づく。

自分がいかに息子のことを愛していたかを。

そして手形を受け取りに行く。

手形に自分の手を合わせて「あなたに会いたい」と。

心の葛藤をどう表現させるのかきっと大変だったと思う。

クールな母親役。

息子は親の苦労を知らずに勝手なことばかり言っていて「嫌い」という感情になっていた。

それでも愛していたのだと。

難しいね。

子育てって。

シングルマザーで夫の遺産でピアノバーをはじめたとしてもそれを維持して子供を育てることがどんだけ大変か子供はわからない。

19歳にもなってと思ってしまうが、それもきっと親の責任なんだろう。

感動するとかしないとかはない。

女優吉田羊の魂の演技なんじゃないかと思う。

吉田羊の次回作は今度は子供を虐待する母親役でしょ?

とりあえず期待する。

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【ルイスと魔法の時計】感想。佐藤二朗が声優ってことで行ってはみたけど・・・

眠気との戦い

この映画はどの層がターゲットなんだ?

子供向けになるのか?

眠くてストーリーが繋がっていない。

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ルイスの声優は厳しい

この映画の主役は少年ルイス。その声優が高山みなみってことで、もうコナンくんの実写版にしか見えない。

そしてポンコツ魔法使いのジョナサンの声優が佐藤二朗でそのお隣さんのツィーマン婦人を宮沢りえってことだけの興味で行ってはみたけど・・・

久しぶりに後悔した。

1時間弱で帰ろうかとも思ったのだけど、半分意識が飛んでいた。

眠かったのはあるのだけど、それにしても面白みを感じない。

ストーリーは突然の事故で両親を失った少年ルイスが伯父のジョナサンの家に引き取られるってことなんだけどね。

ジョナサンはルイスのことを思っているけど、ジョナサンの家はちょっとおかしい。

そしてルイスは学校に通うけど、ここでも明らかなイジメがある。

まぁあそこまでスポーツが出来ないとねってくらい何も出来ない。

辞書が大好きって少年。

ジョナサンは大事なことをルイスに伝えなかったことでルイスは友達のタービーの気を引きたいために「開けてはいけない」と言われていた棚を開けてしまう。

そこにあったのは「降霊術」の本。

両親を失った少年。

本を読むことが好き。

「ハガレン」の流れだわね。

で、ルイスも呪文を唱えてしまって、屋敷の元の持ち主の強力な魔術師のアイザックを蘇らせてしまった。

アイザックを蘇らせたことで魔法の時計を動かされてしまうということでそれを阻止するために戦う的な感じ。

でもね、ただただ不気味な感じだけ。

ハロウィーンのかぼちゃが動くとか、人形が動くとか。

宮沢りえと佐藤二朗はいい感じだったけど、どうにもこうにも少年ルイスがコナンくんで

「博士!これ!」的な雰囲気で。

子供の話を聞こうとしない大人と大人の「してはいけない」をしてしまう子供とって構図で世の中を破滅にってよくあるようなないような感じで。

魔法の時計を探し出して動き出した時計を止めることは出来たのだけど、イマイチよくわからない展開でしたね。

大人だからわからないのか?

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【映画 「日日是好日」】感想。季節を感じる映画。

季節のように生きる。

自分の余命宣告を受けた後に出演を決めた作品だということを読んだ。

そこには主演が誰かということにこだわり、「黒木華」が主演が決定して樹木希林さんの出演が決定となったとあった。

黒木華さんは公開にあたり「樹木希林さんとの共演は「財産になる」」と。

20歳から44歳という24年間の女性を演じているが、自然でそれでもきちんとその年齢を感じることが出来たと思う。

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樹木希林さんの思い

希林さんご自身も茶道の経験はなかったようだけど、「教わる」演技と「教える」演技では「教える」方はまず自分が教えるだけのものを習得しなければいけないから大変だったのではないだろうか?

この映画は「茶道」を通して日本の四季をとても意識したものとなっている。

黒木華演じる典子は大学3年生から物語はスタートする。

同じ年の従姉妹の美智子役が多部未華子。二人とも「華」が名前にある女優さんだったのね。

典子と美智子は性格がまるで違う。

典子は良く言えば真面目。それでも理屈っぽくておっちょこちょいで不器用。

大学でやりたいことを探していて何も見つけられないと言う。

美智子は逆に竹を割ったようなタイプで明るい。

それでも近所のお茶の先生のところに二人で行くことになる。

そのお茶の武田先生が樹木希林さんだ。

最初は二人だけの教室。

帛紗(ふくさ)のさばき方

武田先生は基本を大切にしようと丁寧に教えているのだろうが、二人は「なぜ?」が頭に引っかかると先に進めない。

今の人に多い。

動作に意味はあるけど、最初から意味を知るよりもまず「型」を覚えてそれから「心」が入るからと言われて、納得できない。

「見て覚える」とあるが、見る前に一緒に完成がわからない動作は苦手だ。

まずお手本で「こうします」「では一緒に」と言われるとまだいいのだけど。

帛紗捌きが終わり、ちり打ち。ここでも「なぜ?」と聞く二人。先生は「なぜかしらねぇ〜」とその行為に深い意味はないのだと言うことなんじゃないかと思うが、それでもそれがしきたりというものだったりするのだろうね。

まずは「習うより慣れろよ」と言うが、頭がパニックな典子は楽しめない。

茶室に入ろうとするところからダメ出しの連続。

畳の歩き方も畳一畳を6歩で進んで7歩目で次の畳に行くようにと言われるが、歩くことすらままならないことに質問の連続。

武田先生は「意味なんてわからなくていいの。お茶はまず”形”から。先に”形”を作っておいて、その入れ物に後から”心”が入るものなの」と伝えるが、美智子は「それって形式主義じゃないんですか?」とこれまた意味のわからない返答。

武田先生としても「なんでも頭で考えるからそう思うのねぇ」と笑って受け流す。

世代としたら私と同世代の女性の四半世紀ということになる。

自分もきっとあの時代に「お茶」を始めたら、同じように頭で考えて理解しなければ先に進めない人間だったように思う。

典子は真面目で不器用なだけに自分がまるで赤ちゃんのように何も出来ないことでお茶をなかなか好きになれない。

それでもなぜか土曜日にはお茶に行く。

1ヶ月くらいでやっとちょっとだけ先生の言っている意味の端っこが理解できた瞬間を感じる。

頭で考えなくても手が覚えるから

大人になるとわかるのだけど、最初にいろんなことがわかるわけではないからまずは流れだけでも俯瞰で体感できるといい。

そうすると次の段階へ行きやすい。

仕事でもまずわからないなりにも資料を作成する。

そうしないと私が何をどこまで理解できていて何が正解か誰もわからないから。その資料を元に指摘をしてもらう。

人生なんてそんなものだと思う。

頭で理屈をこねる前にまずは見よう見まねで進めていけばどこかで自分の中に落ちてきている瞬間が見つかるはずだから。

ちょっと慣れた頃にお茶の教室がお休みになり美智子は旅行でお茶を休むという。

「一人で行くの嫌だなぁ」典子って・・・大丈夫か?

誰かに誘われたから、誰かが居るからと言うことで何かをしたことがない自分には典子はあまり理解の出来るタイプではなかった。

それでも嫌だと言いながらもお茶に行く典子。

典子の嫌の根本はやっぱり「真面目で不器用」なんだろうね。

器用さを求められているわけでもないのだけど、出来ない自分を知る行為が嫌ってことなのだろうか?

場面場面で季節の移り変わりがある。

二十四節気が表示され、掛け軸が変わり、床の間のお花が変わり、庭の雰囲気が変わる。

少しだけお茶の世界に慣れた頃、大規模なお茶会に参加する。

そこは想像していたような雅な世界ではなくて女性のバーゲンセールのような女性車両の席取りのような様相。

そこで本物の茶器の味わい方を教わる。

美智子は就職しお茶をやめる。

典子は出版社でアルバイトをしながらもお茶は続ける。

お茶を始めて2年くらいしたとき、梅雨の雨と秋雨の音の違い、掛け軸の文字の意味を考えるのではなくて、「絵」として眺めることで楽しめることに気づいてくる。

不器用な人間は同じところでずっと学ぶことができる。

私のような器用な人間は「器用貧乏」と言って結局は何も続かない。

典子は10年続けた頃にやっと限界を感じる。

それは15歳の少女の存在だったり、自分の成長のなさだったり。

10年も続けると自然、その場所では意見を求められる。

しかし何一つきちんとした知識を伝えられない。

だから続けられるのかもと思うのだけど。

武田先生もそんな典子に「工夫というものをしなさい」と指摘する。

重たい言葉。

武田先生にしても自分が教えた10年の重みをまるで流されてしまうことはキツイのではないだろうか?

器用に最初から出来る人間は居ないが、10年も一緒にいれば勝手に成長を求めてしまう。

が、私にしてみたら会社でも半分は優秀だけど半分は結局この典子のようにただ居るだけじゃないかと思うし、残るのはこのただ居るだけの分野の人だ。

なぜなら会社で役職につけるのは同年代の一握りであり、自分に可能性を感じればそこ以外の場所を求めるだろうから。

結局典子は結婚間近で相手の裏切りという表現だったが、浮気が発覚してそれを流すことが出来ずに終わらせた。

それは成長だと思う。

真面目で不器用そのものでもあったとは思うけど。

そして1年ちょっとで新しい恋人が出来てもお茶は続けていた。

33歳でやっと一人暮らし。

父親役が鶴見辰吾。

お茶の帰りに実家に寄ってくる娘を待っている。

夕飯を一緒に食べられると思っていたが、娘は彼氏と約束をしていた。

ある時、出かけようとしている典子に父親から電話が。「近くに来たから寄ってもいいか?」

出かけるからと切ってしまった電話が気になって夜に実家に電話するが、父親はもう寝ていた。

翌日なのか?

母親から電話が入る。

父親が倒れたと。

何事も後悔というのはこういうことなんだろう。

そして典子はお茶を始めて24年が経っていた。

武田先生から「お茶を教えることで教わることがある」と言われる。

ただただ真面目に続けている人間が師範になる。

そういうものなのだろう。

器用な人間はあまり師範という人には向いていないのかもしれない。

不器用な人間が教えることも不器用ながらも身体が覚えていることをきっと伝えていくのだろうと。

希林さんの存在感は「お茶の先生」と言う立場で若い人に残す言葉のように聞こえた。

言葉の一つ一つ、希林さんが大切にしていたものがセリフにのって伝えられているように感じた。

典子の人生の大部分がお茶になったストーリーではあるが、もう少し欲を言えば希林さんよりのストーリーになっていて欲しかったかもしれない。

どのシーンでも「涙」はない。

「感動」というものもあまりない。

淡々と、ただ淡々と四季の移り変わりの中にお茶の世界があり、人々の成り立ちがあるそんな映画だと思う。

だから淡々とした人生に感動はないが、セリフの中に生きていく上で大切なものがたくさん散りばめられていたと思う。

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【玉置玲央】教誨師で初めて見た俳優さん

初めての映画作品ということらしい

「教誨師」で大杉漣さんの次に印象に残っている俳優さんは?と言われたら間違えなく

玉置玲央さんだ。

誰だかわからないけど、中村倫也的な雰囲気もあるし、坂口健太郎の爽やかさもあるし、福士蒼汰のような・・・

ほんと「誰?」な感じだった。

33歳。俳優であり演出家。

柿喰う客という劇団員として舞台中心の俳優さんが初の映画作品で、昨年の「相棒 season 16」の第3話の車椅子に乗った菊池桃子出演時の菊池桃子役の介護士として出演していたらしい。

・・・ちゃんと観てなかった。

33歳ってことだけど、いろんな役をしてくれそうな予感。

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高宮という役

大杉漣さん演じる教誨師と対面する死刑囚の6人。

「教誨師」のWikipediaでキャストの欄、大杉漣さんの次に記載がある。

やはり重要な役どころということだと思う。

有名どころだと烏丸せつこと光石研だと思うけど。

それ以外の方はテレビと映画しか観てないし、そこまでちゃんと観ているわけでもないと知らなかったのが現実です。

その中で同じ「死刑囚」と言うカテゴリーでも同じ罪ではないはずです。

同じ思考でもないはずです。

それでも教誨師と対面して吐露するものはどの人も自分勝手だなと思う部分は変わらないのだなと思いました。

もう刑の執行を待つ身となった時、自分を飾ったり偽ることに何の意味もないことなんだということなんだろうと思ったりしました。

玉置玲央さんが演じた高宮という青年は17人の連続殺人という罪を負って死刑になった人。

玉置玲央さんを選んだのは大杉漣さんだったのだろうか?

自ら初主演作品にもう若手とは言えないが、実力のある役者さんということでキャスティングしたのだろうか?

彼の登場の最初は自分が死刑になったのは日本の裁判員制度のせいだと言う。

死体の写真を見せたことで「死刑」にまでいったのだと。

それを淡々と語る役。

罪の意識が微塵もない。

半笑いで自分の罪をどこかに置き去りにして死刑制度について議論を始める。

EU加盟国には死刑制度がないなど。

セリフは膨大だ。

教誨師としての大杉漣さんは困った顔で聞き手に回る。

それでも半笑いで説くセリフに教誨師として冷静にいられない部分が出る。

顔がひきつる。

そんな応酬。

「銀魂」の福田監督が佐藤二朗、ムロツヨシを自分の作品に出演させることでメジャーにしたように大杉漣さんは玉置玲央という俳優をそんな感じでもっとメジャーにしたかったのではないだろうか?

舞台俳優がメジャーじゃないとは言わないが、もっと映画やテレビで拝見できる俳優さんで居て欲しいと思わせるものがあったと思う。

この映画がどのくらいの反響があるかわからないけど、それでも彼の演技はかなり心に響いた。

彼の役はかなりセンセーショナルな感じであった。

それに負けない演技をしきったと思う。

今風の顔なんだよねぇ〜。

整った塩顔。

最初に言ったように似たような顔の俳優さんがゴロゴロいる。

その中で輝ける存在になるためにどうしたらいいのかわからないけど、それでも大杉漣さんの意思を引き継がなきゃいけない俳優さんだと思うから、しっかりと受け止めていって欲しいとほんと思う。

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【教誨師】感想。大杉漣さんの遺作にして大杉漣さんらしい感じを受ける。

大杉漣さん初プロデュース作品

皮肉なものでこれが最初で最後のプロデュース作品になってしまった。

今年の2月21日。まさかの突然の訃報に驚いたのがついこの間のようだが、既に7ヶ月が過ぎた。

本当ならこの時期多くの番組で番組紹介をしたかっただろう。

そんな大杉漣さんを観られたはずなのに本当に残念だけど、大杉漣さんのお人柄に合い通じる役なのではないかと思った。

公開する劇場数がそんなにないし、1日に2本しか上映されないからか、満席だった。

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教誨師というお仕事

「死刑囚」は刑務所に行くことがない。死刑執行のその日までをずっと拘置所でただただ孤独に生きる。

それはこの夏に立て続けに死刑執行が行われたことでも知られたことになった。

死刑囚以外の懲役は刑務所に送られてそれぞれの役務を行うことができる。

死刑囚にはただ「待つこと」しか許されていないのだなってことを実感する。

大杉漣さんはプロテスタントの牧師という役で月に2回教誨師としてボランティアで死刑囚と面会する。

6人の死刑囚。

きっと実際もあんな感じなんだろうなぁって。

死刑囚となった彼らではあるが、見た目が違うわけでもモンスターなわけでもない。

それでも思考のズレを感じる。

死刑囚にとって教誨師は唯一の話し相手なのかもしれない。

なぜ彼らは教誨師と面会するのか?と言うことが疑問でもあった。

教誨師と話して何が変わるのか?

既に確定した刑が変わることはない。そして教誨師は「死」が国によって定められた人々の何に寄り添う存在なのだろう?

大杉漣さん演じる佐伯は教誨師となって半年という役柄で寄り添うことを模索しているという雰囲気が伝わってくる。

最初に登場した死刑囚は鈴木という死刑囚。鈴木は佐伯の問いかけに反応しない。心を閉ざしているのか何かなのかもわからない。

次は光石研演じるヤクザの組長の吉田。とても気の良い人物で、佐伯のことを気遣う人物でもあった。

年老いたホームレスの進藤役の五頭岳夫。まず言い訳しかしない。自分を守るためのことなんだろう。そんな進藤に佐伯は聖書をすすめる。

烏丸せつこが関西出身のおばちゃん丸出しの野口役で登場。自分のした罪をまるで見つめることはなく、文句を繰り返す。でも、見回りの橋本という刑務官の話を真剣にする。

気弱な小川役の小川登。家族とも縁を切られてしまったが、子供のことを思いつづける。

大量殺人者の若者、高宮役の玉置玲央。世の中をバカにし弱者が生きていてもしょうがないから自分が変えようとして行ったとまるで自分の犯した罪の大きさをわかっていない。

この6人と向き合うだけの進行。

拘置所の1室。

夏から秋くらいの季節からスタートしたのだろうか。

対面を繰り返しているうちに心を開いて、自分がしたことを話し出す人も出てくる。

そして佐伯自身の生い立ちも出てくる。

なぜ教誨師となったのか。

そもそもどうしてプロテスタントになったのか。

母親に捨てられた中学生なのか?高校生なのか?

自分のために兄が殺人者となってしまい、罪の重さに耐えかねた兄は20で自殺をした過去を背負っていた。

死刑囚一人ひとりの「生」との向かい合い方に寄り添おうとする中で全ての死刑囚は「罪」とは向き合ってはいない。

ほとんどが身勝手な考え方だ。

その中でホームレスの進藤は少し気の毒な部分がないことはないなと思った。

聖書をすすめられたものの読んでいないことを言えない。絵本レベルのものを一緒に声を出して読んでみましょうと言う佐伯だったが、読めない。

そこでやっと佐伯は進藤が字が読めないことを知る。

そんな進藤に佐伯は「大変な人生でしたね」と同情するが、それを否定する進藤。大変だったのは自分じゃないと。

最初に勤めた場所で自分に名前を書いて欲しいと頼まれたことで喜んで連帯保証人のサインをして債務をおったことについても「自分がそんな大金を借金出来たことが嬉しかった」と言う。

そういう考え方もあるよね。

それでもその後は車で人を引っ掛けてしまって賠償金の支払いをしなければならなくなり、借金も返せなくなってしまったと。

佐伯は字を教えることにする。

「死」を迎えるだけの人生の中でも出来ることはある。そして洗礼を受けたいと願い出る進藤に洗礼することを伝えると脳梗塞で倒れてしまう。

一命をとりとめたことはどう思うのだろう?だって、死刑しか待ってないわけでしょ?って考えはだめなのか?

最初の頃はまるで反応を示さなかった鈴木は佐伯との面会を繰り返し、佐伯が自分のことを話す中で徐々に自分の心も開いていく。

が、それは未だ罪の意識のない感情が吐露されただけでもあった。

彼はストーカーだったのだろう。そのストーキング行為の中で勝手な妄想でその対象となった女性含め家族をも殺害したことのようだ。

そして被害者となった彼女が心の中で自分のことを許してくれたとも言い出す。

うーん、それを教誨師としてどうすることもできないのだろうね。

被害者への謝罪をさせるための存在ということではないのだろう。

そして生まれ変わるなんてことはないのだから、生きている残りの時間を寄り添うことなのか?

ヤクザの組長の吉田は話をするが、その中で他の罪の告白まで行う。

「二人だけの秘密だぞ」と。

その約束を守っていたが、刑務官との話の中でそれが刑を伸ばすための作戦だということを知る佐伯。

吉田は生への執着から夜中にノイローゼで壁を殴って大暴れをしていた。それを他の死刑囚から聞いていた佐伯はまさかそれが吉田であったことに気づき動揺する。

秋から冬になり、執行があるはずだと疑心暗鬼になっていく吉田。

最初の快活さはなくなり、秘密をなぜ公にしなかったと詰め寄る。

唯一の女性の野口は首謀者として死刑になったらしく、なぜ自分だけと被害妄想しかない。

野口の話の中の刑務官も実際にはおらず、妄想であった。

妄想とも付き合わなければならないわ、勝手に逆ギレするわ、罪の意識は皆無だわって人間と向き合う人ってどれだけ器が大きいのだ?

小川は子供への思いを毎回話す。そして自分の罪のために妻子がどうなったのかということまではなかったように思う。

小川は稼ぎが少なく子供に野球をさせていたが、それを辞めさせなければならなくなった。

そして会費とかいろんなことで借りていたバッドを返すということでチームメイトのところへ行くとそのバッドはバッドを買ってもらえない息子にあげたものだと言われる。

そしてお金を払ってもらう話が既に終わっていると言われ帰ろうとしたが、そこで子供のことを侮辱されてきっと溜まっていた不満が暴発する。

金属バッドが血まみれになっていたことしか覚えていないと言う。

何が悪かったの?

稼ぎが悪いことは悪なの?難しいね。言葉で攻撃する人には罪を問えず、それで耐えられなくなった人が結局は最後のトリガーをひいてしまう悲劇は結構ありそうな気がする。

殺人を肯定するつもりはないが、それでも相手を逆上させるまでのことを言うことを考えるべきだ。

若者の高宮は佐伯の話の矛盾を突く。自分がしたことの罪の重さは関係なく佐伯の言う言葉ひとつひとつ、世界で起こっていることひとつひとつに対して自分の意見を通そうとする。

佐伯はそんな高宮の質問に真摯に向き合う。

佐伯は高宮の弱者が生きててもしょうがないという考えには我慢ならないのか、かなり反論するが、高宮に「ベジタリアンなのか?」の質問に「違う」と言い、「なぜイルカは食べないのに、牛豚は食べるのか?」と言われるとつい「イルカは知能が高いから」と言ってしまう。

それって本質的に同じじゃないのかと。

生きているものは平等だと言っているのにと言われる。

高宮のような大量殺人者には自分が世界を変える要素の人が多いのか?

それでもそんなことは伝え聞こえることはなく、精神異常者ではあるが、罪は罪として罰せられる世の中だ。

そう、高宮も最初に「自分は統合失調症だ」と言っていた。

なら何をやってもいいってわけではないだろう?

知能犯というのか?一般的な「常識」が通用しない人種との対話は厳しいだろう。

ヤクザの組長の吉田の予想通り、12月の末に佐伯自身初めての刑の執行立会が決まる。

6人の誰が?

どういう基準で決まるのかわからないが、それを知ってからも死刑者と対面する佐伯。

高宮に対し、「自分は高宮さんが怖かった。なぜかと言えば高宮さんのことを知らないから」と言う。私がもし高宮の立場だったとしてマニュアル通りで接してくる佐伯に対して高宮と同じような態度を取るかもしれない。そこにある本音とかがこちらもわからないから。

でも、佐伯のこの言葉で高宮は少しだけ佐伯の言葉を受け入れる。

佐伯は高宮と寄り添っていきたいと言う。

他の死刑囚に対しても同様だが。

一番すごかったのは佐伯の兄役の少年だろう。

名前はわからないのだけど、大人になった弟大杉漣さんに兄として接しなければならない。

タメ口で兄でという関係性。

いくら役とは言ってもすごいなぁ〜って思った。

その兄から「嫌なら逃げればいい」と言われても佐伯は寄り添う気持ちを固める。

死刑執行。

立ち会うということが出来る精神力ってどれだけのことだろう?

最後に少しだけ拘置所以外のシーンがあり、妻との会話がある。

そこには受刑者にはお酒はしないと言っていたが、お酒の飲み過ぎを窘められるセリフがある。

求められる像があるのか?

最後は一人歩いてフェードアウトしていくシーンで終わる。

エンディングに音楽はない。

何か大杉漣さんそのものを見送っているそんな感じになっている。

あまりにも突然の別れで66歳でまだまだこれからいろんな作品を観せてくれると思っていただけに悲しみしかない。

そして今日から「日日是好日」も先行上映が始まった。

樹木希林さんの死も同様に悲しいが、樹木さんは自分の余命を受け止めて仕事をセーブするのではなく出られるものには全て出て逝かれただけにちょっとだけ違う感情がある。

樹木さんが残したかったものが作品に盛り込まれているような気がするから。

大杉漣さんの作品はまだこれからも出演するという雰囲気しかないから。

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【パーフェクトワールド 君といる奇跡】感想。二人でいられるだけの幸せ。

感想が難しい

どうしても障害者という役に対してどう表現していいのか、自分のボキャブラリーのなさに気づく。

現実にきっとたくさんある問題なんだろうなぁって。

泣ける。

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足の動かない演技

岩田剛典演じる鮎川樹こと先輩は杉咲花演じる川奈つぐみの高校時代の憧れの先輩。

岩田剛典、29歳で高校生役をした勇気を褒めよう!まぁキレイなお顔ですからね。。。でもさすがにキツイかなと。

あんなカッコいい先輩居ないでしょって感じ。大政絢もセーラー服で登場してた?全然気づかなかったけど。

杉咲花にピッタリの役って感じがしてしまう。

川奈はインテリアコーディネーターの普通のOL。仕事で見ていた雑誌に鮎川樹の記事があり、鮎川の会社と飲み会があるとのことで高校以来の再会を果たす。

鮎川も川奈のことにすぐに気づく。

明るくカッコいい先輩。笑顔は素敵だけど、突然目の前に車椅子に乗る姿。

固まる川奈。

それでも、憧れの先輩に出会えたことで繋がりを持とうと頑張る。

内気で気弱だった高校時代には告白さえも出来なかったことを後悔していたこともあり、少しだけ大人になった川奈は先輩と一緒に居ることを楽しむ。

二人で食事に行く。

お店の方に手助けをいただいて店内へ。

そこで先輩は川奈に説明する。

大学3年の時に自転車に乗っていて車と接触して脊椎損傷で下半身不随になったと。

そんな告白を聞いても再会出来た喜びの方が勝っていた。

わかるなぁ〜って思う部分もあるけど、現実的にはどう行動してしまるだろう?

そんなことを考えてしまいながらの鑑賞になってしまう。

鮎川の会社の先輩役のマギーから連絡があり、鮎川が入院したことを知る。

病院に駆けつける川奈。

久しぶりに再会した先輩と後輩の間柄で連絡をされてしまった鮎川はどう思っただろう?川奈は心配だから駆けつけて「手助けをしたい」オーラ満載になっているけど、何が正解かがわからない。

鮎川はコンペ作品用の絵を高熱の中仕上げようとしている。

川奈が手伝う。

打ち解ける二人。

同窓会。鮎川と二人で出席した川奈だったが、鮎川は昔の彼女の大政絢演じる美姫先輩と話す。事故の後に別れていた。美姫は「結婚することになった」と報告する。

鮎川が事故の後に美姫のことを思って別れたらしい。

が、美姫に素直になれない鮎川を見た川奈はドライブに連れ出す。

そこは美姫の結婚式の教会だった。

怒る鮎川に川奈は「美姫先輩のためにも先輩のためにもきちんと思いを伝えて」と言う。

鮎川は遠くから美姫に「おめでとう」と伝えることでスッキリし、川奈に「連れてきてありがとう」とお礼を言う。

お茶をしているところで捨て猫を見つけて飼うことにした鮎川。

また熱を出して入院した鮎川の元に母親役の財前直見が。

母親としては地元に戻って自分の近くに居て安心させて欲しいと願うが、鮎川は「自分はたくさんのことを諦めたのだから仕事はさせて欲しい」と言う。

足が動かないは目に見える症状であって、もっと怖いのは合併症などの併発なのだと言う。

痛みを感じないことの怖さなんだろうね。

そういうことを知らなかった。ちゃんと考えたらそうなんだろうけど、考えることも失礼かなと思ってしまう。

20年以上前パラグライダーをしていたことがあったが、目の前で仲の良かった方が墜落して圧迫骨折でだったのか、頚椎損傷だったのか・・・いずれにしても下半身不随になった方がいたが、数年後離婚された。

母親は息子に地元の同じ女の子が居たことを嬉しく思いながらも、親の気持ちはわかりながらも後輩だと言い張る。

川奈は自分の気持ちをしっかり伝えようと退院した鮎川の元を訪れると雨の中、猫を探している。

雨の中、傘もささずの鮎川の代わりに自分が探すと言う。

そして「自分の気持ちも知らないで勝手に決めつけないでください」とハッキリと言う。そして「好きなんです。先輩のこと。」とやっと思いを伝える。

川奈の本気を受け止める鮎川。

「好き」の押し売りなのか?受け止めなのか?

この辺が難しい。「好き」だけではどうにもこうにもって感じになっていく。

お盆休みに鮎川の車で帰省する二人。川奈の自宅近くで川奈の父親役の小市慢太郎と会うが会釈だけで去っていってしまう。

川奈の年頃に親は心配らしい。母親役が伊藤かずえ。財前直見と伊藤かずえも母親役よね。そうよね。同世代なんだから。

川奈は鮎川とお付き合いしていると両親に告げる。

そして、鮎川が車椅子に乗っていることも。

無言で部屋に行ってしまう父親とお付き合いには反対だと言う母親。

「娘の幸せを思う親」

うーん、何が幸せで何が不幸せなんだろう?それをいつまで親が決めるのだろう?

親の気持ちは「別れなさい」の現実に暗くなる川奈。それを感じる鮎川。

「一緒に居るだけで」は難しい。

障害というものは世間の壁になることなのだろうか。

川奈は自分が先輩を支えたいの気持ちを強め、ヘルパー役の芦名星の代わりを自分がすることに。

仕事をしながら毎日鮎川の元へ通いだす川奈だったが、疲労困憊になり、線路に落ちてしまい、足を怪我する。

助けられない鮎川の無念。

救急病院へは川奈の同級生役の是枝の須賀健太が一緒に居る。是枝は川奈の思いを知りながらも「恋愛って頑張るものじゃないだろ?」と言っていて鮎川にも川奈に無理させないでと言う。

須賀健太かぁ〜。茶髪で誰だろう?って思ってた。うん。

言われたらそうなんだけど?そうでもないな。

でも、是枝はずっと鮎川を見ている川奈を見てきているのよ。それってきっと是枝は川奈のことを好きなんだろうなぁ〜。

入院した川奈に寄り添う鮎川だったが、そこに川奈の両親も駆けつける。

「家族だけにしてくれないか?」と鮎川を帰らせてしまう。

後日、鮎川が病院を訪れると川奈の父親に呼び止められる。

川奈の父親は頭を下げて「娘と別れて欲しい」と言う。

それって・・・親のエゴじゃないのか?自分に負い目のある鮎川にとったら自分のために過労で倒れて助けることも出来ない無力さを感じてたところでダメ押しって感じで辛いよね。

「好き」の押し売りをしたのは娘なのに。

それを受け止めたらその親から止められるって日本的なのか?

どうして親は子供をどこまでも自分の占有物的な思考なのだろうか?

幸せと不幸せは誰がはかれるの?

鮎川の姿を見かけた川奈は自分も車椅子になったことで目線が同じことを喜ぶ。鮎川は川奈に「退院したら遊びに行こう」と伝える。

退院した川奈と鮎川は遊園地に。

よこはまコスモワールドだよね。きっと。

観覧車に乗って大切な話をするのだけど、観覧車が止まったまま?

全然動いていないことに気が散ってた私だった。

それでも、鮎川は川奈に「川奈にしてあげられることが少なすぎて辛い。別れよう」と言う。

泣くよね。

さすが「先輩のために」が上手く回らずに迷惑をかけた川奈も「いや」と言いながらもそれ以上は言えない。

別れてしまった二人。

仕事に邁進していた川奈に連絡があり、父親が脳梗塞で倒れたということで実家に戻る。

幸い軽度だったことでそんなひどい状態ではなかったらしい。

そこで高校に行ったりして先輩とのことを考える川奈。

今度はヘルパーから連絡があり鮎川が大変な手術をするという。

東京に戻りたいと両親に告げる。

父親は自分が脳梗塞をしたことで気持ちが変わったと言う。

病院に駆けつけるとヘルパーから手紙を受け取る。鮎川が渡してほしいと託していたものだ。

そこには鮎川の川奈へ対する思いが綴られていた。

いなくなって初めて気づく大切なこと。

手術は無事成功し、二人で思い出の高校の桜の木の下。

そこで「俺とずっと一緒に居て欲しい。結婚しよう」と伝える。

障害はハードルなのだろうか?

杉咲花のウェディングドレスが大人っぽかった。

岩田剛典は車椅子に乗っているとは言ってもタキシード着せたらやっぱりカッコいいわね。

岩田剛典の演技は大変だったと思う。

まず、足に力が入らない演技ってどういうことだろう?ってこと。

意識をしなくても力が入り、バランスを取ることを人間は最優先でしているからこそ、意識してそれをシャットダウンするって出来るのか?

一番最初に車椅子に乗り込むシーンで足がまるで「モノ」になった感じの演技をしていた。

自分の意思ではどうにもならないから手で持ち上げる、寄せる、位置を正しくするとか。

そして筋力がなくなるから自然、足が細くなる。

ダンサーがメインのお仕事なんだよね?パフォーマーって?

あんなに細い?ってくらい細い。

力を感じない。まぁ車椅子生活が6年って言ってたんだっけ?にしては上半身が細い感じはあったけどそれはしょうがないよね。

でも、健常者が車椅子バスケって大変じゃないかな。

結構練習されたのだろうな。

最後は結ばれたわけで良かった良かったなのかもしれないけど、いろいろ考える。

「幸せってなんだろう?」って。

純愛は純愛。泣けたし。

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【散り椿】感想。全ての出演者が自ら名前を書いたらしい

オープニングロール

最近、オープニングで主演、助演の方の名前が出ることがあるが、この映画では縦書きの名前が表示されたのだけど、「?」「手書き?」

まず「岡田准一」が出て、「西島秀俊」と出て・・・

「黒木華」が左右対象の漢字だからデジタルっぽくて・・・

でも、エンドロールは人の名前は全て手書き。

「誰が書いたのだろう・・・大変ね」って思っていたのだけど、なんか癖の統一感がない。

え、全員の「サイン?」

ってことで一番の達筆は監督の「木村大作」でした。

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時代劇だけど美しさの追求

木村大作監督作品。

79歳と言うご年齢から考えると監督と言う仕事は大変だったのだろうか?

舞台挨拶で監督が涙するのはあまり聞かない。それを見て岡田准一までもってすごい絆を感じた。

監督最初の作品「劒岳 点の記」を観に行き、「春を背負って」を観ていないことに気づいた。

そして岡田准一との共演。

最近のジャニーズは時代劇をしたがるように思う。

岡田准一は昨年は「関ヶ原」でも時代劇に出ている。

「関ヶ原」は観ていない。基本的に時代劇は武士の殺陣のシーンばかりというイメージであまり好きではない。

この映画を観に行ったのはいいが、まぁ眠気がすごくて大変だった。

とことん時代劇好きじゃないのね。

でもね、じゃあなぜ行ったのか。岡田准一が好きってわけではない。ただただ「木村大作監督作品が観たい」以上みたいな。

好きではないけど、時代劇を観ないわけではないし、「銀魂」だって殺陣のシーン満載だし。

「散り椿」は殺陣が本格的。

すごく疑問だったのが、刀で切ってもほとんど血が噴き出すシーンを観たことがなかったってことだろう。

バイオレンス系ではない。

でもリアリティを求めているように思う。

冬。雪の中のシーンでいきなり切り合う。そこでは全然血に染まるようには見えなかった。

岡田准一演じる瓜生新兵衛が4人に襲われるが4人を切る。

家では麻生久美子演じる妻の篠が切り合いをしてきたことを袖口の汚れで気づく。

ストーリーをまるでわからないまま話は進む。

故郷の藩を追われた新兵衛。篠は夫に最後の願いとして自分の代わりに自宅の「散り椿」を見ることを頼む。

そして、西島秀俊演じる榊原采女を守ってほしいと。

榊原采女はかつて篠と夫婦になると思われていた相手で新兵衛と同じく一刀流平山道場で「四天王」と呼ばれた一人だ。

藩を追われた身でありながら篠の願いを胸に藩に戻る。

まぁ関係が複雑だ。

まず一刀流平山道場で「四天王」が 岡田准一演じる瓜生新兵衛
西島秀俊演じる榊原采女
駿河太郎演じる坂下 源之進
緒形直人演じる篠原三右衛門

緒形直人がいい感じになってるわぁ〜。

駿河太郎、まだ顔が認識しきれてないから観てて「誰だっけ?」って感じだった。時代劇だしね。

扇野藩の勘定方で不正を暴こうとしたことで端を発したこと。そのことでまず坂下家の当主だった源之進が横領の罪を着せられて無実を主張するも切腹に追い込まれる。だから、駿河太郎は一瞬なんだよね。登場が。

奥田瑛二演じる石田玄蕃がくせ者。結局この藩の家老に切腹させられたわけで。

玄蕃って誰だろう・・・ってずっと思ってた。

そして奥田瑛二ってあったけどどこに居た?って。

まさか玄蕃が奥田瑛二だったとは!?

そうかぁ。そうだったか。

登場人物には驚いていたのだけど、それ以上に今の日本にまだこの景色があるのか?って思うくらい、景色が素敵。

しかもオールロケ。

富山、彦根、松代。

そっかぁその辺りだよね。

瓜生新兵衛が藩に戻る途中、坂下家の当主となった若侍の坂下 藤吾役の池松壮亮が扇野藩組頭宇野十蔵役の新井浩文と遭遇する。

藤吾は篠の弟であり、新兵衛の動向に気を遣っている。

そして篠の妹で源之進の妻里見が黒木華。

新兵衛は平山十五郎役柳楽優弥の元を尋ねる。

平山道場の道場主。四天王の一人だった新兵衛に誰も敵わない。

新兵衛は十五郎に聞きたいことがあると言う。

十五郎は知っていることを伝える。それを聞いた新兵衛は複雑だ。

新兵衛は坂下家を訪れ篠の死を伝える。

里美は新兵衛を信頼しているが故に姉の言葉をそのままに行動しようとする新兵衛に「お優しすぎます」と涙を流す。

姉の言葉の裏には新兵衛に「生きて」というメッセージがあると伝える。

扇野藩御用達の和紙問屋の田中屋惣兵衛が石橋蓮司。もうさ、どの映画を観てもこの手の役は石橋蓮司さんって感じくらい。以外に適役が浮かばないのもあるけど。

惣兵衛は新兵衛に護衛を依頼する。

惣兵衛は横領の事実を書いた書を持っていた。

それを奪われる危険があった。

その書を預かる新兵衛であったが、惣兵衛が襲われる。そして藤吾が人質に取られてしまう。

助けに行く新兵衛はその書を里美から采女に預ける。

そこには横領の事実があった。

扇野藩若殿千賀谷 政家が渡辺大。まぁわがままな若様を演じて采女の言葉を聞かずに警備が手薄だと言っているのに三右衞門に命じて出かける。そこで三右衞門が若様を守って撃たれて亡くなる。

采女は側用人としての責任を取るようにと玄蕃に迫られる。

新兵衛と采女は玄蕃との戦いへ向かう。横領を記した紙を藤吾に若殿に渡すようにと。

藤吾は十蔵に行く手を阻まれるが、新兵衛に剣術を教えてもらっていた成果か切り勝つ。

若殿は自体を把握し、馬で向かう。

その頃、戦いが始まり、采女が矢を放たれてしまう。

新兵衛着火!

まぁ血が噴き出す噴き出す。最後は新兵衛の顔は血だらけで赤鬼の形相。

首筋に刀を当てて恐怖を与えてから引くのね。そっちの方が倍怖そうだ。

結局、藩の重要な人間がいなくなってしまったが、藤吾筆頭に藩を立て直すことになる。

藤吾は榊原家に養子として入り、芳根京子演じる篠原美鈴と結婚して跡取りを作って坂下家、榊原家を絶やさないようにと言われる。

大変な時代だ。

新兵衛は篠を弔いまた藩を後にする。

時代背景がわからないと登場人物の関係も「?」のままだ。

でも音楽、景色の入り方が普通の時代劇とは違う。

庭のちょっと薄暗い雰囲気と大自然の広がりを感じる部分がとてもいい。

もう79歳?まだ79歳?

まだまだ木村大作監督作品が観てみたいと思う。

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【樹木希林さん】訃報から1週間経過し存在感の大きさを感じる

今年の訃報は悲しい

大杉漣さんの訃報があり、桂歌丸さん。

そして樹木希林さん。

樹木希林さんの存在感は今の映画には必要な存在だったからつい考えてしまう。

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次を演じられる人

2000年以降なのか?テレビよりも映画の人になった感じの希林さん。

あまりテレビドラマに出られることがなくなった。

その前まではテレビもあるし、映画もあるしって感じだったみたいだけど。

私の中では物心ついた頃からおばあちゃんの役だったから、逆に実年齢が若くて驚いたくらい。

今日観てきた「あん」が71歳くらいの希林さんだったのだろうか?

76歳という年齢とハンセン病患者という役だったこともあるけど、それでも首筋の年齢は若さを感じられた。

首と手には年齢が出るからね。

「あん」を観てても思ったことだけど、「もし希林さんがいらっしゃらなかったら誰がこの役をされていたのだろう?キャスティングされたのだろう?」ってこと。

希林さんがいらっしゃったから映画が成立したのか?

「万引き家族」もそうだと思う。

来月公開の「日日是好日」も。

あ、「モリのいる場所」の妻役は何歳の役だったんだ?

ご自分で仕立てた衣装を持ち込んで自分らしく役になりきる。

若い監督さんへの対応もきっと上手だったのだろうと思う。

世界で認知されてきた監督さんの作品に重用される。

今の日本の女優さんであの年代の女優さんは誰が残っているの?

綺麗なままの女優さんが多い気がする。

夏木マリさんなんかの「Vision」の演技とかは鬼気迫る老婆の何かを感じたけど、希林さんのポジションとはちょっと違うかな。

夏木マリさんは夏木マリさんのポジションがあるように思うから。

市原悦子さんもいいと思うけど、体調がそこまでいいわけではないようだし、年齢的には希林さんよりも上な三田佳子さんは・・・キレイだわ。

ここ数年はテレビドラマなのかな。大きくなった息子に未だに足を引っ張られている感じなのだろうか。

吉永小百合さんは73歳。でも、全然タイプが違いすぎる。

五月みどりさんも綺麗すぎ。

泉ピン子さんがきっと同じ路線になれるのだろうけど、人間力が違いすぎるかもしれない。

十朱幸代さんも綺麗すぎなんだよね。「高嶺の花」で一応老人役だったけど、筋の通ったキレイな人だったもん。

うーん、やっぱり人間力で敵いそうな方がいない。

希林さんはご自身の人間力が一番の魅力でどんな役でもすごい存在感を感じられた。

残念ながら今、他の女優さんでそこまで出来そうな方は見当たらない。

本当に残念だ。

あと10年後、20年後に誰か出てくるだろうか?

希林さんのように若い頃から年配の役を出来るくらいの人が出てこないだろうか?

キョンキョンとか広瀬アリスとかいい感じになりそうな感じを受けてたりするのだけど。

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【映画 あん】感想。追悼上映で観ることができました

イオンシネマでの上映

2015年上映ということで撮影は2014年くらいだったのだろうか。

まだ70歳になったばかりの時に76歳の役。

全然違和感がない。

この映画に込められたいろいろなものを初めて知った。

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偏見と更生とネグレストと

この映画に込められたテーマは3つ。

  • 偏見
  • 更生
  • ネグレスト

河瀬監督が今の世の中に問いたいことがテーマなんだと思う。

予告を観ていたときはただ、樹木希林さんが餡を炊く映画ってことくらいしか知らなかった。

でも、テーマはかなり重い。

しょうがないのだろうけど、現実はそのままだと思う。

人間の中にある「偏見」

河瀬監督+永瀬正敏のペアはいつからなのか?

今年公開された「Vision」のイメージと根底は変わらないように感じた。

河瀬監督の思い描く世界は「木」がある。

「あん」は桜の満開のシーズンから始まる。

小さいどら焼き屋さん。そこの店長さんが永瀬正敏。

『どら春』の店長、千太郎は一人小さいどら焼き屋でどら焼きを焼く。客は中学生くらい。

この作品には樹木希林さんのお孫さんの内田伽羅さんが出ているは知っていたから、どの子だろう?と思ってみていた。

が、すぐにわかった。

中学生の頃なのだろうが、本木雅弘さんの面影と也哉子さんの面影がそのままある。お兄さんのUTAさんを女性にした感じでもある。

パーツがしっかりしている。

まさかのメインキャストだった。

まぁ演技はまだまだ全然駄目だけど、中学生だったらあんな感じか?って感じで。

店長さんは伽羅演じるワカナに焼き損ないのどら焼きをおすそ分けしていた。

ある時、ワカナがお店にいる場面で希林さん演じる吉井徳江がお店を訪れ店長さんに「アルバイト・・・年齢不問ってあるのだけど・・・使ってくれないか?」と直談判する。

店長は年齢不問としながらも年齢を聞く。「76歳」と答える徳江さん。

年齢は不問ながらやっぱり雇うとなると厳しいと思ったのか、今度は「うち、時給低いから」とやんわりと断ろうとする。

が、働きたいのか時給600円と言われ「いや、300円でもいい」と引き下がろうとしない。

店長は話してても埒が明かないと思ったのか、どら焼きを渡して帰ってもらおうとする。

そのどら焼きをもらって姿を消す徳江さん。

それを見ていたワカナも「私を雇ってくれる?」と言い出す。

「高校生になったら」と言うが、ワカナは「高校行かないかもしれないし」と。

いろんな問題がこの小さな空間にあふれている。

50年以上餡を作ってきた。

そう言っていた徳江さんがまたお店を訪れる。そして自分が作った餡を渡す。

「生地はいいけど・・・餡がねぇ〜」と言いながら。

一度は捨てた店長だが、再び気になって手に取り、開けるとまず匂いをかぐ。そして一口。

夜に行ったお蕎麦屋さんでワカナと会い、その話をする。

桜が散った頃に徳江がまたお店を訪れる。店長は徳江にお店を手伝って欲しいと言う。

手が不自由だから重い作業は出来ないけどと了承する徳江。

そしてお店の餡が一斗缶に入った餡であることを知り愕然とする。

翌朝、早朝から餡作りが始まる。

前日から水につけておいた小豆からはアクが出ていた。

そこから何度も炊いてはお湯を捨てを繰り返しアク抜きをする。

そして、やっと砂糖と合わせる段階になるが、徳江は何事にも時間を置く。

店長はその行動に疑問を持つが徳江は「おもてなしだから」と言う。

その意味がわからない店長に

「小豆がここまで来てくれたことへのおもてなしなのよ」

別に食べてくれる人とかって目線ではなく、小豆に対しての思いだった。

だから、小豆の声を聞こうと鍋に顔を寄せる。

そして開店ギリギリ11時に餡が完成する。

しっかりと餡の声を聴いて作った餡はどら焼きの味を変える。

常連の中学生も気づいた変化は一気に街へ広まり、行列が出来る店になる。

しかし、世間は簡単じゃなかった。

接客をするようになった徳江を見て噂が広がる。

「ハンセン病なんじゃないか」

私もハンセン病について詳しいわけではない。

でも、だからと言ってなぜ差別しなきゃいけないのかわからない。

感染症。

空気感染するわけではないが、日本では隔離し情報までも閉じ込めた。

その情報を聞いたドラ春のオーナー焼くの浅田美代子が店長を訪れる。

店長は元来は甘い物は苦手だったが、どら焼き屋の店長をしているのには訳があった。

元々は居酒屋で働いていた千太郎は客の仲裁に入ったはずが暴力をする側になり刑務所に入っていた過去があり、その慰謝料を払ってくれたのが先代であった。

そのため、その支払をしながら店長として働いていた。

更生

雇われている店長とはまた違う足かせがついている関係。

ハンセン病の徳江を雇うことに反対する。

それについて何もできない千太郎はお店を休む。その間、徳江は餡づくりだけのつもりが客が来たことで生地を焼き、どら焼きを提供していた。

それを知った店長は何を思ったのか、「これからは接客もお願いします」と言い出す。

それでもしばらくはお店は繁盛していく。

ワカナはネグレスト状態だったのだろう。店長からもらった焼き損ないのどら焼きでお腹を満たしていた。

水野美紀が母親役なのね。

ワカナの唯一の親友の「マーヴィー」と名付けたカナリアも放すようにと言う。

ワカナは中学生ゆえの純粋さから徳江に不自由な手について聞く。

徳江は積極的には話そうとしないが、病気でねと答える。

お店は秋になり、客足がなくなる。

とうとう噂が本当になった。

状況を感じた徳江はお店を離れる。

守れなかったことを悔やむ店長。

ワカナが言う。「手のことを母に話した」と。

そんなことで客足がなくなってしまう世の中。しょうがないと言うには悲しい。

何がいけないの?

感染源がわからない恐怖なのか?

店長は「守れなかった自分が悪い」と言う。

二人は徳江の元を訪れる。

ワカナのマーヴィーを預かってもらうためだった。

東村山にある「全生園」

実はこの療養所の存在は知っていたのだけど、正式名称は知らなかった。

「国立療養所多磨全生園」

所沢街道沿いに森のような敷地が広がり、門があるが、建物は見えない。人の気配も感じたことがなかった。

全生園で撮影が行われたのだろうか?

ロケ協力ということになっているからきっとロケが行われたのだろう。

一つの町があの中にあったということだ。

ハンセン病にもいろいろな症状が出るのだろう。一番多いのはやっぱり手の指が曲がってしまう状態なのか?

そこにもう一人徳江の長年の友人佳子役で市原悦子さんが登場する。

ハンセン病患者の役。

違和感がない。

お二人ともが自然だ。

もし自分の前にハンセン病の方がいたら、自分はどうするだろう?

多分、拒否はしないだろう。

差別をすることをする自分は嫌だし、私には計り知れないほどの苦労をされてきている人たちなのだから、尊敬していいと思うのだ。

神様の意地悪で羅患されてしまった人々。

そして国の政策。

その中で強く生きてきている人々。

次に訪れた時、徳江は亡くなっていた。肺炎だった。

自分の死期を悟ったのかテープレコーダーに二人へのメッセージを吹き込んでいた。

なぜ「どら春」に行ったのか。それはハンセン病で隔離された自分と同じ目をした店長が気になったということだった。

隔離されている自分と同じ目をしている社会に居る人間。

なぜそんな目をしているのか?

餡作りを通じて店長は人間らしさを取り戻そうとしていたが、世の中には常識とはまた違う力が存在する。

抗うことができない自分。

でも、徳江さんは店長のお蔭で念願だった社会との繋がりを感じることが出来たはずだ。

そして最後は満開の桜の中でテーブルの上でどら焼きを焼いて「どら焼きいかがですか?」と声を出す店長の姿が。

人に何かを伝えることを拒否していた店長が強くなろうとしたラストだった。

河瀬監督の人間描写は優しい。

世間という冷たさとの対比があるからなのだろうけど、永瀬正敏の中にある悲しさをとても感じる。

河瀬監督と永瀬正敏のコンビは変わらないのか?

伽羅はこれからどうしていくのだろう?

今はイギリスに留学中なのか?

良い要素ばかりのサラブレッド。期待してしまうのだけど。

希林さんはこの頃に全身がんであると告知を受けているわけでしょ?

「あん」の日本アカデミー賞の受賞で言っていたわけだから。

強いよね。でも、まだお元気そうだなって感じがする。

まだお肉もついていたし。

もっともっといろいろな役を見たかった。

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【食べる女】感想。食欲と性欲を満たす映画らしい

女の欲望を満たす

「食べる」はご飯を食べるだけではないらしい。

「男」も食べるが含まれているようだ。

まぁそこまでドロドロではないが。

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期待の女優陣

樹木希林さんが亡くなられて、今まで樹木希林さんがやっていたポジションは今後誰がするのだろう?って思っていた。

この数年、樹木希林さんが出ずっぱりなところもあった。

樹木希林さん以外でする方がいないってことが書かれていたし。

この映画を観て思ったのは小泉今日子さんがそのポジションになれるのかもってこと。

年齢に抗わない生き方をされている気がする。

この映画、豪華女優陣が出てるけど、小泉今日子さんは薄化粧。

役柄もあるだろうけど、シワを隠すこともなく、シミはまぁないけど(隠れてるけど)って感じ。

鈴木京香さんと2歳違いだけど、鈴木京香さんの肌年齢は間違いなく何か努力をしている。

映画の本筋と大きく離れたことを考えていたわけで。

まず映画は子役の小学生の女の子が道路で地下の音を聞くシーンから。

その二人がかわいい。

都心では今、「川」の存在を感じることが少なくなっている。

それでも「川」はなくなったわけではなく、地下を流れている。

暗渠ね。渋谷も駅のところには「渋谷川」という川が流れているって・・・。東横線が地上の頃は感じてたけどね。

その音を感じようとしているのだけど、聞こえない。

それを観ていた小泉今日子演じる雑文庫家の餅月敦子は同じように寝転ぶ。

古書店「モチの家」の女主人でもあるって役だけど、どこかキョンキョンっぽい。

服装もハイカラな感じがいい。

大人が子供のように道路に耳をつけているのはかなり奇異だけど、そんな素直さがあることがわかる。

モチの家に人が集まる。

鈴木京香さんは敦子の幼馴染であり、「道草」という小料理屋さんの女将の鴨舌美冬役だ。

その美冬と敦子が料理をしているところに敦子の家のシラタマというかわいい猫を抱いた沢尻エリカ演じる編集者の小麦田圭子が来る。

美しさの共演だわ。

圭子は何もしない。

そして前田敦子演じる制作会社のアシスタントプロデューサーの白子多実子が居る。

敦子の普段の生活の場に女4人が集まって「道草」のようにメニューがある夕食が始まる。

4人の女性がほんとに美味しそうに食べるシーンがいい。

しかもみんな食べ方がキレイ。

食後は女子トーク。

20代、30代、50代の女性なんだけど、それぞれに男性観があって面白い。

もう一つの舞台は「BARロマ」

多美子が行っているBARに山田優演じる茄子田珠美がいる。妊婦役。

でも、スタイルの良さは変わらない。すごく久しぶりに映像に出ているって感じだけどね。

いい感じになってきている気がする。

常連客の一人に広瀬アリス演じる本津あかりがいる。

いつも限界まで飲んで男に振られる人生を語る女性。

「ひき肉だったから駄目だった。塊じゃなきゃだめだ」って・・・。

意味が?なんだけど、これがかなり大切なキーワードなんだな。

隣には勝地涼演じる白石がいる。

私は勘違いをしていたのだ。あかりが酔っ払って帰宅するところで小銭を落とした男性を家に連れ込んでそのままするシーンがあったのだけど、ずっと白石だと思ってた。

暗いシーンだし・・・顔がちゃんと映ってた感じじゃなかったから。

そうしたら笠原秀幸だったらしい。ほんとベッドシーンして、その後また来るのだけどあかりのひき肉料理を食べてさっさと帰ってそのまま居なくなるって役だから認識しきれなかったわ。

白石は・・・なんとBARロマの手伝いのシノザキくんに恋心を抱いていたって。そんな感じだった?

BARロマも暗いし、シノザキくんは後ろの方にいるって感じだったから、誰だったのかわからなかったら、なんと間宮祥太朗だった。

え、間宮祥太朗があんな大人しい感じだったの?な驚きです。

BARロマはLPの宝庫。

そしてオーナーの敦役の真木蔵人と珠子は元夫婦。

真木蔵人が・・・マイク真木にしか見えなかったと言うのは失礼かしら。

元夫婦で3年前に離婚したってことなのに、妊娠している珠子。驚く関係性だけど、珠子は敦の子供しか産みたくないし、敦の家族しか欲しくないって。

いいねぇ〜。

圭子は免許の更新先でユースケ・サンタマリア演じるタナベと出会う。

出会うというか・・・タナベが一方的に思いを寄せる感じ。

数日後にも道でばったりと会ってしまう。

怖いよね。ある意味。

圭子も逃げようとするが、タナベはなぜか「出張料理人させてくれ」と言う。

え、ただのサラリーマンだったの?

料理人なのかと思ったわ。タナベって。

圭子はマンションを買って一人暮らしの女性。

どうやって男性と会ってどうやって付き合うのかも忘れたってことだったのが、まさかの冴えないサラリーマン。

でも、「食べる」ことに目がないのか自宅にあげてしまう。圭子。

怖くないか?ストーカー的な男性に自宅を教えるのはって感じになるが。

タナベは料理を作って美味しく食べてそのまま帰る。

シャーロット・ケイト・フォックス演じたのは何も出来ない主婦の豆乃・リサ・マチルダ。

マチルダは冷凍食品を買う主婦。夫の帰りを待つのだが、夫が池内博之。

最近、また池内博之良く見るなぁ〜。ちょっと見ただけでイメージ強いしね。

全然変わらないんだよね。20年前と。

修治は突然、妻を犯す。

そして翌朝、朝からレンチンしたピザ。

修治はキレる。

「俺は浮気している」と。

マチルダは「何もしなくていいって結婚した」と言う。

でも、さすがに「レンチン」料理しか食べられない日々は厳しいだろうな。お金があっても。

そして家を出る修治。

マチルダも家を出て彷徨う。そこで美冬のお店の前で美冬と目があって泣き出す。

美冬の手料理を食べて感動し、美冬はなぜか敦子のところに下宿させてやってと連れてくる。

一人暮らしで部屋が余っているとは言え突然同じ世代の女性と暮らせるか?

まぁ敦子はそれを受け止める。

敦子の庭には枯井戸があった。それを気にするマチルダ。水が出るかもと業者に見てもらうことに。

猫のシラタマを追いかけて小学生の琴音がモチの家に迷い込む。

そこで見た井戸に興味を持ち、また来てもいい?と聞く。

琴音の友達の優奈の母親がパーツモデル役の壇蜜。

壇蜜も母親役になるのねぇ〜。

夫に出ていかれた女性。ある休日の朝、「ピクニックに行きましょう」とサンドイッチを作り、子供を連れてやってきたのは、出ていった夫の家。

もう別の家族を作っているところに行き、「一緒にピクニックに行きましょう」って。怖いな。

子供の目線も痛いが、戻る夫。

3人でピクニックに行く。

あかりに新しい彼氏。アパレルメーカーの社員の友太役の小池徹平。おぉ〜小池徹平久しぶりだわ。

やっとちゃんとした恋愛になりそうなあかりだった。

マチルダは道草で見習いをしていたが、美冬は「見習いは卒業よ」とお給料を渡す。

そこで「自立」に目覚めやっとモチの家から出ることに。

何か出来るようになるって強くなるってことだね。

マチルダが出ていき、一人に戻った敦子が「新しく下宿人でも募集しようかな」と言うと、優奈が立候補する。

え、優奈一人で?と思ったら家族で引っ越したらしい。

そして最後も道草でワイワイ。そこには白石も。

「気持ちは乙女なんで」ってことで。

ここで隣同士の未来のご夫婦。この映画が縁で結婚までいったってことだしね。

いい雰囲気だったよ。

敦子は新しい下宿人に対して「孫が突然二人できた気分」と楽しそう。

美味しいごはんを食べたあとはみんなでその孫に会いに行こう!と出かけるが、白石はカウンターで寝ていた。

そこに訪れたのがタナベ。北海道に転勤になっていたが、戻ってきたので来たといい、白石と二人でタナベの料理を食べる。

そこに泣きながら「マチルダ、君がいないとだめなんだ」と入ってくる修治。

道草は男性3人で盛り上がることに。

パワーをくれるのは

”おいしいごはんと愛しいセックス”ってくらいパワー溢れる映画だわ。

どの女優もほんとにいい感じ。

でも元気にもなれる。

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