悩める若者に観て欲しい
あなたには「山本」が居ますか?
20代、まだ自分が何者なのか自分に自信がなく会社に流されることに精一杯になってしまうそんな人に観て欲しい。
そして
自分から是非「山本」を見つけて欲しい。
突然現れた「山本」は誰だ?
物語の最初は、工藤阿須加演じる青山隆のよくある営業マン。
就職難で最後には「どこでもいいから内定くれ!」と言う気持ちで内定をもらったものの自分の居場所、自分の特性を変えられなかった人間の苦悩を描く。
「営業」は会社の花形なんだよね。
どんなにいいシステムを作ってもそれを売りに行ってくれる「営業」が居ないとお金にはならない。
自分は営業が出来ないから独立出来ないと本当に思ってる。
そんな工藤阿須加演じる隆は日々が辛い。何のために自分が仕事をしているのかもわからない。そんな会社とも言える。
ブラック企業なのか?吉田鋼太郎演じる部長の山上がブラックなのか?部下を萎縮させるタイプ。でも、この部長を見て「まぁどこにでも居る」なのか「え、こんな人居るの?」と思うかは別れると思う。
私は、ここまでの部長の会社には居なかったと思いたいけど、それでも言葉による暴力的な圧迫の会社には居たと思う。
ペーパーカンパニーのアルバイトなのに社長のご機嫌を伺うような感じ。この社長の言い分は「怒らせるのは君たちだ」ってことで、怒らせないようにすることが仕事。30代の半ば過ぎだったから「お金」で割り切って居られた。ノルマもなかったし。
ノルマ付きの営業も体験したことがある。
自分を演じることが出来る人じゃなきゃ無理だと思う。根っからの口から生まれたような人には苦じゃないこともそうじゃないと自分の言ったことに責任を持とうとした瞬間から何も出来なくしちゃう。
隆のような会社は隆のような存在をどう捉えるのだろう?
お荷物な存在だけど、辞めると言われたら「お前なんかどこに行っても役に立たないんだよ」と言う。辞めさせたいわけじゃないのか?威圧して成績をあげられると思ってる人種はどう考えているのかといつも思う。
腹の虫の納めどころとしての存在として必要ということか?
隆は福士蒼汰演じる同級生だと言う「山本」に助けられる。
電車に引き込まれる瞬間に手を引っ張られる。そして「俺、山本。懐かしいなぁ〜」と相手を引き込む。
自殺しようとしていた頭ながら山本のペースに引き込まれる。
友達に電話すると「山本」という名前は小3の時に居たということで少し安心する。
山本の強引さに引っ張られて徐々に明るくなっていく。
そして大きな契約を結ぶ。が、そこにはまた落とし穴が待っている。
山本はまた落ち込む隆に「仕事変えられないのか?」と聞く。
隆は同時に山本が同級生じゃないことを知る。が、もう友達だろ?という言葉で納得する。
山本は「仕事と命とどっちが軽いんだ?」と聞く。隆は仕事は辞められないのに自殺をしようとしていたわけで。仕事は命より重いものなのかを考えさせる。
隆はなぜか将来の心配のために正社員で居ることが大切なんだと思っている。それは自分の親のことが関わってることが後になって告白される。
会社では最初は優しく面倒を居てくれていた黒木華演じる五十嵐の対応が変わってくる。
隆にしてみたら憧れの先輩であったから部長に何を言われても持ち堪えていた気持ちが五十嵐の一言で切れる。
隆の気持ちが一筋の涙で現れる。
五十嵐の「消えろ、死ね」が痛い。
五十嵐美紀も成績を求められノルマを課せられ本当は誰よりも必死だった。
隆はまた自殺をしようとする。
会社の屋上から飛び降りようとしていた。
またそこに山本が登場する。ほんと「お化け」だと思ってたわ。
この頃には山本純は自殺していたってことになってるから。
山本は隆に聞く。「隆は何のために生きているのだ?」と。隆は「自分のために決まってるだろ。別に結婚しているわけでも恋人がいるわけでもないから」と返すが、山本はそれは違うと言う。
「隆を思っている人たちのために生きているんだ」と。
隆は両親に対して自分がしてきたことを後悔している。だから両親も自分のことなんか気にしてないだろうと言う。
山本の言葉は隆に伝わり、隆は自殺を留まる。
その代わり、山梨の実家を訪れる。
隆の両親は仕事の手を止めて隆の帰りを受け止める。
隆は両親に今までの自分を許してほしいと言う。それでも両親は責めることなく受け止める。そして森口瑤子演じるお母さんが「実は自分も家族みんなで死にたい」と言ったことがあると告白する。
それでも隆の人生を奪うことはいけないって思いとどまって隆の将来が見たくなったと。
それでも隆が会社を辞めることを両親は責めることなく「会社は世界に一つじゃないのだから」と言う。
ここ大切。
ブラック企業で辞められないと思ってる人に聞きたい。
あなたがそこにいる意味はありますか? あなたはそんなに出来ない人ですか? あなたはなぜ辞められないのですか?
結婚生活だってさ、そうよ。合う合わないがあったっていいじゃない。
自分以外は全て他人でその他人と一緒にいたいけど、どこまで自分が妥協出来て生活出来るかなんてやってみなきゃわからないのだから。
と話が逸れたけど。
山梨から戻って隆は山本を喫茶店に呼び出しておいて「待ってて欲しい」と言って「ちょっと今から仕事やめてくるから」と会社に行く。
辞表を出すということでなく、「僕、今日で辞めます」と言う。
まぁそんなブラック部長が「はい。そうですか」と言うこともなく悪態三昧だけど、隆は動じない。最後は部長に「部長も少し休んで下さい」と気づかう。
そんな隆を五十嵐美紀が告白に来る。
隆の注文書を改ざんしたりデータを盗んだのは自分だと。隆が大口の契約をしてしまうと自分はより大きなノルマがくることが怖かったのだと。
どこでもこんなことってあるのかな。
人間ほどほどが一番いいのだろうけど、そうはいかないんだよね。きっと。
ここまで出来る女性営業マンだけど、他で雇ってもらえないと弱気だ。なぜ自分に自信を持てない?会社にしがみつこうとする?
山本は横断歩道をスーツでスキップしながらかばんを回して戻る隆を待つことなく姿を消す。
ここからはかなりネタバレかも。
隆は山本を探す。
そうすると、山本純を追悼するブログを書いた人に連絡を取る。
そこは養護施設だった。
実は山本は双子だった。
純には弟が居た。それが山本だった。
小池栄子演じる大場玲子から山本兄弟のことが語られる。
山本はきっと自分が純を助けることが出来なかったことをずっと後悔して生きてきていた。そこに純と同じ表情の隆が居て助けることになり、必死になったのだと思う。
山本も隆を救うことで自分の魂も救われたのじゃないだろうか。
ストーリーの最初と最後はバヌアツのキレイな海と天使たち。
死ぬことはない。
私もいつ死んでもいいと思ってる。でも、生きてたらまだ出来ることがあるはずだから。生きようと思う。
20代、30代のまだ仕事に自信が持てない人はまずはその仕事の適正を考えるべきだよ。仕事との相性が合わないのに相性を合わせることに必死だとその先の仕事がうまくいくはずがない。
私もいろんな経験してきたけど、結局一番合わないと思ってるシステム開発してる。でも、合う合わないってどういうことだろう?って思うと自分がちょっとだけ無理すれば出来ることかなと。
自分の身体を第一に考えてと思う。
最近、会社に来られない人がいる。子供が5人も居るのに週に1回顔を出せたらいいくらい。
持病があるらしいが、それが何になる?来るか来ないか。
仕事を依頼できるかどうかなんだよ。
9時過ぎにメールが来る。「体調が悪いから午前中休みます」夕方になって「休みます」この繰り返し。
こちらはどう対応すべきだろう?と思ってしまう。会社側はもっとだよね。正社員じゃないわけで。
自分の身体のコントロールができなくなってまでそこの会社に居べきじゃない。誰にも得がないから。
仕事を頼めない会社、頼まれても困る人。それを傍観する自分たち。
難しいね。