【映画 散歩する侵略者】感想。終わってる夫婦をやり直したいですか?

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散歩する侵略者

それでも夫を信じたいですか?

この映画の根底にあるのは「概念」

今の人類がなくてはならないのが実は「概念」であるってことに気付かされる。

プラス

配偶者が突然、侵略者に身体を乗っ取られたら?

「世界が終わっても、彼が“別人”でも、一緒に生きたい」

そう思える相手と居るのか?という問題もある。

でも、私にはたぶん居ると思う。

もし、その時になったら、1200kmの距離があったとしてもその場所まで行く自分が居ると思う。

私がもし侵略されたら、相手も私をきちんと探し出してくれるという保証も何もないけど。

思いなんて独りよがりだから。

感想的なネタバレになります。

デザイナーの長澤まさみ演じる鳴海。突然、失踪していた松田龍平演じる真司が見つかり、病院へ迎えに行く。

記憶がないような夫。

まともに歩くことも出来ないが、夫だからと手を差し伸べる。

失踪していて、その前に終わってる関係で私は、病院から呼び出されて迎えに行くだろうか?

きっと行かない。

夫の実家に連絡するだろう。

鳴海は迎えに行く。夫は鳴海に対してなぜか敬語だ。それに対して「やめて」と言い、普通の会話になる。

その後も夫の不可解な行動が続く。

前田敦子が鳴海の妹の明日美が来る。

妹のことも知らないと言う真司。明日美は自分と真司の関係を説明する。

それは・・・

「家族」という概念。

真司はその概念を奪う。

概念を奪われた明日美は姉を嫌悪し帰ってしまう。

鳴海はそんな真司をとりあえず面倒を見る。それがどこからくるものなのか?

姿が見えなければ仕事中でも気になって探しに行く。

「外に出ないで」

夫だけど従属物にしがちな発想。

だからどこからかほつれていく関係性とも思える。

私も今の関係になる前は家に居ることを強いられてきていたように思う。

そんなのはきっといい関係で続けられるわけがない。

真司は言う。

「自分は宇宙人で侵略をしに来た。」のだと。

「真司の身体を乗っ取ったというか、真司には眠ってもらっていて真司の記憶を借りて話している」のだと。

真司は日本で概念を得るために鳴海にガイドになって欲しいと頼む。

頼まれた鳴海は「何よ。ガイドって!!」状態。

そりゃあそうだろう。妻であってガイドではないのだから。

それでも宇宙人真司は「ガイドは信頼する人ってことだろう」と。

鳴海は完全に勘違いする。

終わってる関係性だったものの、どこかで夫とやり直したかったのか?

真司は散歩に出かけて引きこもりだった満島真之介演じる丸尾の家に入ろうとする。

そこで「所有物」という概念を奪う。

「俺の家」という言葉に「の」の意味を深く問う。そうだよね。

そこで所有物という概念を奪われた丸尾は世界が変わる。

自分だけの世界に引きこもっていた彼が明るくなる。

引きこもりの持っていた概念って何なんだろう?

ここに居ること

とかなんだろうか?

真司同様の宇宙人がもう二人いた。

そのうちの一人はなんと最初は金魚に乗り移ってしまったらしい。

そこから家族のお父さんに乗り移り、騒いだお母さんを殺して娘に乗り移っていた。

垣松祐里演じる立花あきらは凶暴な性格だ。

女子高生に乗り移ったから余計違和感だけど、最初に保護された病室では児島一哉演じる車田刑事の口癖の「自分」という概念を問い詰める。

なんか児島だよ!とか言い出しそうな感じだったけど。

「自分」だったね。

「自分」って何?って質問にも「自分は自分だ」しか言わないから最初は困っただろうね。宇宙人も。

最終的には「自分」の概念を獲って「他人」じゃないということを言わせていた。

立花あきらのネタを記事にしようとする長谷川博己演じる桜井はそこで高杉真宙演じる天野にガイドになってと頼まれる。

天野は自分が宇宙人であることを打ち明けるが、最初は信じない桜井。

それでもジャーナリストの好奇心でガイドとして行動する。

桜井の行動は時に間抜けでドジなんだけど、憎めない。

人類側なのか侵略者側なのか・・・よくわからない。

立花あきらと天野が真司に会わないようにと頼みに来たのか居場所を教えたのかもわからない。

真司は段々、鳴海好みの真司に変わっていく。

元の夫真司の記憶に残っていた記憶。

それなのになぜすれ違いが生じてきていたのだろう?

宇宙人真司は鳴海の料理を美味しいと食べる。

次第に二人はまた惹かれていく。

鳴海は真司のために奔走する。いなくならないでと怒る。

女性のエゴなのか?

夫の怠慢なのか?

何が夫婦を覚めさせてしまうのだろう?

とうとう、侵略のときがきた。

立花あきらの身体がまず命が尽きてしまった。

その時、桜井は人類に対して侵略がそこまで来ていることを叫ぶ。

誰も行動しないことに諦める。

天野はそんな桜井を非難することはない。「気は済んだ?」と最後の通信の場へ向かう。

そこで桜井も通信を協力する。

その桜井の行動がよくわからない。

自分をサンプルとして生かして欲しいということで契約が終わったということか?

人類を見捨てたのか?

笹野高史さん演じる厚労省の品川が追い詰める。

そこで銃撃戦となり、天野は最後に品川から「うざい、よそもの」という概念を奪う。

品川は奪われたことで「みんな仲良く生きていけば」と言う。

しかし、天野は撃たれすぎてしまい身体の寿命が尽きてしまう。

そこで桜井は言う。

「オレの身体に乗り移るか?他にいいのいないぞ」

まぁね。品川って手もあったかもと思うけど。

最後は桜井が宇宙人ってことで最後の仕上げを行い、攻撃を受ける。

最後の瞬間、鳴海と真司はホテルに居た。

侵略されたら人類は生きていけない。

平然と言う真司に鳴海は自分を先に殺して欲しいと言う。

しかし、真司には出来ない。

鳴海は一緒に居られることが幸せだと気づく。

そこで真司に「愛はとれたのか?」と問い詰めるととれてないという。

そんな真司に「今、私の頭の中はそれでいっぱいだからとって」と言う。

溢れる愛に触れた真司は受け止めきれない。

侵略が始まった。

しかし、真司の行動が変わる。

「愛」を獲ってしまったために鳴海を守る。

で?

2ヶ月後・・・

小泉今日子が医者役で登場。

結局、侵略はされなかったということのようだ。

それがなぜなのかはわからないと。

しかし、侵略過程で盗られた概念と意識障害の回復方法が見つからないと。

鳴海だけが違う症例で入院していた。

でも・・・真司は語りかける

「最後まで一緒にいる・・・」と。

うーん、深いのか?

言葉の概念に縛られることを生まれてから今まで普通にしてきた自分。

盗られたら困る概念ってあるか?

「愛」という概念は困るか?

結論は各自の中って感じかなのかもしれない。

それでも、松田龍平にぴったりだなって感じ。

高杉真宙は先週の圭先輩とは違った魅力だったし、前田敦子もかわいくなった。

長谷川博己はいいおじさんになってきてる。

長澤まさみが最近は薄化粧で綺麗さが際立っている。

小泉今日子・・・最初、誰?的な感じだったけど。