2016年11月に映画化
私がこの小説を読んだのは、映画を観た後だった。
今から約1年ちょっと前。
その頃は、まだ将棋の世界は知らなかった。
この頃って将棋界が暗黒の時代になりかけた時期だったんだね。
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17ヶ月
「聖の青春」の映画化。私はただ松山ケンイチ目当てで観に行った。
そして感動した。
それでも登場人物で知っているのは羽生善治さん、谷川浩司さんくらいだった。
映画で感動した私はそのまま小説を読んだ。
村山聖という人の生き方に感銘した。
映画化の中で村山さんと羽生さんの関わりがとても見どころとして脚本されていたので、このタイミングで「名人」に再挑戦している羽生さんを見て、この小説を読み返してみたくなったのだと思う。
この小説を最初に読んだ頃には名人を失冠した後だったわけだ。
この映画、今公開だったらもっと興行収入があったんじゃないかと思ってしまう。
村山聖対羽生善治の構図になった映画だったから。
小説の中では村山聖さんの「名人」に掛ける執念が軸になっていて、最初の頃は対谷川浩司に心血を注いでいる様相だ。聖少年が奨励会に入る直前は谷川浩司さん全盛期。「名人」を最年少で獲得し、「名人」はイコール谷川浩司さんと言う図式だったようだ。
そして「名人」になるために1日も早く奨励会に入りたかったのに、大人の汚さで1年延期になってしまう。彼には時間がなかったのに。
そして亡くなる直前に羽生善治さんは七冠を獲った時期であるが、羽生さんにはなぜか他の棋士にはない敬意を感じていたように書かれている。
「名人」にこだわった村山聖さんが病気という足かせもなく存在し続けたら、どんなに強い羽生世代が成り立っていただろう。
でも、村山聖さんの壮絶な将棋に賭けるものを同じ時代に居た棋士が忘れていないから今も第一線で活躍しているのかもしれないと勝手に想像してしまう。
「聖の青春」には今のA級在籍の羽生世代の棋士からその上の未だ現役の棋士までが登場する。
まだ四段、五段の頃だったり、既に九段になっていたり。
多くの棋士に愛された棋士で一番「名人」になることを望んだ棋士。
幼少から病気で入院を余儀なくされても将棋に賭ける気持ちは誰にも負けず、A級在籍を決めて、自分の身体をしっかりと把握し休場。
休場を決めてからも全勝で他の棋戦を戦って、病気との戦いに挑む。
若さや免疫やその他いろんな要素で肝臓への転移。そこでも将棋のために抗がん剤治療を拒み、痛み止めを拒む将棋への執念。
私は羽生さんの強さの根底には村山聖の無念があるのではないかと思う。
そうじゃないと人間業ではないことを羽生さんはしているわけで。
100期目のタイトル間近。
1400勝目が名人戦第1局になる可能性とか。
羽生さんだけではない。村山聖という生き様を見てきた棋士全てに言えるのかもしれない。
私が将棋を見始めた頃から先崎九段が休場。聖の青春では先崎九段のお名前もかなり出てくる。東京滞在の時にはかなり飲まれていて、救急病院に担ぎ込まれてるときも、村山聖さんの持ち歩いていた小説を読んで待っていたとかって。
先崎九段のイメージはそれ以外でも「3月のライオン」の監修とかでもお名前があったのでお名前は知っているのだけど。
「聖の青春」私も同世代。でも五体満足にあぐらをかいて生きてきてしまったと思うしかない。
羽生世代に今でも脈々と受け継がれる「気持ち」がいつまでも全盛であって欲しいと強く願ってしまう。
第76期名人戦7番勝負がいよいよ始まった。
その「名人」を羽生善治さんがまた挑む。いろんな思い、気持ちをしっかりと持って。
応援せずにいられない。