【海を駆ける】感想。ディーン・フジオカの存在感

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「月が綺麗ですね」

この言葉を知ってますか?

私は、ドラマ「相棒」で知りました。

夏目漱石って英語の教師だってことも知らなかったのだけど。

インドネシアの海と人と

 

インドネシアという国は近くて遠いところ。

なかなかインドネシアという国について知ることはなかった。

地震、津波の被害があるという場所というイメージ。

観光地でもある地域もあるのだろうけど、私は行ったことががないからね。

舞台はインドネシアのアチェという場所。海に打ち上げられる日本人。

それがディーン・フジオカだった。

記憶を無くしているのか?自分のことが誰なのか、どこから来たのか。

アチェにNPO法人の災害支援で移住してきている鶴田真由演じる貴子と息子のタカシ役の太賀。

二人共インドネシア語でセリフを話している。ネイティブスピーカーよ。

最初のシーンは太賀の大学の同級生のクリスとクリスの幼馴染のイルマによる取材シーンから。

スマトラ沖地震の地震で被災した人への取材、NPOで来ている貴子への取材、そしてタカシへの取材。

取材の途中で貴子へ電話が入り、海に日本人が打ち上がれらていることが知らされる。

貴子はそこに行かなければならないからとタカシに姪のサチコを空港に迎えに行くようにタカシにお願いする。

タカシは足がないため、クリスにも頼む。

空港で待つタカシのもとにサチコ役の阿部純子。「孤狼の血」にも出演していたなぁ〜。眼力はあるけど、全然雰囲気が違う。サチコはなぜインドネシアに来たのか?

何をしに来たのか?

大学を突然辞めてしまい、突然インドネシアに来たいという事になったという。

海に打ち上げられて日本人を「ラウ」と呼ぶことにし、貴子親子の家で面倒を見ることになった。

ラウは誰なのか?

インドネシアの漁師町なのだろう。海辺から送ってもらうトラックを見かけた漁師が途中で乗り込んでくる。

釣った小魚をかごにいれて。

トラックの荷台にラウは立っている。突然ラウが何かを唱えだす。

そうすると死んでいたはずの小魚が突然跳ね出す。

川べりに親子の姿を見かけた運転手がブレーキをかけて車を停めると姿が見えなくなってしまう。

ラウの起こしていることなのか?

ラウが水道管に触れる。

水しか出ないはずのシャワーからお湯が出てくる。

ラウは何者なんだろう?

まぁセリフはほとんどないよ。おディーン様の。

ただ、居ることの存在感は感じる。

ラウの身元を探しに情報を探しに行く。そこには年配の人も居る。日本の軍歌を歌い出す彼ら。

日本が戦時中に支配していたことをあまり良く知らないけど、インドネシアでオランダ軍が戦っていたらしい。

ラウを見かけた人がいないか探している時、サチコは一人写真の写された場所を探している。気になるクリス。写真の場所に見当をつけて連れて行くがちょっと違うかもというサチコ。

記者になることが夢だというイルマはラウのことを撮影しながら探していく。

帰ろうとした時、熱中症で倒れた少女を見かける。水を取りに車に戻ったり人を呼びに行ったりしている中、ラウは少女に寄り添い、手のひらに水の塊を作って、少女に飲ませて少女を助ける。

イルマはそれを撮影していた。

大学生の男女4人がメインになっていく。

幼馴染のクリスとイルマ。従兄妹同士のタカシとサチコ。

クリスはサチコのことを好きになったとタカシに告げる。

タカシはクリスに「結婚したら俺たち兄弟になるのか?」とおちょくる。

でも、インドネシアだと宗教の問題で簡単に結婚出来なそうな感じ。クリスとイルマは宗教が違うという理由で付き合わなかったとイルマは言う。

サチコの歓迎パーティに来たクリスはモジモジしながらサチコに「ツキガキレイデスネ」と片言の日本語で思いを告げる。

日本人の母親とインドネシア人の父親の間に生まれ、日本に行ったことはないが、日本語の読み書きはできるタカシにサチコが日本語の本を数冊持ってきていた。

そして貴子がタカシに夏目漱石の話をしていた。

英語教師だった夏目漱石が「I Love you」を「我君を愛す」と訳した生徒さんに明治時代、そんなことを言う日本人はいないってことで「月が綺麗ですね」くらいにしたらという話があると教える。

日本を知らないタカシは日本では「好き」ということを「月が綺麗ですね」と言うものだと思いこむ。

はっきり言えば、そんなことを知っている日本人はどのくらいいるのだろう?私は数年前にドラマで右京さんが言っていたから知ってたけどってことでサチコには本当の思いが伝わらない。

クリスはサチコの態度に振られたと思う。

クリスはイルマに「変なことを言ったんじゃないの」と言う。以前イルマと付き合うときにイルマとしたら言われたくなかったことを言われたらしい。

津波で母と妹と家を失ってしまったイルマ。それを気の毒だと思うクリスの優しさが逆に彼女を傷つけていた。

難しいね。どこの国でも。

記者希望のイルマに貴子は友人のジャカルタの新聞社の記者のレニを紹介する。

記者になりたいと思うイルマはラウの映像をレニに見せる。

ラウが水の塊を作りだした映像。地元の新聞社に送ったら手品だろと相手にされなかったためにわかって欲しいって気持ちがあったのだろう。

レニは映像をもう少しちゃんと見たいから貸して欲しいと言う。

渋々了承してしまうイルマ。

どこの世界でも成功する人間はずるいのです。

サチコは高熱を出して寝込んでしまう。

熱にうなされるサチコをラウは海へと引き連れていく。海で漂いながら、写真に写っている場所を確認するサチコ。

眠りから覚めたサチコの熱は下がっていた。

心配したクリスが朝からお見舞いに来てくれた。サチコはクリスに夢で見た場所を確認する。そしてそこにどうしたら行けるかと聞くと連れて行ってあげると言われるサチコ。

約束を取り付けたクリスはウキウキだ。

テレビを見るとラウとレニが会見をしている。イルマの撮影したものを自分で撮影したものとして流してしまうレニ。

それを見て固まる従兄妹たち。

会見中、「疲れたので帰ります」と会見場を後にするラウ。

追いかけるレニの前にラウの姿は消えている。

そしてタカシとサチコの目の前に現れるラウ。

「どこでもドア」か?

タカシは自宅のドアを開けて確認する。

タカシの行動が面白い。

バンダがサチコの探しいている場所ということで船乗場へ向かうサチコとタカシ。そしてラウ。

貴子の働いている場所で車を降りてしまうラウ。

ラウを置いて船乗場へ行く。サチコはクリスと待ち合わせをしているというが、クリスの姿はない。

タカシはなぜか「クリスは来ない気がする」とサチコを絶望させる。二人で船に乗り込む。

その頃、クリスが現れ、イルマも一緒だ。元々イルマがクリスを誘って行くことになっていたのだが、結局4人とも同じ船に乗船することになる。

船の中でクリスを見かけたサチコはイルマと一緒のクリスに勝手に裏切られたと思い、ビンタしてしまう。

意味のわからないクリス。

そこにタカシも来る。

クリスは先に僕を振ったのはサチコだと言う。

何がそうなったのかもわからないサチコ。そして「月が綺麗ですね」とまた続けるクリス。

勘違いしたことに気づくサチコは笑いだし、4人でもとになり、「幸せなら手をたたこう」を歌う。

言葉は違うけど同じ歌を歌っている彼ら。

バンダに着くとなぜかラウの姿がある。

また固まるタカシとサチコ。

ラウって何者なんだろう?

でもサチコはラウに自分がここに来るようにしたのはラウだよね?と確認する。

サチコが探していた場所は亡くなった父親の影を探して遺灰を散布することだった。

タカシはイルマに「月が綺麗ですね」と言い、海へと入っていく。

散布するサチコ。

撮影するイルマ。

どこからかラウの唱える声。

子供の唱える声。逆流する滝。

何が起きているのか?

人々が棺を抱えて歩いていく。子供が4人川に流されたと。

ラウが子供を川に引き込んだと言う。

ラウは「そろそろ帰ります」と海へと駆けていく。

遠浅の海なのか?

その後に続く4人。

途中で消えてしまうラウ。

かなりのところまで行ってしまっている4人。波に流れてしまっている。

ラウは本当はこの4人を道連れにしたかったのではないだろうか?

そのかわりが子供4人だったのではなかったのだろうか?

ラウの行動は良いことをしているだけではない。

痴呆のすすんだ老人に手をかざしていた。その夜にその老人は亡くなってしまう。

船乗場へ来るときに貴子のところで車を降りていたが、なぜか貴子を気絶させてしまう。その後の貴子は?

そして子供を川に引き込んで殺してしまっている。

ラウの目的は?

この映画にはきっと明確な結末はない。

「心揺さぶる美しきファンタジー」

が何を意味していたのか。

私にはわからなかった。

ラウは何をしに来た誰だったのだろう?

海に入った4人は岸に戻れたのだろうか?

かなり結末が気になる終わりだった。

おディーン様、前作の「結婚」の最後も海に消えるシーンだったな。

おディーン様の映画はとてもいい感じなんだけどね。

綺麗だし。彼が綺麗なんだろうけど。

筋肉があるわけではない。年齢よりもちょっとぽっちゃり系な感じよ。

次の「空飛ぶタイヤ」は一転カッコいい役。ラウは不思議な役。

セリフは・・・ほとんどない。

太賀がほとんどネイティブインドネシア人。

鶴田真由は変わらず綺麗。

阿部純子もこれから期待したい女優さん。

サチコの父親の死因が東日本大震災の津波であればスマトラ沖地震の津波被害の地域へ来ることも納得なんだけど、そこも想像するしかない。

そんな映画。