【映画 閉鎖病棟-それぞれの朝-】感想。犯罪者にされてしまう人

罪になる人、罪にならない人

誰がその人を咎められるのか?

死刑囚になったその人は本当に悪い人なのか?

世の中には社会的に迷惑でも罪にならない人がたくさんいる。

その人の罪は・・・その人の責任ですか?

閉鎖病棟

私が過ごした場所は閉鎖病棟が何棟かあった。

きっとそれぞれ症状の違う人が居たのだと思うが、検索しても同じ地域で3つほど病院の名前があがる。

精神病患者の人が身近であったと思う。

地域の運動会やお散歩などでもすれ違っていたりしたから。

閉鎖病棟と言ってもまぁ精神病病院ってことだと思う。

精神病って?って言う定義も曖昧だけど、今回のケースのようなことがあるのだろうか?

まず、笑福亭鶴瓶さん演じる梶木秀丸。

死刑執行で死にきれなかった死刑囚。

行く場所がないということで閉鎖病棟に居る人。それでも精神的に疾患がある。死刑になる要因となった場面がフラッシュバックする。

綾野剛演じる塚本中弥のチュウさん。

一見、他の人とはまるで雰囲気が違い、どうして入院しているのかわからないが、それでも入院している要因が出てくる。

綾野剛、先月の「楽園」に続き、精神的に弱い役。「綾野剛」というオーラの欠片もなく、目の生気を失くす役。チュウさんの発作。全身全霊ですごかった。

小松菜奈演じる島崎由紀。悲しい役だ。

小松菜奈も体当たりで大変な役だったんじゃないか?

母親に連れられて入院させられるが、1ヶ月引きこもっていたからというだけの理由。

入院前の検査で妊娠していることも判明。母親には言っていないという。

まぁこの母親役の片岡礼子の方がヤバかったけど。雰囲気的には。

由紀は入院直後、屋上から飛び降りる。

が、チュウさんが手入れした樹木があり、軽症で済む。

秀丸さん、チュウさんの見守るような対応で徐々に心を開く。

が、そこに由紀を引き取りに両親が来て退院させられてしまう。

由紀は母親に「あの男と別れて」と言うが、母親は自分の再婚相手が自分の娘に暴行していることよりも暴行された娘を責める。

こんな子がきっといっぱい居るんだろうな。

子供のことなんか考えずに自分のためにだけ再婚し、鬼畜のようなことをさせても別れないという。

由紀は自ら戻る。

入院患者には話すのが苦手であったり、感情の起伏が激しかったりする人が居るが、人を傷つける人は一人しかいなかった。

衝動的に暴力を振るう行為も精神疾患になるのか?

周囲の患者も彼の行動に怯え、病院スタッフが監視をしていたが、それでも目を離したすきに由紀に襲いかかる。

由紀は居場所を失くす。

それをただカメラで撮るだけの昭八。

由紀が居なくなったことを知り、昭八はチュウさんにカメラをデータを見せる。

怒りで発作を起こしそうになるチュウさんを落ち着かせる秀丸さん。

秀丸さんは一人、彼に復讐をしていた。

病院内ではウジ虫を成敗してくれたと感謝の念しかないが、それでも元死刑囚から再度、起訴され拘置所に収監されてしまう。

何もできないチュウさん。

それでも退院し、何か出来ないか模索する。

裁判が始まる。

そこに由紀が現れ、弁護側の証人として証言台にたち、事の経緯を話す。

チュウさんは弁護士さんのところに行っても、言えなかったこと。それは由紀の人権があったからだろう。秀丸さんが全部忘れろと言ったからだろう。

チュウさんは秀丸さんに退院したことを告げる。

それを聞いた秀丸さんは生きる気力を取り戻したのか?

拘置所?刑務所?で立つ訓練を始める。

ハイジ的には「クララが立った」だけど・・・

秀丸さんが立とうとしたで終わった。。。

秀丸さんという死刑囚になった人。それだって元から悪人ではない。悪人だったのは殺された二人であり、一人は秀丸さんの優しさだ。

自分が居なくなったらこの人はどうなってしまうだろう?

そう考える前に気持ちを抑えなければいけないのだろうけど、それでも人は切れてしまう。

それをお互いにきちんと知って、お互いに最低限の気遣いをし相手を切れさせないことが絶対に必要。

自分の身勝手で自分が殺されるだけじゃなく、相手の人生だって終わりにしてしまうのだから。