ドラマ化されてるだけに
- 作者: カズオ・イシグロ,土屋政雄
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2008/08/22
- メディア: 文庫
- 購入: 32人 クリック: 197回
- この商品を含むブログ (333件) を見る
ノーベル文学賞作品になると案外読まなかったりするのだけど(表現が難しすぎて)この作品はドラマ化や舞台化されているだけに映像になりやすいという点では読みやすかった。
金曜ドラマの印象
きちんと見たわけではなかったけど、ダイジェストで何度か見ていたからなんとなくな内容はわかって読み始めた。
まだ施設での小さい頃のストーリー部分がとても印象的で綾瀬はるかじゃなくて鈴木梨央なイメージ。
麻生祐未の厳格な校長先生のイメージとって感じだった。
小説の舞台は当たり前だけど、イギリス。
1990年末というからつい最近が舞台。
今や日本以上に海外は臓器移植が当たり前なのだろうか?
そんなところからの発想なのか?
臓器提供者がいないのなら、そのためのクローンを作るという発想が驚く。
まず、物語はヘールシャムという施設での暮らしがメインだ。
そこは閉塞的な施設で保護官と呼ばれる先生に生活から何から面倒をみられる。
ヘールシャムに来る子供はどういう選定なのか?
大人になったキャシーたちが回想する。
ろくでもない親から生まれているはずだと。
育てられなかった子供が提供者として施設で育てられるということなのか?
かなり歪んだ世界に突入していく感じがする。
介護人として働くキャシーは臓器提供をしていく仲間の介護をしていくわけでその過程で繋がりや思想を現すためにどういう教育を受けていたかがメインになっている。
キャシーには親友のルースという存在がいつでもいる。
閉塞的な中でも絶対的な存在は現れる。
ルースはキャシーと仲の良かったトミーと恋人となる。
この小説には普通に「セックス」という単語が出て来る。
日本人のこの手の文学小説では珍しい。
日本があまりにも遅れているのか?って感じでもあるけど。
子供が読んでも臓器提供やら何やらきちんとした説明がないと理解ができない世界かもしれない。
そこに性についてもかなりフラットに出てくる。
日本だとこれは何歳以上を対象にしたい文学になるのだろう?と後半は思っていた。
そんなにキワドイ表現があるわけではない。
それでも日本人として今までこういう作品でここまで単語として出て来ること。目にすることはなかったなぁって印象。
他の作品も読んでみようと思う。
臓器提供で4回も提供したら役目が終わる。。。
人形とかのパーツとりじゃないんだからとか人間の尊厳はとかそんなことをひどく感じた。
イギリスではどういう反応なのだろう?
カズオ・イシグロさんはイギリスでどういう思いでの作品を書いたのだろう?
そんなことを感じる作品だった。