高校生の淡い思い
高校生の時期、私も好きな相手は社会人だった。同年代の男の子には全く目が向かない。
まぁファザコンだったのだろうと思う。
そして、小松菜奈演じる橘あきらも親の離婚もあって父親の存在と重なっている部分もあったんじゃないかって勝手に思っていたけど。
40代のおじさんは臭い
もうね、最初は大泉洋演じるファミレスの店長のおじさん臭が漂う笑い。
あきらと一緒にバイトをしている松本穂香演じる西田ユイは普通の感覚の持ち主で45歳の店長のことを「店長って何か臭いし」と言ってしまう。
それを聞く店長はおもむろにワイシャツを着替える。そして同年代の濱田マリ演じるベテラン店員に「俺って、臭いかな」とポツリ。
ベテラン店員は店長の煮え切らない態度をあまり良く思っていないこともあり、「臭いですよ。」と一刀両断。
バッサリと切り捨てる感じで小気味いい。
大泉洋と濱田マリの掛け合いがツボ。面白すぎる・・・
そんな店長に恋しているあきら。
美人のあきらをバイト先の磯村勇斗演じる加瀬亮介やクラスメイトでもありバイトも一緒の葉山奨之演じる吉澤タカシが思いを寄せる。
そんな二人には塩対応のあきら。
でもあきらの態度に店長は「嫌われている」と思っていた。
愛想のないあきらは見つめているつもりが店長は睨まれていると思う感じで。
ある時あきらは店長に打ち明ける。
「私、店長のこと好きです。」
突然の告白に嫌われていると思っていた店長の対応は「良かった〜」と想像と違っていた。
まぁまともに取り合ってもらってなかったのだけど。
あきらはお客様の忘れ物を届けるためにダッシュをする。すごいスピードに驚く。
あきらは陸上部の短距離走の選手だった。
でも、練習中にアキレス腱を断裂していた。
久しぶりのダッシュで炎症を起こしたあきらを病院へ連れていく店長。
距離が縮まるのか?
車の中で店長に本気の思いを伝えようとするが、さすがに45の分別ある大人は反応にこまる。
が、あきらの必死さに負けてしまう。
あきらはバイトを休んでいるところに店長がお母さんに挨拶をしに来たと手土産を持ってあきらの家の近所を訪れる。
横浜駅の近くの繁華街に住むあきら。
店長は「すごいところに住んでるね〜。何でもあっていいじゃない」と言うが、あきらにとって店長がいない場所は「何にもない場所」ってことらしく「何もないです。」と言う。
他の店のファミレスでドリンクバーからコーヒーを持ってくる店長。そしてミルクを手品で出す。
「うん?デジャブな感じ?」
ここでやっとあきらが店長を好きになった経緯がわかる。
怪我をしたあきらは松葉杖をついた状態で雨の中、ファミレスで時間を潰していた。
そこが今のバイト先のファミレスだった。
そしてぼーっとしているあきらに店長がコーヒーのサービスを持ってくる。
「ブラックは飲めない?」と言うと手品のようにミルクを出して驚かすのだった。
陸上だけに熱中していた彼女の心に店長がストンと落ちてしまったようだ。
そんな〜時代も〜あったねと by 中島みゆき「時代」
って感じ。
年齢とかじゃなくて、なんか突然落ちる人って居るなぁ〜。私も小学6年の時に新卒採用で来た先生に突然ビビビってきて初恋に落ちたもの。
未だに年賀状のやりとりくらいしている関係ではあるけど。
まぁ今思うと11歳上だけど、小学生だからね。
高校生と45歳よりはマシでしょうが。初恋なんてそんなものよね。
あきらは店長とデートの約束を取り付けたところで、店長への思いを高瀬に知られてしまう。
高瀬は黙っている代わりに自分とデートすることを要求する。
桜木町駅前で待ち合わせる二人。あきらはオシャレ要素ゼロの「空手チョップ」と書かれたTシャツとデニムというスタイル。
そしてホラー映画に行き、お茶をする。
高瀬は店長に憧れる行為を批判する。まぁそうよね。男ですもの。
店長とのデートも桜木町駅前。あきらはワンピースでオシャレをしている。
映画は高瀬と見たのと同じ映画。そしてお茶も高瀬と同じ店。
あきらは「次はどこに行きますか?」と要求するが、さすがにおじさん店長は「いや、もう帰らないと」と煮え切らない。当たり前ですね。
それでもしつこく要求し、「つまらない場所でもいい」ということで、二人で図書館へと行く。
店長は小説家を志していたが未だに何もない。
あきらは店長に「何かオススメの本がありませんか?」と言うと「君が必要とする本があるはずだから」と返す。
あきらは「Run」という陸上の本を手にする。
店長は九条ちひろと言う作家の小説を手にする。そこにあきらが来ると「これを書いた人間、知り合いなんだ」と言う。それを褒めるあきら。人はなぜ著名人と知り合いというだけでその人まで「すごい」と勘違いするのだろう?
ってことで、最初九条ちひろは別れた元奥さん?とか思ったのだけど、もっと衝撃的だった。
あきらの思いは止まらない。
両思いになれるというキーホルダーのことを聞くとガチャガチャをずっと回す。そこに親友の清野菜名演じる親友のはるかが通りかかる。
陸上部の部長なんだろうな。そして親友。あきらの復帰をずっと望んでいるけどなかなか言えない。
あきらは夏祭りにはるかを誘う。
浴衣の二人。
あきらの目的は子供と行くと言っていた店長と会うことだった。それを感じたはるかは「部活に来ないで何をしているの?」とけんかをしてしまう。
店長はお祭りの後に居酒屋へ。そこには先客が。
なんと九条ちひろ役は戸次重幸だった。
シゲと大泉洋が演技とは思えない感じで・・・すごく良かった。
でも恥ずかしいだろうな。そのまんまを演技するのってって感じ。
シゲの九条ちひろがなんかすごいピッタリだったわ。
まぁあとあきらの母親役が吉田羊で、まぁある意味ある組み合わせだなって思ったわ。
美人同士。
あきらは母親に陸上のスパイクやユニフォームを捨ててと持ってくる。
雨のシーンの多い映画。
反面、青空も印象的。
あきらの心を表したような天気だったのかもしれない。
店長は子供に「早く走れる靴」を探しに来ている。そこにはるかが居合わせる。はるかにとって、あきらをそそのかした感じの存在の店長。それとなく気にしてしまう。
はるかは店長に話しかけてしまう。そして「そんなに悪い人じゃないみたい」と感じる。
ファミレスのバイト先でお客に突然声をかけられるあきら。それは1学年下の山本舞香演じる倉田みずきだった。
みずきは他校の陸上部だがあきらを目標としていた。
そんなあきらが競技会からいなくなり、バイトをしていることにショックを受ける。
あきらの心が揺れる。
晴れた日にまた現れたみずきはゴミ出しをしているあきらに向かって全力で走ってきて壁ドン。
身長の高い小松菜奈に壁ドンするのが大変だったって言ってたシーンだな。これ。
そして、自分もアキレス腱を切って腐っていたときにあきらの走りを見てリハビリを頑張ったんだと言う。
店長はあきらのシフト希望を見て「もっと好きなことをしていいんだよ」と言う。
「好きなことなんてありません」
揺れ動くあきら。
風邪をひいて休んでいる店長の家に行くあきら。店長も大変よね。これで17歳が騒いだら、勝手に来ても45歳の負けだからね。
そんなことまで考えられないのがまた若さなんだけど。
大雨の中に行き、思いを届けようと必死になるが、おじさんも必死に「自分はそんなに好きになられる人間じゃないんだ」と否定する。
突然、停電する。
そこに乗じて抱きつくあきら。
それを返してしまう・・・店長。
電気がつき、平謝り状態の店長。「友達としてのハグだから」
タクシーで帰すときに店長があきらにお願いをする「友達としてお願いできるなら・・・」
暴風雨で飛ばされる店長。
翌朝、台所から朝食の準備をする音。
え、あきらは泊まったの!?
の演出のあとに実際にいたのはちひろだった。
夜中に「孤独死する」とちひろにSOSをしたらしい。
二人のやり取りは面白いし、いい雰囲気。
浜辺で店長と子供とあきら。
店長は雨の日の帰りに「友達としてお願いできるなら子供に走り方を教えて」と言っていた。
子供と一緒に海辺を走るあきら。
あきらは走ることが好きだった自分を思い出す。
風を感じるのが好きだった自分を。
そして店長は言う。
「橘さん、来週からバイト来なくてもいいからね。来月も再来月も」
あきらがやっと店長断ちできた瞬間だった。
そしてあきらは陸上部に戻る。まずははるかとランニングから。
競技会の名簿のあきらの名前に興奮するみずき。
いろいろな人の思い、支えがあって生きていることを感じるなぁ〜。
ほんと繋がりを強く感じる。
そして大泉洋がテレビで「自分は映さなくていいから」って言ってたシーン。
小松菜奈の綺麗さがほんといい。
川辺でランニングしている陸上部の団体とすれ違う店長。
久しぶりに会った二人。
店長「橘さん、元気」
あきら「はい。店長もお元気ですか?」
店長「今度、昇進することになったんだよ」
この後の感動するあきらの顔がね、いいのよ。うん。
喜びを一番に教えてもらったってことの感情なのか?わからないけど。
最初はクスって笑い、最後はホッとした感覚。
小松菜奈の眼力がほんとこの映画のポイントだなって思う。
彼女のシンプルな美しさがあって情けない要素になってしまっている中途半端な自分を引きずるおじさんとがいいのだろうな。
バイト先の高瀬や濱田マリの店員や。
私にとって今でも一番好きなのは初恋の相手だけど、もう還暦間際。どうなっちゃってるだろう?って感じだけど、きっと見た目とかじゃないんだと思うんだよね。
人を好きになるって。
ってことを思い出す映画です。