昨年の今頃
私が将棋に興味を持ち始め、将棋連盟のホームページを日々チェックし始めた頃に出た記事。
先崎学九段、休場のお知らせ
その頃、名前だけは知っていた。
「3月のライオン」の監修をされていた棋士の名前だから。
一身上の都合
同年代の棋士だから、休場の記事を見た時思ったのは、ご病気なのかな?だった。
まだ棋譜をやっと解析ソフトで藤井七段(当時四段)を見るくらいだったから、他の棋士の先生をそこまで知らなかった。
そして、5月の名人戦第5局の解説に登場し、先崎九段を知った。
確か、聞き手が谷口女流二段。
休んでいた時のことにちょっと触れたのだけど、先崎先生は「休んでたときのことを本にまとめたのでそれを読んで欲しい」とのことだった。
そのときにはまさか「うつ病」だったとは本当に思わなかった。
そして、この本のことはその谷口女流二段のツイートで知った。
表紙に書いてある文字が「え?ほんとに?」って感じで、すぐに予約した。
まぁ珍しくAmazon時間がかかったわ。
昨日到着して、コインロッカーに入れて取り出せなくなり、やっと今日最後まで読めた。
先崎先生が回復した大きなきっかけは弟弟子の中村王座の活躍と存在だったことが伺える。
そんな二人が今日、順位戦で対局をしている。
うつになってまだ本調子でない先崎先生に対しても手を抜くことなく粘った中村王座のことだから、今日の対局も厳しい展開になっているのだろうと思う。
うつ病は「心の病」だと思ってた。
でも、この本を読むと「脳の病」だということを知る。
棋士の体験談だからなのか?とも思うのだけど、世間の認知とは別のものなんじゃないかと思う。
なかなか回復した方の体験談のようなものを読む機会はない。
先崎先生が元々執筆をされていたことやお兄様の存在というものがこの本の信憑性を高める。
うつ病は他の内臓疾患やらと何ら変わりのない病気のはずなのに、なぜか精神的な疾患ということで数値で出るものじゃないから分かりづらい。
でも、ある日突然脳のスイッチが切れる?止まる?
脳の機能が止まると感じる様々なこと。
感じないから感じる違和感なのか?
この本に登場する棋士。特に奨励会員の渡辺和史三段の応援をしたくなった。
先輩棋士のためにか自分のためにかはわからないが、それでも先崎先生が復活する何かを与えた存在であることに違いはないから。
棋士という仲間意識。
今、対局していることで「うつ病」は自然治癒力で回復させることが出来るということがわかる。
ただ、周囲の助けが本当に大切なんだということも同時にわかる。
- 作者: 先崎学
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2018/07/13
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