80年代という時代
ビョルン・ボルグの全盛時代を私は知らない。
私の記憶ではジョン・マッケンローが全盛期だった。
プロの世界の厳しさが改めてわかる。
俳優さんすごいわ
ボルグってこんな人だったよねって思ったんだよね。
ポスター観て。
幼少時代のボルグ役はなんとビョルン・ボルグの実子だって。
全然違和感なし。
80年代って感じのラケットにウェア。
モナコのホテルのベランダから身を乗り出すようなしぐさ。
世界ランキング1位でウィンブルドンの5連覇を目指したシーズンの話とそれまでの話。
世界ランキング1位となったボルグは「氷の男」と言われた24歳。
当時もトップとなった選手にマスコミとファンはどこまでも追い回す。片時も息が抜けない。
5連覇への葛藤。
コーチと婚約者だけが唯一の味方。
ボルグの精神状態はかなりギリギリに見える。
精密機械のようなテニス。
感情を押し殺し、テニスをしているボルグ。
その対極のようなジョン・マッケンローは若手のライバル。
世界ランキング2位でありながら、スポーツマンシップがなく、審判の判定に怒鳴り散らし、ファンからはブーイング。記者会見ではテニス以外のことしか質問されないことへの苛立ち。
そんなマッケンローを見て、複雑な表情を浮かべるボルグ。
ボルグとコーチの出会いはボルグの少年期、ボルグの少年時代はマッケンローと同じく、審判に猛抗議をし、ラケットを叩きつけ、キレやすい性格で、テニスクラブで退会させられる。
ただ性格のせいかと思ったが、家庭のランクによるものであった。
だが、スウェーデンの代表監督のレナートは彼の才能を見込んでスカウトに来た。
レナートはボルグのキレやすい性格改善から着手したのだろう。
ボルグは感情を1球1球に込めることで感情の起伏を抑えることに成功し、世界ランキング1位になった。
ウィンブルドン5連覇を期待する声と敗戦を期待する空気。
追われる立場でどんどん孤立を深めていく。
1回戦から格下選手相手に苦戦しつつも勝ち上がるボルグ。
それを見たマッケンローは自分もボルグのような選手になるように努力したことを口にするが、無理だと言う。
どこかで「勝つこと」の執念がなければ世界ランキングトップになることは出来ないのだろう。
それでもテニスの選手として感情のコントロールをすることを一人で成し遂げるのは大変なことだろう。
マッケンローは決勝でボルグと戦うことだけを考えて壁にトーナメント表を書く。
マッケンローは審判に鳩までもどうにかしろと無茶振り。
それを見たボルグは自分の中にもあった同じ感情を思い出す。
そして、雨天で中断している試合を中止するようにコーチに求めに行かせるが、天気は戻り試合は続けられる。
ボルグのストレスは頂点になり、運転していたコーチにクビを言い出す。
しまいには婚約者のマリアナまで追い出してしまう。
マッケンローのモチベーションは父に褒められることだった。
頭が良かったのか、マッケンローは幼少期に掛け算を暗算していた。そこで褒められることとテニスで勝って褒められることは同位だったのか?
試合では父に勝利を届けたいとばかりに暴言を繰り返す。
同胞の相手選手にも失望される。
決勝、いよいよボルグとマッケンローが戦う。
1セット目はマッケンローが取った。
2セット目、3セット目をマッケンローが取ったが、マッケンローは悪態をつかずに試合を続けている。
そのことを試合の途中なのに褒めてしまったボルグ。
マッケンローは憧れの選手の一言に自分のテニスを取り戻し、ボルグの7回ものマッチポイントを逆に取り返して2−2にする。
5セット目も死闘を繰り返すが、最後はボルグが5連覇を達成する。
すごく長く感じる2時間。
いろんな暗い感情がうずめくトップの世界。
大変だなぁ〜。
凡人にはわからない重圧との戦い。
感動とかってことよりは知らなかった世界を知ったくらいの感覚。
30年前のテニスと現代のテニスではラケットもウェアも違うし、やっぱり素人っぽさのあるラリーに見えてしまった。
昔だから?
それでも孤独との戦いに勝てた人がトップに立つのだと思った。