【映画 エリカ38】感想。樹木希林さんの存在感。

実話だけど本当のことは知らない

樹木希林さんが人生の最後に浅田美代子さんのために企画したと言われている作品。

この事件は2年前に実年齢62歳の女性が38と言って31歳のタイの男性に貢ぐ。

バレているのだろうけど、それでも38になろうとするのがすごいと思った。

それを浅田美代子さんが演じる。

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昭和を感じる世界観

そう、平成最後に事件となっているのだけど、物語の雰囲気は「昭和」

あぁ〜それでも平成なのか?ネットワークビジネスという怪しいものに何かを信じるのは。

当時のメディアで報じられたのは「架空の投資話でお金を集めた」投資詐欺。

でも、それだけならきっとニュースになってもここまで世間が知ることにはなってないんだろうな。

逮捕されたのが逃亡先のタイでしかも38と偽って31の彼氏と居たっていうのが格好のワイドショーネタになって、「映画観に行くんだ」「どういう映画?」「60過ぎの女性が38って言ってた事件の映画」と言うと「あ〜」って感じで知っている。

浅田美代子さんがテレビで言っていたのは、「私、この人演れるよね?」だった?

芝居モンスターの樹木希林さんにデビュー当時から可愛がられてもなぜか「芸」を磨くよりも「女性」を磨くことに行って、浅田美代子さんは女優さんというよりタレントさんという認識になっている。

それでも何か代表となるような作品ということで樹木希林さんが企画から乗り出して人生最後を美代子さんに捧げた。そんな作品だと思う。

去年の「万引き家族」以降、死期を感じながら出演されたという作品が「日々是好日」と「エリカ38」なんだろうな。

あれ?樹木希林さんの出演作に「ゴンドラの唄」って言うのが追加されている・・・まだ出演されていたんだ。

浅田美代子さんの印象は私が物心ついた頃には「時間ですよ」は終わっていて、最初の印象は「吉田拓郎と結婚」だったと思う。そしてすぐに離婚してって感じくらい。

そして90年代から始まった「さんまのSUPERからくりテレビ」で認知した感じ。

この映画はそれでも38にならなきゃいけないわけで。浅田美代子さんとこの山辺節子という人は同学年くらいなのか?

老けた役はどうにか頑張れるけど、若返るのは結構(かなり)大変だよね。

浅田美代子さんがあの体型を維持していたから出来たってこともある。

脚とかすんごいキレイなまま。

顔も・・・キレイな場面と落ちぶれた顔と、女性の人生をぎゅっと濃縮したような変化。

38はさすがに無理だけど・・・60にも見えないわけで。

この映画はどこまでノンフィクションなのか?

橋本弘という窪塚俊介演じる記者が「取材」という形で事の真相を調べていく。

未だにわからないのが最初の木内みどり演じる伊藤信子という女性の正体というか実態。

水商売と健康食品のネットワークビジネスをしていたところを突然声を掛ける。

木内みどり・・・すんごい久しぶりって感じがする。

伊藤の紹介で平岳大演じる平澤を紹介される。平澤は国際的なビジネス展開をしているという話で人々を魅了していく。

そして「途上国支援事業」というものに加担することに。雰囲気がチャーミングでセールストークも人々を惹き付けるものを持っていた聡子。人々は「支援します」とお金を持ってくる。

いつしかそのお金は彼らの交遊費に費やされる。

そして聡子は裕福な男性と知り合い豪邸を手に入れる。

そこで老人ホームに入所していた樹木希林さん演じる母を自宅に呼び寄せる。

ほんと小さくなって実年齢よりももっと上に見える希林さん。お年寄りがしそうで本当にそんなことする?なことをさらっとする。

目がどうしても行ってしまう。

映画では聡子の43年前があぶり出される。事件を起こす人は過去の因果応報ってことなのか?

実際には父親に溺愛されて母親に疎まれていたということだが、映画では父親が平然と不実をしながらも家の中では暴君だという設定だ。

それがずっと心に影を落としたことで詐欺をする心根になるというのは変だろうと思うのだが。

社会的にはそんな感じか。

ビジネスパートナーだと思っていた平澤が支援者と密会していることを知り、平澤を見限りタイへ行く。

タイで眼の前で突然喧嘩が勃発したところに割り込める?

割り込んでお金で解決するわけで。助けられたタイの青年は「自分はお金を盗ってない」と言うが「僕は返すことができない」と。そして「エリカ」と名乗り、一緒に居るようになり、ポルシェと言う青年に貢ぐ。

帰国する。

そこに支援者が乗り込んでくる。その頃にはいろんなことが火の車状態。

支援と配当金というちょっと意味のわからないカラクリ。

まぁ出資法に違反する行為であることは認識しながらも「儲かる」ということをちらつかせた商法なのだろう。

詐欺だって思わないのがすごい。

何を「支援」するつもりだったんだろう?自分たちも最後には「どこから配当が出るのだ?」と言っている。

途上国支援なのに配当なんてあるわけないじゃない。

きっと今だってこの瞬間だって騙されている人は大勢いる。

その人たちはこの映画を観ても「自分は違う」と思うのだろうな。

聡子は支援者から囲まれるが、聡子自身はお金を使う側であって集める仕組みは別のところだったから、どこか「暖簾に腕押し」的な感じ。

騙しているという認識があったのかということもあるのだろうけど、詐欺師の人ってきっと「騙す」つもりはなくて「一緒に頑張りましょう」なんだろうな。

何を?って感じだけど。

それでも支援者が帰ろうとするとなぜか引き留めようとする。金庫のお金もない。

家政婦が南海キャンディーズのしずちゃん。

あぁ〜だから、公開挨拶がタイムリーに相棒ネタになったのか。

しずちゃんにぴったりな感じの役どころだったな。うん。

最後に残された母親と聡子。

聡子は「お母さん、一緒に死のうか」というが、母は「私は嫌よ」と拒まれる。

聡子は自分の最後の財産ポルシェを売却し、母親を老人ホームに預ける。

タイにはポルシェが待っていた。そこは聡子がポルシェに買ってあげたものだったのだろう。

それでもそれも続かずタイで国際指名手配されていた聡子は逮捕される。

日本のマスコミにコメントを求められ「私も被害者」と言っているが何の被害者なんだろう?

他人のお金で贅沢三昧をしたのに。

確かに伊藤、平澤に騙されていたのかもしれない。それでもそれに見合った以上のものを手にしている。

事実なのかどうなのかわからないが、警察に通報したのがポルシェだったのか?

ポルシェは新しい女性とエリカにもらった家で生活しながらもエリカへの手紙を記者の橋本へ託す。

そこにはこの家で待っているという内容。

橋本はエリカに事実は言わないだろう。

そしてエリカのネタで書籍化しそのお金はどうするのかと聞かれる。

どうするのだろう?

浅田美代子さんの代表作になったと思う。

悲しい表情、戸惑いの表情。あんな60代になれたらと思うが、難しいな。

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