ネグレストでもあると思う
誰彼構わず怒鳴りまくる父に頭の回転が遅い娘はただただ萎縮してしまう。
誰のことも信じない父親を娘はどう思っていたのだろう?
タイトルの意味は?
「空白」というタイトルの意味が観終わってもしっくりとこない。
キャッチコピーとして「空っぽの世界に、光はあるか」ということで、空白というのは「空っぽ」ということなのか?
今の社会の縮図のような作品なんだと思う。
クラスに一人くらいはいる、存在感がまるでない少女。
少し知的障害要素があるのではないかと思うが、最近はグレーの子供が増えていると言う。
努力をしてもなかなか他人に伝わらない。多いのかもな。きっと。
他人に意識されない少女が万引をして店長に見つかりなぜか逃げる。
まぁ松坂桃李演じる青柳直人もこの一見して大人しそうな少女までもが万引をしていることに怒りがあったのだろうと思う。
そしてまさかの逃亡。追いかけるよね。
娘は父親に知られることの恐怖があったんだろうなぁって。だから必死になって逃げたんだろうなって。
そして不幸にも無残な死。
突然飛び出してきた少女をひいてしまった女性。彼女は悪くはない。それでもそれは誰にもわかってもらえない。
本来は、店長が証明出来たはずだが、それもせず自分も被害者となりいろんな歯車が狂い出す。
まず一番の元凶はマスコミだろう。誰得な情報を垂れ流す。そして無関係の人間までが正義を振りかざし始める。
スーパーあおやぎのパートの寺島しのぶ演じる草加部はほんと正義を押し付ける偽善者以外の何者でもない。
ただただ気持ち悪い。
なんか一番まともだったのは父親の古田新太のところで働いている藤原季節演じる野木くらいだったかもしれないな。
母親が田畑智子だったのだけど、印象がまるで違う。
父親が娘が亡くなったことで悲しみを外に向ける。
誰もが思っている、「あなたが追い詰めていたのだ」と。それは信じない。
自分は悪くないのだから、娘が自分を恐れていたなんて思わない。
娘のことを知らない父親。そこからモンペになり学校に原因を求めるが、それは思っていた以上に信じがたかったのではないだろうか。
クラスメートの誰からも印象がないとアンケートに書かれる。
店長を追い詰めて「本当のことを話せ」と追い詰める。父親が望む「本当のこと」とはどんなストーリーなんだろう。
娘の部屋で娘のアルバムを見てやっと気づく。「うちの娘は普通とはちょっと違ってたのか?」父親は子育てを母親に押し付ける。そしてシングルファーザーになっても向き合おうとはしない。
そんな父娘は多いのかもしれないが、その時になってからでは遅い。
父親は娘のように油絵を描き始める。
娘の部屋にあった漫画を読む。
娘のことを知ろうとする。
娘は自分の知らない面があったことにも気づき始める。
が、父親の態度で新たな犠牲が生まれる。
目の前で人が死んでしまったら、自分が直接的に殺してないとしてもその手助けをした形になってしまったら、許して欲しいと言って許されてもきっと自分で自分が許せないのではないだろうか。
そんなことを考えていた。
昨日の「マイ・ダディ」と「空白」は名バイプレーヤーの二人が父親で初主演。
もし二人が違う方の父親だったら?と考えたが、それはちょっと違うんだろうな。きっと。
子供は親を選べない。親は子供を選んで生んでる。重みが違う。