【映画 碁盤斬り】感想。静と狂気と

草彅剛という役者だから

前半はきっと誰が演じても大差ないのかもしれない。

でも、中盤からの自信への冤罪には容赦ない狂気でそこだけを切り取ったら、誰だかわからないかもしれない。

ポスターの横顔もぱっと見では誰だかわからない。

狂気の演出

時代劇であるけど、狂気は「孤狼の血」のそれと本質は同じなのかもしれない。

「孤狼の血」では松坂桃李や鈴木亮平の狂気がすごい勢いを感じたが、この作品の草彅剛の狂気は熱気ではなく、冷気が漂うような怖さを漂わせているように感じた。

序盤、囲碁を通して草彅剛演じる柳田格之進という武士の実直さを表している。囲碁のルールがまるでわからないから、囲碁のシーンは意味がわからないのだけど、あの時代は囲碁は流行っていたのか?

國村隼さん演じる萬屋源兵衛は、そんな格之進と囲碁を通してケチと言われる人間だったのが、真っ当な商売をするようになる。

源兵衛の元々の性格が災いしたのだろうが、働くものにとっては、源兵衛に預けたお金が無くなり、その疑いを格之進に向けてしまう。

そのことで、格之進は2度目の謂れなき冤罪に狂気に満ちる。

娘はそんな父を信じているから自らで吉原に行く。

格之進の最初の冤罪の真相を知り、その犯人を追い詰める。

斎藤工演じる柴田兵庫もかなり重い演技ではあったけど、それでも格之進の狂気には敵わない感じ。

最後には全ての冤罪の真相が明らかになるが、自信のこれまでの清廉潔白が良かったのかと悩む。

自分が告発したことで追われたものが居たことも事実であることに気付かされる。

これはね、映画館で観た方が良い作品。迫力が違うと思うんだよね。

ヤクザものとは違って、最後は自身で切腹する、介助を頼むという儀式があるのも潔く感じるところか。