【映画 あんのこと】感想。2020年6月の新聞記事

もしコロナがなかったら

2020年6月。東京オリンピックまであと1ヶ月がなくなった時期。あの時期に本当にあった話しと考えると多分映像の何倍も何十倍もの悲劇があったのだろうと苦しくなる。

PG12作品ってことだけ知っていたが、こんな闇が今この瞬間もどこかにあるのかと思うと悲しい。

機能不全家族

彼女の一生はなんだったの?

と思うような人がきっと私が知らないだけでかなりの数いるのだろう。

ついこの前に実際にあった話し。平成の最後の年から令和の最初の年くらいの話しなのかもしれない。

河合優実演じる杏は機能不全家族の中で学校にもまともに行かせてもらえず、中学生になるころには実母によって売春を強要される。

足の不自由な祖母。母親から虐待された時に祖母が助けてくれたと言うが、それは間違ってるよと教えてくれる人もいない。

そもそもがそんな母親にしたのは祖母なのだから。

逃げることも出来ず、祖母を口実に家に縛り付けられる。

そして薬物に手を染める。が、逮捕もされずに社会から隔離されたような存在になっていた。

やっと警察に補導される。

取り調べをしたのが佐藤二朗演じる多々羅。取り調べ中に突然ヨガを始め、杏は「この人なに?」な表情になっていく。

多々羅は杏を薬から脱けたいならここに来いと「サルベージ赤羽」のチラシを渡す。

薬物更生者の自助グループでお互いに話をし、ヨガをしていた。

多々羅は人として杏を自立させるために協力をする。

生活保護を申請に行くと、役所の人間からは「学校に行かなかったのは自分のせい」「家族がいるから無理」と相手の状況を見ないようなことを言われるが、多々羅は激昂する。

そして、介護施設で仕事を始める。

が、この介護施設では契約も交わしていないということで20日5万円という薄給であることが発覚し、多々羅が怒鳴り込む。

サルベージ赤羽に出入りしている雑誌記者の稲垣吾郎演じる桐野。多々羅と同じように杏の支援を応援する。

そして、杏に新しく介護施設を紹介する。そこの施設長は自身がやんちゃをしていた過去があるため、真面目に働くなら良いと就職をさせてくれる。

学はないが、真面目で優しい杏は介護職に向いていたのかもしれない。

そして、機能不全家族からの脱却。少しの荷物を取りに行き、そして支援施設で一人暮らしを始める。

いろいろなことが良い方向に行くだけだったはずなのに。

多々羅が逮捕される。

薬物更生者の自助グループ私物化。参加女性への強要。

桐野はリークされた情報から記事にしたことで表面化した。桐野はそんな噂を聞きつけて多々羅をマークしていた。

そんな頃、コロナが始まる。学校は休校になり、仕事は休みになる。

彼女はまた一人になってしまった。

が、ある日突然、赤ちゃんを押し付けられる。

何も状況がわからないまま、赤ちゃんの世話を始める。

コロナ禍で人のいない公園で遊ぶ二人。赤ちゃんのために食事を作り、好き嫌いを把握し始める。

そこを実母に見つかり、祖母がコロナで助けて欲しいと家に戻るとそこには元気な祖母の姿が。

この母親の子供への依存心が怖すぎる。自分が働きたくないが祖母から続いているのだろう。そして、赤ちゃんを人質に売春を強要される。

戻ると赤ちゃんの姿がない。

実母は泣き止まない赤ちゃんを児童相談所に連絡をして連れて行ってもらったと。。。

押し付けられたとは言え、彼女にとって初めて守るべき存在だった赤ちゃんの喪失は彼女の積み上げて来たものを崩すには十分だった。

彼女を助ける人間は誰もいない。

リストカットをしてきた彼女は死にたかったわけではないはずで、誰かに助けてもらいたかっただけのはずで。

今、この毒親毒祖母はどうしているのだろう?娘が死んだことをどう考えているのだろう?

杏にとって見返りを求めずに助けてくれた多々羅にも杏以外に見せた顔がある。杏のために親身になって動いてくれた桐野も本当の顔はスクープを書くことだった。

機能不全家族に生まれた人はどうやってその状況から抜け出せるのだろう?

そんな中でも優しさがあった杏。

この新聞記事を書いたのは誰だったのだろう?

児童相談所はパンク状態だと社会問題になっているような状態で成人を過ぎた状態ではどうにも出来なかったのかもしれないけど、彼女が小学校・中学校に行かなかったことに対して、社会は何をしていたの?これはネグレクトでしょ?昭和の時代と違って今は先生がそこまで家庭に介入することはなかったのかもしれないけど。