【恋のしずく】感想。大杉漣さんの遺作と川栄李奈の初主演作と

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川栄李奈の主演女優としての良さ

川栄李奈の初主演作品はいたって普通の女性役。川栄李奈はアクション女優のような扱いの役が多いイメージだったから、普通の大学生の役がしっくりときている。

そして、初主演作品に大杉漣さん、小市慢太郎さんといったベテラン俳優さんが支えている感じがとても心地よい。

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リケジョ

ワインソムリエを目指すリケジョの詩織役で物語はスタートする。

ワインのテイスティングで産地を当て、意見を言う。そしてフランス留学を目指していたが、農業大学の実習先が広島の西条。

日本酒は受け付けない体質ながら単位のために西条へ行くが、実習先では実習生は断ったと言われてしまう。

実習をしなければ単位が取れない。そんな状況を作った教官が津田寛治だったのか。誰だかわからなかったわ。

はい、そうですかと戻れない。そんな状況を宮地真緒演じる美咲がほっとけずに自宅で面倒をみることに。

美咲は元々東京でOLをしていたが、実家に戻り実家でお酒用のお米を作っているのを手伝いながら実習先の乃神酒造でも働いていた。

美咲は実家のお米の収穫を一緒に手伝うことをすすめる。

そこには杜氏役の小市慢太郎が実習生の話は聞いてないとしながらも慣れないなりに頑張る詩織に刈り取り方を教える。そして終わりに「明日、8時に蔵に来い」と言う。

蔵では息子の乃神完爾が実習生の件を断らずに受け入れていた。が、完爾は父親である大杉漣さん演じる蔵元に反発ばかりしていた。

そんな中ではあるが、杜氏からまずは洗い物からと言われて洗うが、汚れが残っていることを指摘され、他のものも洗い直すように言われると、リケジョ詩織は「効率的ではない」と反抗する。

慣れない広島弁とどうしても「バカ」とか余計な言葉がつくことに耐えられない。

怒って歩いてて完爾とぶつかって完爾の持っていた徳利を割ってしまう。弁償しろ!と言われてまた売り言葉に買い言葉状態で買ってしまい30万円を請求されてしまう。

日本酒も飲めない中で、縁がなかったと諦めるべきか・・・

そんな詩織を美咲はご飯に誘い出す。そして自分は悪くないと言う主張をしているうちに日本酒のことを何も知ろうとしてなかった自分に気づく。

気づいてそのまま蔵へ戻り洗い物を続ける。

翌朝、杜氏に自分の発言を詫びる。詩織は素直な性格だからそれが人に受け入れられる要素になっている。

美咲とともに仕事を手伝っていく。

ある時、お花を生けようとしている完爾を手伝い、完爾の母親の仏前で手を合わせる。

そこで詩織は完爾に「なぜ蔵を継がないのか」と聞くと見た目よりも大変なのだと言われる。

蔵元とも何度か話をする。

大杉漣さん・・・まさか公開日に自分がこの世にいないなんて想像もしてなかったのだろうなって思う。

蔵元は心臓病を患っていて自分の死期を悟っているような感じだ。

美咲の計らいで有重酒造の王子と飲むことになり、そこで王子から日本酒の手ほどきを受ける。

そして自分の実習先のお酒であることを知り、もっと日本酒のことを勉強する。

東京で知り合ったワインポーターと広島で再会する。完爾が呼んでいたらしいのだが、日本酒の拡販のために契約しようとしていた。

誰にも相談なしにすすめることに周囲からは反発を受ける。

が、完爾は今のままでは蔵は赤字で立ち行かないことを打ち明け、杜氏、蔵人をそのまま使ってもらうことを条件に手を組もうとしていることを打ち明ける。

西条の祭り

すごいね。こんなお祭りがあるってことに驚く。広島というところを全然知らなかったなって思った。

ワインポーターの朝比奈は詩織のワインソムリエとしての才能を買っていた。そこで今度は日本酒を世界で販売するために手を組まないかと言う。

しかし、今のままでは売れないから合理的にすると。

それを聞いた完爾は話が違うと怒り出す。

不器用ながらも蔵のことを考えている完爾に次第に心を惹かれていく詩織が可愛い。

蔵元が亡くなる。

完爾はどうしたらいいのか悩む。父親の遺品の中に母親の遺品を見つける。

そして三島由紀夫の「橋づくし」という小説の表紙の中に母親の記述を見つける。

橋づくし (1958年)

橋づくし (1958年)

お通夜の席でお酒に酔った状態で絡んできた神主さんのところで事情を聞き、スーツ姿で杜氏の元を訪れる完爾。

まるで別人になっていたが、杜氏は「酒造りの舵取りは杜氏の仕事だけど、船の船主は蔵元だから」と完爾の蔵元としての決意を受け取る。

母親が書き残していた「命なりけり」というラベル。

母親の死期に元蔵元と一緒に作っていたことを聞き、母親が死んだときに飲んだくれていた父親を許せなかった自分の思いの間違えを知る。

お酒づくりはすごいなぁ〜って思う。

いろんな菌があっても麹菌じゃなきゃだめでそれが発酵してとかいろんな過程で日本酒が生まれる。

日本酒を生んでいる酒蔵のお酒は絶対に美味しいと思う。

美咲と詩織の人間ドラマもあり、日本酒を通じて成長する詩織、完爾の姿もあり、広島の風景にとても良い作品が初主演作品で良かったねって言いたい。

川栄李奈は樹木希林さんに通じる女優さんになると思っている。

自頭のいい女優さん。

勉強は出来なかったと思うけどそうじゃない能力がある。

リケジョ役なんて一昔前の川栄李奈から想像できない。

それでも彼女の主演作品ですごい観客動員が出来るとは思わないけど、満足は与えていると思う。

彼女がこのままいろんな良い作品に出会えると嬉しい。

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