父の存在
蜷川実花監督の父、蜷川幸雄氏は藤原竜也を選び、そして彼を超一流の俳優さんに作り上げた。
蜷川実花監督は父をどう見てきたのだろう?
偉大だった父の存在が作り上げた作品なんだと思う。
蜷川実花の世界観
珍しくダークなイメージからスタート。
それは自分のことも信じられず誰も信じられずなぜ自分が存在するのかもわからない少女の心。
その表現も独特だ。
普通だったらこんな後ろ向きな人間のプロローグを観ているのは苦痛なんだけど、案外すんなり入ってきた。
今回、藤原竜也が主演だけど、オオバカナコ演じた玉城ティナの映画だったと思う。
カナコから始まり、カナコで終わるわけで。
まぁ自分を持たない人間が突然「夢」を持つことで人生が廻りだすのだけど、心情を出す役で一番大変な役だ。
川栄李奈がなぜかまたちょい役で居るのだけど、彼女でも面白かった?とも思うが、彼女じゃ駄目か。ポテンシャルが高すぎる。
カナコは色を持たない世界から突然色のある世界を知る。
そしてそこに行ってみたいと思う。
メキシコ。グアナファトだろうか。
何の取り柄もないカナコに30万を手に入れるために怪しい仕事に手を出す。
「1日だけの運転手」
まぁ危ない仕事だよね。
斎藤工と佐藤江梨子だったんだ。
ギリ斎藤工はわかったけど、案外女性が奇抜な格好になるとわからない。
斎藤工演じるカウボーイと佐藤江梨子演じるディーディーの運転手を引き受け、結局逃げ切れずに一緒に組織につかまり吊るされる。
何も出来ない女でも死にたくないらしい。
自分の居場所もないし、居場所を作ろうとしないのに生きることに執着がある。
生かされたカナコは藤原竜也演じるボンベロがシェフのダイナーへウェイトレスとして売られる。
ボンベロはすぐにカナコを殺そうとするが、カナコは金庫にあった高級なお酒を盗み出し、「物質」にし自分の命綱にする。
何もないにしては「生」に対しての執着はすごい。
ダイナーに来る客はすべて人殺し
はいいけどさ、なんでみんな奇抜なの?
ダイナーは蜷川実花監督の世界観そのもの。料理も芸術。個々の部屋のひとつひとつも芸術。
赤の世界
それが厭らしい感じではない。
暗い赤なんだけど、とても素敵だ。
そんな感じで客も奇抜だ。
武田真治はまぁ筋肉を見せたい見せたいだし、窪田正孝は傷だらけだけど妖艶な雰囲気と佇まいで魅せる。
窪田正孝演じるスキンはボンベロの料理をとても好んでいる。
そしてカナコに同情をする。
本郷奏多演じるキッドは・・・どうなってるんだ?
合成なのか?
顔と性格は本郷奏多そのものなんだろう。ってくらいハマり役。
普段よりも「かわいく」見えた。容姿のせいか?
最後の最後で「あぁ本郷奏多だ」って感じで。
金子ノブアキの名前があった・・・
あぁ最初の吊るされてた時にカナコに「お前を生かしたら俺にどんな得になる?」って言ってた売った人ね。
だって、ブタのお面かぶってたよ?声でわからないでしょ。さすがに。
その後にも出てきたよね。どこだ?忘れた。。。
そして一番大きな存在がブルドッグの菊千代。
イチゴが大好きであんな大きなブルドッグ久しぶりに見たけどCG?
なんかちょっとしか登場しなかった小栗旬演じるマテバ。突然昆虫を食べだすのだけど・・・作り物だよね?
トップ、デルモニコの死の真相を知ろうとしてさっさと殺されてしまう。カナコとの関わりなし。
土屋アンナ演じるマリアはまぁはまり役だよね。他にいないわ。
真矢みき演じる無礼図の男装のカッコよさはすごい。往年の・・・男役再び的な。
奥田瑛二演じるコフィは・・・もうこんな感じの役をカッコよく演じられる役者さんが残り少なくないか?って思ってしまった。
そしてトップ=デルモニコが蜷川幸雄氏。
すごいよね。まさかご本人もこの世からいなくなって映画に出演させられるとは・・・って思ってるんじゃないかな?
監督、演出をされてきた方だからね。
ストーリーとしてはまぁ全員が殺し屋だから殺しのシーンが多いのだけど、ちょっと感覚が違うかな。
場所なのか?
1日1日カナコが成長する。
いろんな生き様を見て自分がどうしたいのかを意識する。
スキンがカナコを買い取って助けてくれるが、結局はカナコの想像力のない行動でボンベロによって殺される。
言葉ひとつひとつにメッセージ性がある。
スキンスフレ
いつも何かしら異物を入れて完食をさせない。それを不憫に思ったカナコは最初に外した状態で提供してしまう。
すべてを食べきったスキン。
突然、叶えられてしまったことで発狂し、カナコと自爆しようとしたところでボンベロが射殺する。
スキンはカナコにマテバに頼まれて調べていたことを託す。
トップ会議。
マテバが殺害され、3人でトップを競うことに。
コフィ、マリア、無礼図
トップ=デルモニコの死の真相。それはコフィが殺したことが確定し、殺され、マリア対無礼図の戦い。
結局、無礼図の勝利となったが、無礼図はボンベロに店を続けることを提案するが、「自分はデルモニコに育てられた」と拒否する。
そして、カナコはすべてを知ってしまったと言うことで殺されることに。
助けようと組織に歯向かうボンベロ。
カナコはボンベロのような料理を作りたいと言い、襲われる直前まで教えを受ける。
そして一人逃げたカナコは夢であったメキシコで「Diner」と言うお店を開店させる。
そこに現れたボンベロと菊千代。
そこは死者の祭りのある街。
最初から繋がってたってことか?
カナコのおばあちゃんが角替和枝さんだった。遺作がこれなのか?
品川徹さんとかが教授の役なんだけど、すごい今までとまるで違う感じで驚いたんだけど。
カナコが自立していくストーリー。
これからの玉城ティナという女優がどう成長するのかも楽しみ。