【映画 人間失格 太宰治と3人の女たち】感想。蜷川実花ワールドがハマる。

マゼンタとシアンにブラック

蜷川実花監督作品はマゼンタが多い。

時に妖艶な雰囲気にもなり、時に血に染まった世界になる。

太宰治ってどんな人?

そんなこと考えたこともなかった。

中学3年の時に「人間失格」を薦められて読んだ。

全然理解出来なかった。

そりゃそうだ。

やつれていく小栗旬

Wikipediaにある太宰治の写真。

とてもいい男だ。

今の時代ならホストクラブでトップになりそうな妖艶さがある。

時代は戦後すぐの日本。

そんな時代に色恋沙汰で賑わっていたところがあったことに驚く。

さて、太宰治という人物。まぁ人間的にはクズですな。

でも、劇中のセリフでもあるが、変人だからこそ書ける世界なのかもしれない。

戦後すぐの日本で「斜陽」がヒットという驚きの結果。

大学在学中からは「カルモチン自殺」を常習。

「カルモチン」って・・・睡眠薬なのか?鎮静剤ってことのようなんだけど。

この映画は「斜陽」から。後年ってことだよね。

沢尻エリカ演じる太田静子。

没落華族ってことだったけど、まぁこちらも常識とはちょっと違う場所の人。

「金持ちの愛人になるくらいなら激しい恋をしたい」と言いながらも「赤ちゃんがほしい」と妊娠する。

妊娠の知らせとともに連絡を断つ、まぁクズ男。

娘が生まれ認知する。

その時に付き合っていた二階堂ふみ演じる富栄の前で。

富栄も「自分も赤ちゃんがほしい」と言い出すが、そのときにはすでに太宰の身体は喀血状態であった。

それでも女の執念はすごいなぁ〜な場面の数々。

二階堂ふみも沢尻エリカも女性らしさよりも男勝りという表現がマッチしてしまう。

女性としての儚さは妻美知子の宮沢りえくらいだったな。

3人の母であり、太宰の一番のファンだったのだろう。

太宰の長男はダウン症ということで、ダウン症の男の子が撮影に参加されていた。

美知子の妹が亡くなった後、長男正樹がシアンの絵の具の入れ物を倒してこぼしてしまう。

うわぁ〜って感じだけど、美知子のやりきれない感情がそのシアンの絵の具?に現れていたのだろう。

ダウン症の子供が映画に出演しているのは初めて見たのだけど、彼は今後もどんどんいろんな作品に出て欲しいと勝手に思ってしまった。

太宰治の妻、ワンオペでしかも子供のような夫。

仕事のためと女性と関係を持ち続ける。それを娘にまで見られてしまう。

小栗旬の太宰治は私はとても良かったと思う。

減量に失敗したとあるが、それがほんとに弱々しくなっていく様が乗り移っていったような感じだった。

女性はきっといつの時代も自己満足のために強い生き物なのだと思う。

耐える強さ、アプローチする強さ。

蜷川実花監督のワールド、最初は太田静子をマゼンタで表現し、富栄はパープル。太宰の覚めていく感じがシアンって感じで色がいろんな感情を表しているように見えた。

最後は、きっと太宰は映画のように自殺したかったわけじゃなかったんだろうな。

女性に押し切られて心中することになったんだろうな。

とりあえず、一昨日から「人間失格」を読み始めた。

どう思うのか。楽しみだ。