2023/04/30 映画「ヴィレッジ」

予告より本編の方が良かったと思える映画かもしれない。

予告はただ暗く陰湿さしか感じなかった。まぁそれが根底にあるものではあるのだろうけど。

さて、コナンが公開されている期間の日中の公開には行ってはいけない。と毎年後悔しているが、今年もかなりの後悔。上映時間が「ヴィレッジ」が9時05分、「コナン」が9時20分ってことで、駐車場は満車。ちょっと遠い場所に停めて初めて歩いたわ。雨がちょうど止んでてくれて良かった。

ロビーの喧騒とは裏腹に「ヴィレッジ」のスクリーンはまだ人もいなくて静寂があって気持ちよかったのだけど、すぐにうるさいカップルによって壊される。なぜ、スクリーンに入って話をしようとするのだろう?内容筒抜けだけどって感じ。聞きたくないんだけどね。

ヴィレッジ

日本で今この瞬間でもどこかで実際に起こっている日常なのかもしれない。時代は令和になっても「村」は変わらない。住んでいる人も変わらなければ、風習も変わらない。それでも、後継者が居なくなって次第に変わらざるを得ないのか?

藤井道人監督の描く社会問題作品はリアルだ。自分が知らないだけなのだと思うし、今の自分が生を受けた場所が「村」じゃなくて良かったと思うだけだ。

私は「村」では生きられない。さっさと捨てて自分の生きる場所を探すタイプだ。

この映画で描かれている「村」はここにしか自分の居場所はないと思っているのか、何も考えないようにしているのか、同調圧力の中で生きる人々の生活。

父親が犯罪を起こした。普通、家族ごと家を追放されるような感じだが、この「村」は違ったのか。

それでも、きっとネグレスト状態になったのだろう母親と周囲から差別的な視線を浴び続けた横浜流星演じる優。なぜ自分がこんな我慢しなければいけないんだ?とは思っても行動にも出せず、悶々と日々を送っている。

そこに都会に居場所を見つけられずに戻る黒木華演じる美咲。美咲は子供の頃の記憶のまま、優をかばう。そして優の地位を向上させる。

村長の息子の透は一ノ瀬ワタル。説得力のある荒くれ者だなぁって思う。一ノ瀬ワタルも優しい役の彼の方がいいなって思うけど、なかなか一ノ瀬ワタル的な俳優いないしね。

村長が古田新太。まぁこの二人で「村」が構成されている。村を存続させるために。助成金がなければ村は存続出来ないのか。美しい景観に突如として現れるゴミ処理場。

村の利益のため、裏で行われている産業廃棄物の違法投棄。いろいろなことが歪みきっている社会。

それでも、いろいろな過去を抱えた人を雇用するという表向き良い口実で村をアピールしていく。

いろんなところに写真を撮りに行くのが趣味だけど、この風景の裏にはどんなものが隠されている?なんて思ってしまうかもしれないと思ってしまった。

中村獅童さんの能が見応えありだった。村長の弟という立場でありながら、唯一村を捨てた人間ってことか。それでも、村で起こっていることを気づかないフリをしていたのではないだろうか。

最終的には追い込んだだけだったんじゃないかと思ったわ。