タイトルを獲ることの厳しさ

2勝と1勝1敗と

今日の棋聖戦で1勝1敗として羽生棋聖が息を吹き返したと言う展開になっている。

私としては嬉しいのだけど、おやつくらいには違うことを思っていた。

自然体でいること

羽生棋聖が昨年末に竜王位を獲得したことで、また多忙な感じになっているように思われる。

昨年棋聖位だけとなった羽生棋聖が竜王戦では人が違うような感じを受けた。

ちょうど1年前に将棋のモバイル中継を見るようになった。棋譜を見たところで意味はわからない。

斎藤七段の挑戦を防衛した頃だったと思う。

でも、その後、「王位」「王座」を失冠して「棋聖」だけとなり、序列もかなり低かった。

それでも序列1位の竜王を獲得し、将棋界のトップになった。

誰もが知る存在。

そして国民栄誉賞受賞。

今、研究する時間はあるのだろうか?

一般的な民放のバラエティ番組にも出演してくれている。

求められたら時間が許す限り断ってないのだろうなって思ってしまう。

名人戦の第4局の負から連敗し、棋聖戦の初戦も負けたこと。

そして5連敗していた。

そんなことから疲れているのだろうなぁ〜って勝手に想像していた。

佐藤名人に2敗、豊島八段に2敗、深浦九段に1敗。

豊島八段は10勝以上対局のある相手で佐藤名人の次に羽生棋聖に勝たれている棋士でもあるらしい。

羽生棋聖12勝
豊島八段11勝

(今朝の時点まで)

お昼くらいには互角ながら後手が優勢にふれていたように思う。

そして棋士の解説でも後手持ちだと言う声もあった。

私は100期目のタイトルを意識しているのは外野だけで当人は自然体で今を過ごされているだけなんだろうなって感じを受けた。

豊島八段との対比からだろうか。

ただ将棋の強さを考えたらレーティングトップの豊島八段なのだろう。

コンピュータで対局していたらそうなのかもしれない。

そこには自分のストレスが皆無だから。

タイトル挑戦5期目。いつ勝ってもおかしくないと言われて20代も後半だ。

そんな豊島八段には並々ならない闘志を感じる。

序盤から積極的に攻める。

それを静かに受け止める羽生棋聖って雰囲気を感じたんだよね。

解説がうるさくてってこともあったけど、静かな対局室の二人には聞こえてないだろう音。

それでも耳栓をして臨む豊島八段。

いよいよもってメンタルトレーニングをすべきだと思ってしまう。

自分の世界だけで生きてしまっている。

ちょっとした音も許容できない状態でタイトルなんて獲ったらどんどん孤立を深める。

将棋は人と人が対局することで感動が生まれる。

そこの部分がすっぽりと無くなってしまっているようにしか見えない。

強くなればいい。

コンピュータと研究をし、対局だけで人と対面しているという。

それでどう強くなるのだろう?

人と対面して対局している中でストレスはある。

時間の使い方、癖、周囲の雑音。

それも込みで将棋の研究なんじゃないのか?

羽生棋聖も時間がない中で、研究をしている棋士が何人かいるのでしょ?

羽生棋聖だって若い頃からコンピュータを使っているだろうけど(昔の写真にも載ってたし)それでも同世代との研究にも参加した。

今もきっとしていると思う。

自分一人で強くなると思うことは驕りじゃないかと思う。

強いから挑戦者にはなるけどタイトルを獲るにはいろんなことが足りないことを誰も教えないのだろうか?

誰の教えも耳に入ってないのだろうか?

挑戦者になって負けがこむほど「裸の王様」になってしまっているように思ってしまう。

ファンは多い。

彼の将棋の強さは魅力的だから。

人間的にも魅力的だと思う。

でも、20代のうちにタイトルをと言うプレッシャーがあるのだろう。

方向性を見誤っていないだろうか?

プロ同士だから教えることはないのだろうか。

彼の周囲にはプレッシャー以外のものを与えられる人がいないのだろうか?

次の対局で耳栓をしていたら・・・残念ながらそんな棋士がもしタイトル保持者となっても自分で潰れてしまうと思うだけだ。

勝てばいい

そんな考え方になってしまっているのだろうけど、本当にそうなのか?

プロだからそうなのだろうけど、それで他の人を魅了できるのか?

羽生棋聖が不死鳥のようになったことで国民栄誉賞になったのは、勝てばいいだけじゃないものが多くの人に感動を与えてくれたからじゃないだろうか?

藤井七段の魅力もそうだと思う。もう慣れてしまったかもしれないけど、最初と最後にカメラにさらされ、対局中もほとんどが生中継される。

そしてその行動に対してアンチだっている。

2月の順位戦のひふみんアイを先輩棋士にツイートで非難され、彼は彼なりに模索した。

もし生中継されてなかったら?そんな非難もされなかったのではないか?

そもそも生中継にならない棋士の行動なんてほとんどがわからないのだから。

昼食で先輩棋士よりも高いものを注文したと書かれたりしても彼は見ることもしてないのだろう。それでも耳に入ることはあるかもしれない。

でもその状況をプラスにしてメンタルで確実に強くなっている。

それが見る将を惹きつけ、素人も一喜一憂する。将棋がわかっているわけではないけど、彼の努力や成長を楽しみにしている。強いからはあるけど、それだけではない。人としての魅力を感じるからだ。

高見叡王が突然開花してタイトルを獲得した。同世代の中でモヤモヤした大学生時代を吹き消すような大躍進。それもいろいろと自分をプロデュースする能力から人に好かれ、それを活力とすることが出来たからではないだろうか。

時間がないからとコンピュータだけに頼るのではなく、時間の許す限り解説も積極的に受け、しまいにはAbemaTVのリポーターまで。

それでもそんな彼のタイトル獲得をほんとに多くの人が喜んだ。

豊島八段の人気はすごい。

自分のブログのPV数でそれはわかる。それだからほんとに多くの人が願っている。タイトル獲得を。

もう一度人間に向き合って頑張ってもらいたいの。

耳栓をするのではなく、対局者の息遣いやいろんなものを感じて。

羽生棋聖なんて結構ため息つかれているのだからそれを聞けばちょっと気持ちが楽になるとかあるんじゃないのかって思う。

そういうことを遮断しちゃ駄目だよ。うん。

難聴になってて雑音がってことなら別だけど。

棋聖戦、王位戦とタイトル戦が続く。そこには「人」が待ち受けているのだから、「人」を感じてタイトルを奪取してください。