【未来のミライ】感想。いやいや期の子供は怪獣だ。

若い男性が多かった

公開初日。思ったよりも少なかったけど、見渡すと大学生くらいの男の子が多かったように思う。

アニメとしての作品への期待なのか?

4歳時男の子

今朝、細田守監督のインタビュー記事を読んでいた。

映画『未来のミライ』細田守監督・脚本、甘えん坊の男の子と未来からきた妹の“きょうだい”物語 - ファッションプレス

あと、今までの作品以上にテレビで番宣をされている様子を見た気がする。

私自身、実は山下達郎が好きではない。

くんちゃん的に言うと「好きくない」のだ。

だが、彼の歌はやっぱりいいのよね。子供が主役の映画なのに、山下達郎?的な感じが最初、映画館の劇場予告で流れてきた時に思った。

それでも映画を見て納得した。

この映画のための音楽だ。

ミライのテーマ

ミライのテーマ

  • 山下達郎
  • J-Pop
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

オープニング。映画でオープニングに音楽が流れることも珍しいし、エンディングロールならぬ、オープニングロールが流れた。

そしてエンディング

うたのきしゃ

うたのきしゃ

  • 山下達郎
  • J-Pop
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

気づいたことがある。

エンディングロールが多分短い。

オープニングロール+エンディングロールで普通の長さになっているのだと思う。

分散させているのだと思う。

監督の名前はオープニングにしか出てこなかったし、出演者の名前はエンディングロールにしかなかったように思うし。

最初にインタビューを見ていたので、そのことで細部を見ることにもなった。

まず、建物が建っていく様子が描かれている。

この作品のためにきちんと設計してもらった「家」ということだった。

すごいな。

一応、平屋建てってことになるのだろうけど、段々になっている。

4歳の男の子に階段をって考えがちょっとすごいと思った。そして面倒な造りでもある。

中庭があって子供部屋がある。そこに行くには靴を履かなければ行けない。

でも大きな窓があり様子は伺える。

くんちゃんはきっと一般的な子供なんだろう。

プラレールがたくさんある。

ばぁばがくんちゃんの子守に悪戦苦闘。片付けるようにと言って目を離していると言った時以上の連結が完成している。

電車が大好きってことで、来ているトレーナーには中央線が描かれている。

珍しいよね?なぜ中央線?って気もするのだけど、子供用のトレーナーってことで山手線の緑よりはいいのか?

山手線の新型車両のプラモデルもしっかりある。

両親が帰ってくる。大好きなお母さんの腕には赤ちゃんが居る。

「誰?」

お母さんはくんちゃんに妹の存在を伝える。

それでも自分への関心がまるでなくなったようにしか思えないくんちゃんは赤ちゃんのことは「好きくない」と言い放つ。

お母さんはすぐに仕事に復帰するということで赤ちゃんはお父さんが面倒を見ることになるのだが、くんちゃんのときにはまるで手伝いをしなかったために、最初の子供のような感じだ。

そのため、くんちゃんへの関心がもっと少なくなる。

お母さんも疲れてしまい、くんちゃんの気持ちをわかろうとしない。

自分のことをわかろうとしないのに、子供が親の気持ちをわかろうとするはずもない。

お互いが大変な関係だ。

赤ちゃんの名前が「未来」になる。

くんちゃんは未来ちゃんが好きになれない。

怒って中庭に出るとそこには謎の男がくんちゃんの気持ちを言う。

「自分はかつてこの家の王子だった」

くんちゃんの家には目付きの悪いダックスフントのゆっこが居る。

謎の男はゆっこだった。

ゆっこはくんちゃんが生まれるまで両親の愛情を一身にもらっていたのだろう。

でも、くんちゃんが生まれ、冷遇されてきていると言い出す。

まるで今のくんちゃんの気持ちそのものだ。

くんちゃんは両親にゆっこの話をすると「何か言ってた?」と言われ「餌が安くなったって言ってた」と言う。両親は高い餌を買ってきて与える。

じぃじとばぁばが訪ねてくる。

そこでも愛情の中心は未来ちゃんだ。ひぃばぁばのために動画を撮るじぃじだが、くんちゃんが「僕も」と邪魔をする。

なかなか自分の思い通りにはならない。

そして、雛飾りの話をばぁばが話し出す。言い伝えとして

片付けるのが1日遅れると1年婚期が遅れる。

翌日、お母さんは仕事で出張だ。お父さんに雛飾りの片付けを頼むが、ワンオペ育児に慣れていないお父さんはいっぱいいっぱいで、自分の仕事に集中し始めてしまう。

遊んでもらえないと怒り出すくんちゃん。

中庭に出ると、そこには違う景色が広がり、お菓子が落ちている。

それを拾っていると立っている女の子が居る。

「お兄ちゃん」

高校生の姿の女の子から突然「お兄ちゃん」と言われるくんちゃん。

それは未来のミライちゃんだった。

自分の顔で遊ばないでと文句を言いに来たらしい。

そしてお願いがあると言う。

それでもくんちゃんは未来ちゃん好きくないと言うことを聞かない。

ミライちゃんは「じゃあハチの刑だ」とこちょこちょをしだす。

私だったら絶対に嫌なことなんだけど、くんちゃんとても気に入ったらしい。

ミライちゃんのお願いは「雛飾りを仕舞うこと」

お父さんに仕舞うようにと言って欲しいと言うが、お父さんは仕事モードのためにくんちゃんの話なんて耳に入らない。

そのため、ゆっこも謎の男化し、3人で片付けることに。

ゆっこの謎の男化は面白すぎる。

お父さんに見つからないようにと隠れながら、「息止めて」とか言われて真っ赤になりながらも息を止める。

謎の男はしかも几帳面でお内裏様のいろんなものを1個ずつ外そうとしている。そのために最後にそのパーツがお父さんのお尻についていて「だるまさんがころんだ」状態でお父さんに迫っていく。

まぁ無事にしまえたところでお母さんが戻るのだけどね。

くんちゃんはお母さんに「自転車が欲しい」とねだるが聞いてもらえない。

お母さん大好きだけど、全然優しくしてもらえないくんちゃんはお母さんを振り向かせるために手段を選ばない。

お母さんってほんと大変だと気の毒になる。

中庭に出るとミライちゃんが「あ母さんにあんなこと言っちゃだめでしょ」と怒っている。それでも自分の思い通りにならないくんちゃんはどんどんのまれて行く。

日本のアニメは「水」が特徴なのか?

ジブリだと「崖の上のポニョ」とかスタジオポノックの「メアリと魔女の花」も特徴的な「水」の表現をする。

ここでもくんちゃんの気持ちが魚の大群となんかシンクロした感じだった。

くんちゃんは今度はちょっと昔の雨の中で意識を取り戻す。

そこには泣いている少女が居る。それは幼い頃のお母さんだった。

お母さんは悲しくて泣いているわけではなく、悲しみながら手紙を書いているのだと言う。

そうすれば伝わるんじゃないかと。

その手紙をおばあさんの靴の中に折りたたんで入れて帰る。

手紙には「猫を飼いたい」と書いていたようだ。アレルギーがあるということで猫を飼ってもらえなかった。

自宅に帰ると誰も居ない家でお母さん、今のくんちゃん同様以上のことをし始める。

物を散らかすことが大好きな少女ってことなんだろうな。

くんちゃんが「怒られないの?」と心配するくらい。それでも「だって散らかってると楽しい」と言う。

お母さん、くんちゃんに「片付けなさい」と言えないねって感じで。

起きると隣で寝ているお母さんを「いいこいいこ」するくんちゃん。

お母さんは「くんちゃんは私の宝物」と言う。それはお母さんのお母さんが言っていた言葉だった。

お母さんが自転車を買ってくれた。

お父さんは「よく買ってもらえたね」と驚く。くんちゃんは「靴の中にお手紙を入れた」と見てきたことを実行したらしい。

自転車の訓練は大変だ。

私自身、自転車に乗れなかった記憶がまるでない。姉が乗れなかったことは覚えているのに、自分は最初から乗れた気になっている。

補助輪があった記憶もない。

くんちゃん、補助輪のない男の子を見て自分も補助輪なしでと言い出す。

子供・・・意味のわからないプライドですか?って感じだけど、それを咎めるお父さんもなしで最初の段階を飛ばして父子で大変な思いをする。

その間、未来ちゃんは置きっぱなしで。

それでも未来ちゃんが泣き出しお父さんは未来ちゃんに戻ってしまう。

くんちゃんはお父さんが最後まで見てくれなかったことを怒る。

怒った後はまたどこかの世界へ行くだが、今度はエンジンがブンブンしている世界だ。

そこには福山雅治が声優で話題になった青年の姿がある。

バイクの修理をしているところにくんちゃんは現れた。

初めて見るバイクに「乗るか?」と言われてもモジモジしてしまう。

青年は今度は馬を見せてくれる。そしてそのまま馬に乗る。

初めは高さにビビりまくるくんちゃん。青年は「もっと先を見るんだ」と言う。

くんちゃんは青年を「お父さん・・・」と言うが、お父さんではない。

その青年は亡くなったばかりのひぃじぃじだった。

お母さん側のなんだろうな。

馬に乗って見る景色にある建物は自分が自転車の練習をしているところにある建物と同じだった。

現代に戻り、自転車の練習をするくんちゃん。ひぃじぃじから言われた言葉を思い出し「前を見る」ことを実践し、乗れるようになり、お友達が出来る。

お父さんは「子供ってすごいよね。ある日ポンって出来るようになって」と感動する。

キャンプに行く日の朝、くんちゃんのご機嫌はまたまた斜めだ。

お気に入りの黄色のパンツが洗濯中でないからだ。準備をしなければならないお父さんは青いパンツを履かせる。

それでも嫌だとダダをこね、お母さんのところにも行くがそれどころではない。

くんちゃんは「行かない」と家の中で隠れるが、誰も来てくれない。

めんどくさ〜。でも、自分もこんなことをして親の気を引こうとした時期があったなぁって思ったりした。

くんちゃんはまた中庭から違う世界へ行く。そこは無人駅。そこには高校生の男の子が。

「キャンプの思い出とパンツとどっちが大事だ」と言うとくんちゃんは「パンツ」と。まぁいやいや期ですからね。

そこに電車が入ってきて、「乗らないよな」と釘をさされると乗ってしまうくんちゃん。

どこに行くの〜。

電車の中から見えるプラレールの持っている電車や未来系の真っ黒な新幹線。

新幹線のモデルもプロに描いてもらったってことなんだけど。

将来、走ったらいいな。カッコいい。

着いた先は未来の東京駅。

近代的すぎる〜。

拾得物の列に並び、自分を取り戻す質問に答えるのだが、まだ何も答えられないくんちゃん。

一人ぼっちの終着駅行きの新幹線に乗せられそうになる。

視線の先に未来ちゃんの姿を見つけ、助けるために走り出す。

ミライちゃんに助けてもらい、くんちゃんの世界に戻るためにいろんなカードを見つける。

そこにはひぃじぃじとひぃばぁばの馴れ初めやお父さんの自転車の練習風景、ひぃじぃじが戦争で怪我をしても泳いでいるところなど。

今のくんちゃん、未来ちゃんに繋がるカードがそこにはある。

中庭には高校生のくんちゃんとミライちゃんの姿がある。

高校生じゃないか?4歳違いでミライちゃんが中学生なのか?

それでも大きくなっても一緒にいることを知るくんちゃんはキャンプに行く時代に戻る。

そこには両親が荷物を車に乗せながらお互いの育児について話している。

未来ちゃんは子ども部屋にいる。

二人を呼ぶお母さんの声に明るく返事をするくんちゃん。

さてさて・・・

私のツボはゆっこの謎の男化だったりするのだけど、犬にしても第1子にしても唯一無二の時と下に自分以上に愛される存在ができたときの感情が如実にわかる。

観て欲しい年齢層ってどこなんだろう?

4歳時に観せて理解出来るのか?

感動するとかって言うものではない。それでも、子育てをする上で大切な要素が詰まっているように思える。

いやいや期の子供との過ごし方。尊重の仕方や関係性。

細田監督は自分の息子の夢の話しからこの話の構想が浮かんだってことだ。

くんちゃんを観ていると細田監督そっくりなんですけど。

子供のアニメってあまりなくて子供をモデルに描くことから始まったって書いてあった。

だから動きにリアリティもあり、かわいらしさもあり、泣き方に憎ったらしさもあるんだろうって思う。

女親と男親の考え方。

私の知人に4人目を出産したばかりの人が居るが、一番上の子の存在がきっと4人目までを授かることを決意したのではないかと思っている。

里帰りを簡単に出来る距離でもない。男親は4人にもなれば仕事をしなければならなくなる。

この7年間、保育士サンになった感じだったのだろうなって思うのだけど、仕事に復帰するって考えもなかったこともあるのかなと。

子供は育つねぇ〜。

でも、意思もしっかりしている子供との対応ってどうしているのだろう?

ワガママと言えばそれまでだし、彼らは彼らで伝えたい気持ちや思いがあるわけで。

そんなことをいろいろ考えられる作品だなと。

絵は文句なくいいし、空気感もいい。

でも、途中で「おおかみこどもの雨と雪」の雪が出てきたり、ミライちゃんは雨と雪のおかあさん的な雰囲気があったり、ひぃじぃじは雨と雪のお父さんの雰囲気があったりって感じだった。

「バケモノの子」の要素はあまり感じなかったかも。

98分

そんなに長すぎないからあっという間だ。

絵の勢いに引き込まれるところもある。

家族みんなで楽しめると思う。幼稚園生、小学生くらいの子はリアルに自分と比較するんじゃないかな?

親はちょっと自分と子供の関係を考え直すんじゃないかな?

あの設計書の家ができたらそれはそれで面白そうだけど。

若い人向けの家だな。