【映画 累-かさね-】感想。二人共が二人を演じる。

女優として

1年前の土屋太鳳は「トリガール」だった。それはそれで等身大の彼女だった。

そして、この「累-かさね-」は舞台女優の話し。

土屋太鳳の女優としての成長があったと思う。

これからが楽しみな女優さん

この映画をするという情報の前に原作を3巻くらいまで読んでいた。

口紅を塗ってキスをすると顔が入れ替わる。

それを知った上でキャストがニナを土屋太鳳、累を芳根京子ってことで楽しみだった。

芳根京子という女優さんはかなり女優度が高いと思っていた。

去年の「心が叫びたがってるんだ。」の順という役はしゃべれないという役。それでも学芸会?でミュージカルをするってことになって主役をする。

そして今のドラマ「高嶺の花」でも石原さとみの妹役ってことで純真無垢な役をしている。

そして、累。

ダブル主演とは言え、この原作の主役は「累」なんだよね。

でも、この映画は思っていたのと違っていた。

あくまでも顔に傷がある方を芳根京子が演じるというものだ。

累のままだと自分に自信のない、人を信じない冷たい目をした女性になり、ニナになると傷なんて気にしない自分自身に自信のある女性となる。

ニナのままの眠りについた後は痩せこけていた。まぁメイクなんだろうけど。

ストーリーは累が檀れい演じる母親の元女優淵透世の十三回忌で母透世の昔のマネージャーの浅野忠信演じる羽生田と出会うことから始まる。

羽生田は土屋太鳳演じる丹沢ニナのマネージャーだ。

土屋太鳳、絶世の美女役。うーん、うーん、うーん?ま、そういうことで。

ニナは女優として芽が出ず、休養させようとしているところに累を代打としようとしていた。

ニナも驚くよね。自分の代理だと思ったら自分と似ても似つかない人間が来るのだから。

それでも演技力にはすごい差があるって設定。

女優としてのニナは全て土屋太鳳だ。人格が累になっていても類としてのニナを演じる。

横山裕演じる舞台演出家の烏合のオーディションで見事に役を射止める累。

烏合はニナを見ながら累の存在が見えているかのようだけど、まぁ多くの人は本職の舞台俳優さんなのだろう。知らない人ばかりだけど、演技は上手。

だから横山裕が一人・・・異質な感じ。

横山裕としても土屋太鳳とキスシーンってことでいい役でしょ。

慣れないとニナと累の関係性がややこしい。

丹沢ニナ

この女優を二人で作っているということになるのだろうけど。

ニナは病気で眠りにつくと3ヶ月くらい眠りについてしまう。

クライン・レビン症候群

演出家烏合をめぐり、ニナはニナで累に自分の顔のまま付き合うことは許せない。

そこでニナは自分のままで烏合とデートするが、すぐに違うことに気づかれてしまう。

が、累には嘘をつく。そのまま発作を起こしてしまった。

起きた時には累はニナになりきっていた。

自分の母親とも仲良くなっている自分の顔の累。

ニナは烏合とのその後の関係が気になるが、もう終わっていた。

累は「サロメ」という舞台に向いていた。

サロメは自分のままのような舞台だ。

葛藤するが、ニナに睡眠薬を飲ませて眠りにつかせてニナになりきる。

ニナは寝たフリをして本番当日を迎える。

そして、舞台直前に顔のリセットにきた累。その口紅はすり替えたものだった。

舞台の最中に戻る累。

ニナは自分を乗っ取られるくらいなら顔に傷をつけた方がマシだという。

もつれあい、ガラスを破って転落する二人。

それでもニナの顔になって舞台に戻る累。

土屋太鳳らしさのある舞台。踊りはさすがの出来だと思う。

ニナの命が途切れ途切れになる中、舞台の累の顔も自分の顔に戻りそうになる。

最後に観衆の拍手を受ける累はどっちの顔だったのだろう?

二人の女優の演技に引き込まれる。

ひとつの舞台をきちんと観られる感じ。