役者の不祥事
公開間近に起きた、準主演とも言える新井浩文の逮捕。
撮り直すというレベルじゃなく、まるで別物になってしまうくらいになる。
映画内では一番まともに見える役。
いつの時代になっても起きる問題
去年の「万引き家族」くらい、「家族」の「闇」を描いているのだと思う。
小説のタイトルが「市井点線」
その意味は最後にわかる。前半から中盤は全てが「点」なんだ。
銀行強盗のシーンから始まる。
とてもちゃっちい感じの銀行強盗。紙袋を目出しにして被っている。
人質を取る手も震えている。
2000万円を銀行から奪った人間は昔ながらの霊柩車に乗って逃走する。
今の霊柩車は派手ではない。まぁ見ればそう思うけど、昔の霊柩車はなぜあんなに存在感を出してたのだろう?
藤竜也演じる父親の鈴木一徹。
鈴木家の歯車が狂った瞬間だったのだろうか?
長男鈴木小鉄を草なぎ剛。ジャニーズ事務所退所以来の映画ってことでやっぱり気になってた。
まぁ草なぎくんは草なぎくんなんだろうけどね。
10年ぶりに集まる兄弟。
失踪宣告をし、葬儀を行う。
元葬儀社の自宅で。
小鉄の妻美代子が尾野真千子。尾野真千子を観るのもなんか久しぶりのような気になる。
娘のユズキが甲田まひる。
まぁ兄弟が濃すぎる。
父親が藤竜也って時点で濃いのだけど、次男の京介が新井浩文。公式サイトからは削除されてる・・・
三男の千尋が中村倫也。
長女がMEGUMI。
一番ぶっ飛んでたのがMEGUMIだな。今付き合っている頭の軽すぎる男が突然来て、やりだすんだから。
でも、MEGUMIすごいな。
胸の大きさが変わらないし、顔も劣化してないし。軽薄な長女がすごく似合ってしまっていた。
で、頭の軽い彼氏の登志雄が若葉竜也。本人はいい男だなと思うが、まぁここに出ている人間、全てが最初はダメダメな感じ。
10年ぶりに兄弟で集まり、最初は千尋の姿がない。
兄姉はそれでも遺産相続の話を始める。
父親の2000万円は子供には背負う義務はないのか?
そしてクズの面が出てくる。
全ての遺産は自分がもらうと言い放つ。
京介も黙っておらず、お金となる家を更地にすることを拒む。
そしてただ怒ってるだけの長女。
見てて気持ち悪くなる。が、これが日本の縮図なんだろう。
小鉄の妻の美代子も夫のクズに同調し、お金に汚い。
それを悲しい表情で見ている子供のミズキ。
千尋が出てくる。
千尋は家中にレンズを置き、盗撮し、それをYouTubeで生配信していた。
止めようとしていた小鉄だが、お金になることを知ると続けることを決める。
一般常識には理解できないが、これが「今」なんだろう。
自らの汚点だろうとなんだろうとお金のためならさらけだす。
そしてそれを気持ち悪いとも思わずに「自分は違う」と思いながら勝手にコメントを書き連ねる人々。
様々なクズが出てくる。
台風が近づいてきている。
生配信したことで、当時被害にあった銀行の元支店長が来て、2000万円を請求しに来た。
「全部オレがいただく」と言った兄にその債務は起きる。
扇風機が止まり、手を入れて回そうとするミズキ。小鉄は扇風機を蹴飛ばす。
行動が粗野で理解できない。
娘は父親との距離感を感じている。
それは父親もかつて自分の父親に感じていたものだったのだろうが、自分も同じことしか出来ないということなのだろう。
ミズキは母親に父親となぜ一緒にいるのかを聞く。
そこには実は他の人には理解されないが、娘のことをただ思う父親が居た。
表現の仕方は人それぞれなのだろう。
でも、子育てって正解があるわけでもないし、仕事だってそう、うまくいくことは少ない。
それでも、子供を育てていかなければいけない。
自分ひとり生きるのも大変な世の中で家族を養うには世間体なんて気にできないこともあるのだと思う。
子供のために
親はそれしかきっと考えていない。
自分の姉もそうだ。私に会いたいというが、それは金の無心が見え隠れしている。子供のため。
まぁお金に汚いというイメージが若い頃からあるため、それが子供のためなのか?と思う部分があり助けることをしたいと思えなくなる。
なぜ他人の子供のために?と。
でも、この兄弟はまだ救われる。兄の愚行が全て娘のためと知ると態度が急変する。
そして京介は台風の中、タクシーが来ないため歩いて駅まで行くと帰る。
が、女性を連れて戻ってくる。
点が線になる。
最後は「そんなことないでしょ?」がたくさんなんだけど、それでも藤竜也はカッコいいで終わる。
子供のため。
親はそれしかないってことがこの映画なんだと思う。