【映画 愛しのアイリーン】感想。かなり重すぎたテーマでした。

地獄のバージン・ロードの意味するもの

写真がとても愉快そうなイメージだったし、やすけんの主演だしということで公開から1ヶ月くらい経ってやっと行ける映画館での公開となったから行ったけど・・・

重かった。

しかも2時間半。

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結婚できない人間の苦悩

結婚出来ないのと女性と交際も出来ないのは別問題だと思っているが、その両方が出来ないのはかなり重症だと思う。

頭の中で空想だけが空回りし、欲望の塊になる。

About The Movieを見たら絶対に行かなかっただろう。

嫁不足の農村。

非モテ40オーバー男。

そしてフィリピン女性との国際結婚。

子離れできない親。

そして姥捨て山伝説。

全てが未だにあることなのだと言う現実を知った。

フィリピーナという言葉が一般化したのは20年ほど前だろうか?

今でもまだフィリピンの貧しい漁村から人買いをして嫁を連れてきているのだろうか?

やすけんの「狂気」

変態役はあっても「狂気」って言えるほどの役は初めてじゃないだろうか?

年老いた親と暮らす頭の中は「やりたい」しかない40過ぎの男。

ただただ怖いだけの存在でしかないわ。いろんな意味で。

親もぼけた父親とシャキシャキしているが子離れが出来ない溺愛母。

やすけん演じる岩男はパチンコ屋で働く男。そこの器量が良いとは言えない女性くらいしか相手にしてもらえない様相。

小奇麗な愛子に想いを寄せ、これみよがしに誕生日プレゼントをもらって喜んでいたら、誰とでもやる女だと知り幻滅する。

愛子は子供も居る身であり「本気は困る」と言う。

そこで精神が崩壊した岩男は姿を消す。

ボケた父親と母親はなぜか営みを始める。

意味不明。

そしてぽっくりと逝ってしまった父親。

その葬儀に岩男は突然アイリーンという少女のような女性を連れてくる。

誰?

葬式という場なのに明るく歌う異国の少女。

お国柄なのか?

岩男は日本人女性を諦めてフィリピンに300万も出して嫁探しツアーに参加する。

そこで自分から売り込んできたアイリーンにする。

フィリピンは子供が親を養うという考え方なのか?

子供を金で売り渡すような国という意識にしかなれない。子供の幸せとは?

岩男はアイリーンにセックスを求めるが、アイリーンは頑なに拒否する。

お金で買った相手に売春以上のお金を支払ったのに身体を拒否されるなんて馬鹿臭くないか?

彼らはしたたかだ。

それでもアイリーンのことを愛おしく思い始める岩男。

徐々に距離が縮まっていく。

愛子は結婚した岩男に「アイリーンにいくら使ったの?」と聞く。「480万」と聞いて驚く。自分にはそんなお金を使ってくれる男はいないと。

そうだよね。

ただのセフレにそんなに出さないよね。自分にそれほどの価値がなかったと思えという感じだけど。

アイリーンはフィリピンパブでフィリピーナと日本人のハーフの男性と知り合う。

まぁフィリピンパブの女性たちの斡旋などをしている塩崎役の伊勢谷友介だった。

塩崎は岩男の母親のツルと手を組みアイリーンと岩男を引き離そうとする。

そこに岩男が戻り、アイリーンの救出をしようとし、塩崎を殺害してしまう。

二人の秘密が芽生え、助けてもらったことでアイリーンの気持ちも岩男へと傾く。

しかし、気持ちというものは一筋縄ではいかない。

アイリーンのためにしたことの代償が大きすぎた。

精神が崩壊しかけ、誰彼構わずにセックスをし始めた岩男。

そしてよその男と会って楽しそうにしているアイリーンには冷たくなっていく。

アイリーンをフィリピンに戻す。

そう決意しながら岩男は木にアイリーンの名前を彫り続けて足を滑らせて死ぬ。

それを見つけたアイリーン。

ツルはそれを見て倒れてしまう。

そんなツルを看護するアイリーンだが、最後は姥捨て山に捨ててくれと頼まれて背負って山の中へ行く。

アイリーンは見捨てたら良かったんだよ。アイリーンもしたたかだったが、日本人もひどかった。

この制度で幸せになった家族は居たのだろうか?

結局、ツルも死んだ。その後のアイリーンはどうなったのだろう?

誰もハッピーにならなかった話。

うーん、後悔。

こういう現実があるということなんだろうけど、自分の世界と違いすぎる。

未だにこれからもきっと続くのだろう閉鎖的な社会。

よその国に迷惑をかけないようにならないものか。

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【恋のしずく】感想。大杉漣さんの遺作と川栄李奈の初主演作と

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川栄李奈の主演女優としての良さ

川栄李奈の初主演作品はいたって普通の女性役。川栄李奈はアクション女優のような扱いの役が多いイメージだったから、普通の大学生の役がしっくりときている。

そして、初主演作品に大杉漣さん、小市慢太郎さんといったベテラン俳優さんが支えている感じがとても心地よい。

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リケジョ

ワインソムリエを目指すリケジョの詩織役で物語はスタートする。

ワインのテイスティングで産地を当て、意見を言う。そしてフランス留学を目指していたが、農業大学の実習先が広島の西条。

日本酒は受け付けない体質ながら単位のために西条へ行くが、実習先では実習生は断ったと言われてしまう。

実習をしなければ単位が取れない。そんな状況を作った教官が津田寛治だったのか。誰だかわからなかったわ。

はい、そうですかと戻れない。そんな状況を宮地真緒演じる美咲がほっとけずに自宅で面倒をみることに。

美咲は元々東京でOLをしていたが、実家に戻り実家でお酒用のお米を作っているのを手伝いながら実習先の乃神酒造でも働いていた。

美咲は実家のお米の収穫を一緒に手伝うことをすすめる。

そこには杜氏役の小市慢太郎が実習生の話は聞いてないとしながらも慣れないなりに頑張る詩織に刈り取り方を教える。そして終わりに「明日、8時に蔵に来い」と言う。

蔵では息子の乃神完爾が実習生の件を断らずに受け入れていた。が、完爾は父親である大杉漣さん演じる蔵元に反発ばかりしていた。

そんな中ではあるが、杜氏からまずは洗い物からと言われて洗うが、汚れが残っていることを指摘され、他のものも洗い直すように言われると、リケジョ詩織は「効率的ではない」と反抗する。

慣れない広島弁とどうしても「バカ」とか余計な言葉がつくことに耐えられない。

怒って歩いてて完爾とぶつかって完爾の持っていた徳利を割ってしまう。弁償しろ!と言われてまた売り言葉に買い言葉状態で買ってしまい30万円を請求されてしまう。

日本酒も飲めない中で、縁がなかったと諦めるべきか・・・

そんな詩織を美咲はご飯に誘い出す。そして自分は悪くないと言う主張をしているうちに日本酒のことを何も知ろうとしてなかった自分に気づく。

気づいてそのまま蔵へ戻り洗い物を続ける。

翌朝、杜氏に自分の発言を詫びる。詩織は素直な性格だからそれが人に受け入れられる要素になっている。

美咲とともに仕事を手伝っていく。

ある時、お花を生けようとしている完爾を手伝い、完爾の母親の仏前で手を合わせる。

そこで詩織は完爾に「なぜ蔵を継がないのか」と聞くと見た目よりも大変なのだと言われる。

蔵元とも何度か話をする。

大杉漣さん・・・まさか公開日に自分がこの世にいないなんて想像もしてなかったのだろうなって思う。

蔵元は心臓病を患っていて自分の死期を悟っているような感じだ。

美咲の計らいで有重酒造の王子と飲むことになり、そこで王子から日本酒の手ほどきを受ける。

そして自分の実習先のお酒であることを知り、もっと日本酒のことを勉強する。

東京で知り合ったワインポーターと広島で再会する。完爾が呼んでいたらしいのだが、日本酒の拡販のために契約しようとしていた。

誰にも相談なしにすすめることに周囲からは反発を受ける。

が、完爾は今のままでは蔵は赤字で立ち行かないことを打ち明け、杜氏、蔵人をそのまま使ってもらうことを条件に手を組もうとしていることを打ち明ける。

西条の祭り

すごいね。こんなお祭りがあるってことに驚く。広島というところを全然知らなかったなって思った。

ワインポーターの朝比奈は詩織のワインソムリエとしての才能を買っていた。そこで今度は日本酒を世界で販売するために手を組まないかと言う。

しかし、今のままでは売れないから合理的にすると。

それを聞いた完爾は話が違うと怒り出す。

不器用ながらも蔵のことを考えている完爾に次第に心を惹かれていく詩織が可愛い。

蔵元が亡くなる。

完爾はどうしたらいいのか悩む。父親の遺品の中に母親の遺品を見つける。

そして三島由紀夫の「橋づくし」という小説の表紙の中に母親の記述を見つける。

橋づくし (1958年)

橋づくし (1958年)

お通夜の席でお酒に酔った状態で絡んできた神主さんのところで事情を聞き、スーツ姿で杜氏の元を訪れる完爾。

まるで別人になっていたが、杜氏は「酒造りの舵取りは杜氏の仕事だけど、船の船主は蔵元だから」と完爾の蔵元としての決意を受け取る。

母親が書き残していた「命なりけり」というラベル。

母親の死期に元蔵元と一緒に作っていたことを聞き、母親が死んだときに飲んだくれていた父親を許せなかった自分の思いの間違えを知る。

お酒づくりはすごいなぁ〜って思う。

いろんな菌があっても麹菌じゃなきゃだめでそれが発酵してとかいろんな過程で日本酒が生まれる。

日本酒を生んでいる酒蔵のお酒は絶対に美味しいと思う。

美咲と詩織の人間ドラマもあり、日本酒を通じて成長する詩織、完爾の姿もあり、広島の風景にとても良い作品が初主演作品で良かったねって言いたい。

川栄李奈は樹木希林さんに通じる女優さんになると思っている。

自頭のいい女優さん。

勉強は出来なかったと思うけどそうじゃない能力がある。

リケジョ役なんて一昔前の川栄李奈から想像できない。

それでも彼女の主演作品ですごい観客動員が出来るとは思わないけど、満足は与えていると思う。

彼女がこのままいろんな良い作品に出会えると嬉しい。

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【映画 億男】感想。お金の正体を考えてしまう

もし億女になったら?

お金の正体とは?幸せとは?

「教誨師」では死刑囚が借金を出来たことを喜んでいた。何もない自分にお金を貸してくれるところはないから。借金が出来るということはお金を貸してもらえることだってことだと。まぁ連帯保証人だけど。そしてそこからどんどん落ちて死刑囚になってるようなのだけど。

突然億のお金が入ったら?

考えるし、全てのセリフに重みを感じた。

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1万円札と1円玉の重さは1g

1万円札と1円玉の重さは同じ1g。

でも価値という重みはまるで違う。

九十九役の高橋一生と一男役の佐藤健。

二人のクランクインがモロッコってことでオープニング映像がモロッコ。

モロッコというところは案外知らない場所だなっていう感じ。

アフリカの左上なんだ。

マケラッシュってモロッコだったんだ。昔の松田聖子の歌にあったなと。

サハラ砂漠は知っててもモロッコは知らないって感じで。

壮大なサハラ砂漠。それがかなり物語のキーとなることは終盤にならないとわからない。

サハラ砂漠から突然、何かのパーティ。

場違いな雰囲気の一男がその光景を見ている。

九十九がその中心へと一男を連れ出す。

何のパーティなのかもわからないまますごい状態になってくる。

ハイヒールにシャンパンを入れて飲み干す二人。

異様な光景が広がっている。

突然あきらと言う女性が一男のスマホを奪い、一男の指紋でスマホを開き、ラインの交換をする。

セキュリティなんてないのね。

翌朝、その場で目が覚める一男の前に九十九の姿も他の客の姿もない。

突然のことに戸惑いながらも手がかりを探し始める一男はあきらに連絡を取り、九十九の行方を尋ねる。

しかしあきら(池田エライザ)は九十九と直接の繋がりはないという。

そこであきらは九十九の知人を紹介する。

九十九と同じ「バイカム」という会社の元CTOのスーパーエンジニアだった百瀬という男。

北村一輝なんだけど、まぁ太らされてるわ、ひげがあるわ、黒縁メガネだわで北村一輝感はまるでない。

競馬場のVIPルームで九十九のことを聞こうとするが、まずは九十九との関係を話すことになる。

そこでことの経緯が判明する。

豪遊までのいろいろなことが。

まず、借金3千万円があること。借金返済のために図書館司書と夜にパン工場のバイトでただただ借金返済のための生活をしていること。

妻子とは離れて生活していること。

子供との面会でたまたま通りすがりの人からもらった券でガラガラをしたところ、宝くじが当たったこと。

その宝くじで3億円が当たったこと。

突然大金を手にしてどうしていいのかわからず、大学時代の親友の九十九を訪ねたこと。

九十九からお金どこにあるの?と言われて現金化して九十九のところに持ってきたこと。

そしてその場所で夜にパーティーがあって翌朝になったら九十九とお金がなくなっていたこと。

こうやって書いてても他力本願な生き方だなって感じなんだけど、一男は借金を返せたら家族一緒に生活できると信じていた。

本質はそんなことじゃないと思うのだけど。

借金をしてても頑張って生活しているご家族はたくさんいる。でも、妻が子供を連れて出ていく理由は何も「借金」だけではないのではないかと思う。

その話を聞き終えた百瀬はお金を言い出す。コンサル料が1時間何万もするということでこのつまらない話を聞いただけで1万ちょっとだと。

お金の価値とか重みとかということを何も考えない人間には理解できない展開。

そして百瀬は自分の100万で競馬で賭けろと言う。

そこで3連単だったのか?一男は1億を儲ける。運はまだある。

最終レース、その儲かった1億を全部入れろという。

3千万円を返したい

それしかない一男は渋る。そもそもが自分のお金ではない。

そして・・・結局は負ける。

1億が瞬間でなくなる。

百瀬は言う。お金がいってもどっただけだと。

頭の中をただ漂っただけだと。

最初から百瀬は一男の馬券を買ってはいなかった。だから損も得もしていない。

もちろん一男も。

宝くじもそもそもはそんなものだと言う。

人からもらった抽選券でたまたま当たった宝くじが当たっただけなわけで一男自身が何かしたわけではないんだよね。うん。

そして次は元「バイカム」のCFOの千住の藤原竜也に会う。

藤原竜也も貫禄を出すために太らせたのかな?

Tシャツ姿が中年だった。

ってもうそんな年なのか?

CFO=最高財務責任者

結局は千住手動でバイカムは売却された。500億?で売れるということで。

だから九十九が連絡を取るはずはなかったが、ここでもお金の価値がわかる。

カリスママネーアドバイザーと言う立場で怪しいビジネスを行い、「借金で妻子が出ていった。借金を返して妻子とまた生活をしたい」という信者に1万円札を渡し、「破れ」という。

千住が渡した「1万円」であってその信者のものではない。

それでも人はお金に囚われているのか破ることが容易にできない。

お金持ちになってどうなりたいか?

一男は「お金を使う側になりたい」と言う。お金に振り回されるのではなく使うこととなっていた。

最後は十和子の沢尻エリカと会う。元「バイカム」の広報IR。

公団住宅で質素な生活をしていた。

そこにもお金について語る十和子の姿とお金の正体に苦しんでいた九十九を知ることが出来た。

そして九十九から一男のことを聞いたことがあることも。

そこで一男と九十九の出会いが回顧される。

大学生の二人。落研の飲み会の場で一男と初対面だった九十九はいきなり一男に寄りかかり嘔吐してしまう。

介抱し、送り届ける途中で普段はどもってきちんと喋れない九十九が突然落語を始める。

落語は流暢に話すことが出来ていた。

大学時代の二人は落研のエースだった。

九十九 + 一男 = 100点コンビ

お客様の入も満席だった。

二人はモロッコへ旅行する。

ホテルがわからず迷っていると地元の人が寄ってきて「お金はいらない。連れてってあげる」と親切にするが、現地に着くと「ちょっとでいいからお金をくれ」と言い出す。

ちょっとならと出そうとする一男に九十九は断固とした態度で出すことを拒否する。

市場でお皿を見ている九十九に一男は声を掛けながら倒れて商品を壊してしまう。

怒鳴りまくる店主。

目が覚めるとベッドの上だった一男。九十九に謝る。

そしてどうしたのかと聞くと払ったという。

足元を見られたけど、一男をいち早く病院に連れて行きたかったと。

34万円。

簡単に払える金額ではない。

九十九は戻れば保険でどうにかなると言ってくれる。

そしてサハラ砂漠を見学し終わった九十九は大学を辞めて起業すると言い出す。

モロッコ旅行で決意したという。

そしてお金がかかるしどうするんだ?という一男に九十九は「バイトしたお金で株をやって1億貯めた」と言う。

同じ時間を過ごしていたと思っていた人間が突然「億男」だったら?

モロッコ旅行は一男は安い宿、安い飛行機を探したのに馬鹿だったなと言うが、九十九は「じゃあ俺が全部出すと言って君は来たかい?」と言う。

その頃からお金の正体を知ろうとしていた九十九とただお金に振り回されていた一男。そのまま大人になったのだなと。

3億円当たったからまた一緒に暮らそうと妻の黒木華に言うが、「あなたは変わってしまった」と取り合わない。

娘のバレエ教室を辞めさせるとかそれがきっかけらしいが、きっと借金を返すことしか頭にない生き方になった夫に愛想が尽きたのだなと。

そしてバレエの発表会で離婚届を渡す。

その帰りの電車の中に突然九十九が現れる。

お金を1gも変えずに。

そんな九十九に一男は「僕は信じてたよ。きっと何かあるのだろうって。」と言う。

そして「芝浜なんだろう」と。

突然お金を持ってしまった親友が変わってしまうことを案じたことであった。

かつて自分がお金が増え、会社が大きくなったときに社員を信じられなくなっていったことがあり、それを教訓にしたのだろう。

一男は3億円が「運」だけで手に入り、もし何も考えずに手にしたらきっと瞬間でなくなり、人間としても落ちただけだったのかもしれない。

親友を思い出し、その親友の過去の苦悩をその仲間だった人から聞き、お金の正体を客観的に見られたことはとても良かったのだろうなと思う。

話がしたいよ

話がしたいよ

  • BUMP OF CHICKEN
  • J-Pop
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

エンディングテーマが「話がしたいよ」BUMP OF CHIKENだったのだけど、予告の切り取り方が秀逸だったと思う。

情景とか。

多くの俳優さんが出るわけではないけど、全ての俳優さんが役になりきっていてすごい映画だった。

北村一輝なんて言われても全然そんな感じがしないから。

高橋一生の大学生感とかどもりとか。

お金ってなんだろう?まぁなきゃ駄目だけど、なくてもどうにかなると思ってる。

「金は天下の回り物」

私が信じているのはこのことわざかな。

ピンチの時には必ず救ってもらえている。だからピンチの人には惜しみなく出してしまってきたのも事実。

貸しているお金(あげたと思うようにしている)の方が上回ってるかもしれないけど、でも、ここまで成長するためにはきっと自分の知らないところで多くのお金が使われてきているだろうなって言うことを考える。

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【ハナレイ・ベイ】感想。吉田羊が追い詰められ戦った作品とは

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Not For Saleですが・・・

はっきり言えば、いらないな。これ。。。

内容は吉田羊が女優引退まで考えるほど追い詰められたという。

確かに・・・

吉田羊の一人舞台だからね。でも、素晴らしかったと思います。

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母として

最近の吉田羊は母親役が増えてきている。年齢的にはそんな年齢だしね。

村上春樹さんの短編集が元になっている作品。

吉田羊以外はみんな俳優じゃない。あ、村上虹郎は俳優か。それでもまだ卵だ。

なんと栗原類が吉田羊の夫役で出ている。しかもヤク中の役。

なんかすごい違和感がなかった。

ある意味すごい。

吉田羊演じるサチはシングルマザーで佐野玲於演じる息子タカシを育てていた。

仲の良い親子ではない。

タカシはハナレイ・ベイでサーフィンを楽しんでいた。

その最中、サメに右膝したを食い千切られ死んでしまう。

はっきり言えば、タカシは最初の10分も出てないかもしれない。

その後に回顧シーンで出てくるけど、まぁそこまで印象に残らない。

しかもサーフィンシーンから始まるけど、ボードの上で寝ているシーンで終わってしまう。

ハワイ・カウアイ島。

静かなキレイな海。

そんなところにもサメは来る。

遺体確認後、警察にカウアイ島は自然そのものなのだと言われる。

だから、カウアイ島を憎まないでくれと。

息子の死をどう受け止めていたのか、地元の人はフォローをする。

そして「息子さんの手形をとりませんか?」と言う。サチは「No」と言うが、結局は押し切られてしまう。

その手形は預かっておくからと。

サチは毎年同じ時期にカウアイ島を訪れていた。

日本人的だと思う。

死者を弔うということはその人の最後の場所でという気持ちになる。

そして10年後に、若者サーファー2人と知り合う。

大学生の彼らにタカシの影を重ねていたのか?

村上虹郎演じる高橋と佐藤魁演じる三宅。佐藤魁って人はプロサーファーなんだね。めちゃめちゃサーフィンは上手い。が、演技は大根。

英語がわからない日本人ってことでとりあえず・・・OK?的な感じ。

村上虹郎はサーフィン出来ていたのか?それなりにうまかった。

そして英語も。

吉田羊もだけど、ほとんどが英会話。

かなりキレイな発音だと思う。

ネイティブと違うから私でも聞き取れるくらいの感じで。

二人はサチのことを「おばさん」と呼び、仲良くなるが、サチは息子のことをはっきりとは言わない。

現地の人はサチが毎年来ていることを知っていて元海兵隊員のアメリカ人がサチに絡んでくる。

店のオーナーが仲裁し、終わったように見えたが、お店を出た高橋と三宅に再び暴言を浴びせる。英語が実は話せる高橋はおばさんを侮辱したことに対して「ファック!」とやってボコボコにされる。

警察からの電話で二人の元へ。

サチは「男ってバカよ」と言うが、高橋は「おばさんは何もわかってない」と言う。

二人が帰国する際に、サチに言う。海から片足の日本人サーファーが居ると。

それからサチは来る日も来る日も海岸を歩き、片足のサーファーの姿を追う。

そして気づく。

自分がいかに息子のことを愛していたかを。

そして手形を受け取りに行く。

手形に自分の手を合わせて「あなたに会いたい」と。

心の葛藤をどう表現させるのかきっと大変だったと思う。

クールな母親役。

息子は親の苦労を知らずに勝手なことばかり言っていて「嫌い」という感情になっていた。

それでも愛していたのだと。

難しいね。

子育てって。

シングルマザーで夫の遺産でピアノバーをはじめたとしてもそれを維持して子供を育てることがどんだけ大変か子供はわからない。

19歳にもなってと思ってしまうが、それもきっと親の責任なんだろう。

感動するとかしないとかはない。

女優吉田羊の魂の演技なんじゃないかと思う。

吉田羊の次回作は今度は子供を虐待する母親役でしょ?

とりあえず期待する。

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【ルイスと魔法の時計】感想。佐藤二朗が声優ってことで行ってはみたけど・・・

眠気との戦い

この映画はどの層がターゲットなんだ?

子供向けになるのか?

眠くてストーリーが繋がっていない。

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ルイスの声優は厳しい

この映画の主役は少年ルイス。その声優が高山みなみってことで、もうコナンくんの実写版にしか見えない。

そしてポンコツ魔法使いのジョナサンの声優が佐藤二朗でそのお隣さんのツィーマン婦人を宮沢りえってことだけの興味で行ってはみたけど・・・

久しぶりに後悔した。

1時間弱で帰ろうかとも思ったのだけど、半分意識が飛んでいた。

眠かったのはあるのだけど、それにしても面白みを感じない。

ストーリーは突然の事故で両親を失った少年ルイスが伯父のジョナサンの家に引き取られるってことなんだけどね。

ジョナサンはルイスのことを思っているけど、ジョナサンの家はちょっとおかしい。

そしてルイスは学校に通うけど、ここでも明らかなイジメがある。

まぁあそこまでスポーツが出来ないとねってくらい何も出来ない。

辞書が大好きって少年。

ジョナサンは大事なことをルイスに伝えなかったことでルイスは友達のタービーの気を引きたいために「開けてはいけない」と言われていた棚を開けてしまう。

そこにあったのは「降霊術」の本。

両親を失った少年。

本を読むことが好き。

「ハガレン」の流れだわね。

で、ルイスも呪文を唱えてしまって、屋敷の元の持ち主の強力な魔術師のアイザックを蘇らせてしまった。

アイザックを蘇らせたことで魔法の時計を動かされてしまうということでそれを阻止するために戦う的な感じ。

でもね、ただただ不気味な感じだけ。

ハロウィーンのかぼちゃが動くとか、人形が動くとか。

宮沢りえと佐藤二朗はいい感じだったけど、どうにもこうにも少年ルイスがコナンくんで

「博士!これ!」的な雰囲気で。

子供の話を聞こうとしない大人と大人の「してはいけない」をしてしまう子供とって構図で世の中を破滅にってよくあるようなないような感じで。

魔法の時計を探し出して動き出した時計を止めることは出来たのだけど、イマイチよくわからない展開でしたね。

大人だからわからないのか?

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【映画 「日日是好日」】感想。季節を感じる映画。

季節のように生きる。

自分の余命宣告を受けた後に出演を決めた作品だということを読んだ。

そこには主演が誰かということにこだわり、「黒木華」が主演が決定して樹木希林さんの出演が決定となったとあった。

黒木華さんは公開にあたり「樹木希林さんとの共演は「財産になる」」と。

20歳から44歳という24年間の女性を演じているが、自然でそれでもきちんとその年齢を感じることが出来たと思う。

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樹木希林さんの思い

希林さんご自身も茶道の経験はなかったようだけど、「教わる」演技と「教える」演技では「教える」方はまず自分が教えるだけのものを習得しなければいけないから大変だったのではないだろうか?

この映画は「茶道」を通して日本の四季をとても意識したものとなっている。

黒木華演じる典子は大学3年生から物語はスタートする。

同じ年の従姉妹の美智子役が多部未華子。二人とも「華」が名前にある女優さんだったのね。

典子と美智子は性格がまるで違う。

典子は良く言えば真面目。それでも理屈っぽくておっちょこちょいで不器用。

大学でやりたいことを探していて何も見つけられないと言う。

美智子は逆に竹を割ったようなタイプで明るい。

それでも近所のお茶の先生のところに二人で行くことになる。

そのお茶の武田先生が樹木希林さんだ。

最初は二人だけの教室。

帛紗(ふくさ)のさばき方

武田先生は基本を大切にしようと丁寧に教えているのだろうが、二人は「なぜ?」が頭に引っかかると先に進めない。

今の人に多い。

動作に意味はあるけど、最初から意味を知るよりもまず「型」を覚えてそれから「心」が入るからと言われて、納得できない。

「見て覚える」とあるが、見る前に一緒に完成がわからない動作は苦手だ。

まずお手本で「こうします」「では一緒に」と言われるとまだいいのだけど。

帛紗捌きが終わり、ちり打ち。ここでも「なぜ?」と聞く二人。先生は「なぜかしらねぇ〜」とその行為に深い意味はないのだと言うことなんじゃないかと思うが、それでもそれがしきたりというものだったりするのだろうね。

まずは「習うより慣れろよ」と言うが、頭がパニックな典子は楽しめない。

茶室に入ろうとするところからダメ出しの連続。

畳の歩き方も畳一畳を6歩で進んで7歩目で次の畳に行くようにと言われるが、歩くことすらままならないことに質問の連続。

武田先生は「意味なんてわからなくていいの。お茶はまず”形”から。先に”形”を作っておいて、その入れ物に後から”心”が入るものなの」と伝えるが、美智子は「それって形式主義じゃないんですか?」とこれまた意味のわからない返答。

武田先生としても「なんでも頭で考えるからそう思うのねぇ」と笑って受け流す。

世代としたら私と同世代の女性の四半世紀ということになる。

自分もきっとあの時代に「お茶」を始めたら、同じように頭で考えて理解しなければ先に進めない人間だったように思う。

典子は真面目で不器用なだけに自分がまるで赤ちゃんのように何も出来ないことでお茶をなかなか好きになれない。

それでもなぜか土曜日にはお茶に行く。

1ヶ月くらいでやっとちょっとだけ先生の言っている意味の端っこが理解できた瞬間を感じる。

頭で考えなくても手が覚えるから

大人になるとわかるのだけど、最初にいろんなことがわかるわけではないからまずは流れだけでも俯瞰で体感できるといい。

そうすると次の段階へ行きやすい。

仕事でもまずわからないなりにも資料を作成する。

そうしないと私が何をどこまで理解できていて何が正解か誰もわからないから。その資料を元に指摘をしてもらう。

人生なんてそんなものだと思う。

頭で理屈をこねる前にまずは見よう見まねで進めていけばどこかで自分の中に落ちてきている瞬間が見つかるはずだから。

ちょっと慣れた頃にお茶の教室がお休みになり美智子は旅行でお茶を休むという。

「一人で行くの嫌だなぁ」典子って・・・大丈夫か?

誰かに誘われたから、誰かが居るからと言うことで何かをしたことがない自分には典子はあまり理解の出来るタイプではなかった。

それでも嫌だと言いながらもお茶に行く典子。

典子の嫌の根本はやっぱり「真面目で不器用」なんだろうね。

器用さを求められているわけでもないのだけど、出来ない自分を知る行為が嫌ってことなのだろうか?

場面場面で季節の移り変わりがある。

二十四節気が表示され、掛け軸が変わり、床の間のお花が変わり、庭の雰囲気が変わる。

少しだけお茶の世界に慣れた頃、大規模なお茶会に参加する。

そこは想像していたような雅な世界ではなくて女性のバーゲンセールのような女性車両の席取りのような様相。

そこで本物の茶器の味わい方を教わる。

美智子は就職しお茶をやめる。

典子は出版社でアルバイトをしながらもお茶は続ける。

お茶を始めて2年くらいしたとき、梅雨の雨と秋雨の音の違い、掛け軸の文字の意味を考えるのではなくて、「絵」として眺めることで楽しめることに気づいてくる。

不器用な人間は同じところでずっと学ぶことができる。

私のような器用な人間は「器用貧乏」と言って結局は何も続かない。

典子は10年続けた頃にやっと限界を感じる。

それは15歳の少女の存在だったり、自分の成長のなさだったり。

10年も続けると自然、その場所では意見を求められる。

しかし何一つきちんとした知識を伝えられない。

だから続けられるのかもと思うのだけど。

武田先生もそんな典子に「工夫というものをしなさい」と指摘する。

重たい言葉。

武田先生にしても自分が教えた10年の重みをまるで流されてしまうことはキツイのではないだろうか?

器用に最初から出来る人間は居ないが、10年も一緒にいれば勝手に成長を求めてしまう。

が、私にしてみたら会社でも半分は優秀だけど半分は結局この典子のようにただ居るだけじゃないかと思うし、残るのはこのただ居るだけの分野の人だ。

なぜなら会社で役職につけるのは同年代の一握りであり、自分に可能性を感じればそこ以外の場所を求めるだろうから。

結局典子は結婚間近で相手の裏切りという表現だったが、浮気が発覚してそれを流すことが出来ずに終わらせた。

それは成長だと思う。

真面目で不器用そのものでもあったとは思うけど。

そして1年ちょっとで新しい恋人が出来てもお茶は続けていた。

33歳でやっと一人暮らし。

父親役が鶴見辰吾。

お茶の帰りに実家に寄ってくる娘を待っている。

夕飯を一緒に食べられると思っていたが、娘は彼氏と約束をしていた。

ある時、出かけようとしている典子に父親から電話が。「近くに来たから寄ってもいいか?」

出かけるからと切ってしまった電話が気になって夜に実家に電話するが、父親はもう寝ていた。

翌日なのか?

母親から電話が入る。

父親が倒れたと。

何事も後悔というのはこういうことなんだろう。

そして典子はお茶を始めて24年が経っていた。

武田先生から「お茶を教えることで教わることがある」と言われる。

ただただ真面目に続けている人間が師範になる。

そういうものなのだろう。

器用な人間はあまり師範という人には向いていないのかもしれない。

不器用な人間が教えることも不器用ながらも身体が覚えていることをきっと伝えていくのだろうと。

希林さんの存在感は「お茶の先生」と言う立場で若い人に残す言葉のように聞こえた。

言葉の一つ一つ、希林さんが大切にしていたものがセリフにのって伝えられているように感じた。

典子の人生の大部分がお茶になったストーリーではあるが、もう少し欲を言えば希林さんよりのストーリーになっていて欲しかったかもしれない。

どのシーンでも「涙」はない。

「感動」というものもあまりない。

淡々と、ただ淡々と四季の移り変わりの中にお茶の世界があり、人々の成り立ちがあるそんな映画だと思う。

だから淡々とした人生に感動はないが、セリフの中に生きていく上で大切なものがたくさん散りばめられていたと思う。

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【玉置玲央】教誨師で初めて見た俳優さん

初めての映画作品ということらしい

「教誨師」で大杉漣さんの次に印象に残っている俳優さんは?と言われたら間違えなく

玉置玲央さんだ。

誰だかわからないけど、中村倫也的な雰囲気もあるし、坂口健太郎の爽やかさもあるし、福士蒼汰のような・・・

ほんと「誰?」な感じだった。

33歳。俳優であり演出家。

柿喰う客という劇団員として舞台中心の俳優さんが初の映画作品で、昨年の「相棒 season 16」の第3話の車椅子に乗った菊池桃子出演時の菊池桃子役の介護士として出演していたらしい。

・・・ちゃんと観てなかった。

33歳ってことだけど、いろんな役をしてくれそうな予感。

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高宮という役

大杉漣さん演じる教誨師と対面する死刑囚の6人。

「教誨師」のWikipediaでキャストの欄、大杉漣さんの次に記載がある。

やはり重要な役どころということだと思う。

有名どころだと烏丸せつこと光石研だと思うけど。

それ以外の方はテレビと映画しか観てないし、そこまでちゃんと観ているわけでもないと知らなかったのが現実です。

その中で同じ「死刑囚」と言うカテゴリーでも同じ罪ではないはずです。

同じ思考でもないはずです。

それでも教誨師と対面して吐露するものはどの人も自分勝手だなと思う部分は変わらないのだなと思いました。

もう刑の執行を待つ身となった時、自分を飾ったり偽ることに何の意味もないことなんだということなんだろうと思ったりしました。

玉置玲央さんが演じた高宮という青年は17人の連続殺人という罪を負って死刑になった人。

玉置玲央さんを選んだのは大杉漣さんだったのだろうか?

自ら初主演作品にもう若手とは言えないが、実力のある役者さんということでキャスティングしたのだろうか?

彼の登場の最初は自分が死刑になったのは日本の裁判員制度のせいだと言う。

死体の写真を見せたことで「死刑」にまでいったのだと。

それを淡々と語る役。

罪の意識が微塵もない。

半笑いで自分の罪をどこかに置き去りにして死刑制度について議論を始める。

EU加盟国には死刑制度がないなど。

セリフは膨大だ。

教誨師としての大杉漣さんは困った顔で聞き手に回る。

それでも半笑いで説くセリフに教誨師として冷静にいられない部分が出る。

顔がひきつる。

そんな応酬。

「銀魂」の福田監督が佐藤二朗、ムロツヨシを自分の作品に出演させることでメジャーにしたように大杉漣さんは玉置玲央という俳優をそんな感じでもっとメジャーにしたかったのではないだろうか?

舞台俳優がメジャーじゃないとは言わないが、もっと映画やテレビで拝見できる俳優さんで居て欲しいと思わせるものがあったと思う。

この映画がどのくらいの反響があるかわからないけど、それでも彼の演技はかなり心に響いた。

彼の役はかなりセンセーショナルな感じであった。

それに負けない演技をしきったと思う。

今風の顔なんだよねぇ〜。

整った塩顔。

最初に言ったように似たような顔の俳優さんがゴロゴロいる。

その中で輝ける存在になるためにどうしたらいいのかわからないけど、それでも大杉漣さんの意思を引き継がなきゃいけない俳優さんだと思うから、しっかりと受け止めていって欲しいとほんと思う。

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【教誨師】感想。大杉漣さんの遺作にして大杉漣さんらしい感じを受ける。

大杉漣さん初プロデュース作品

皮肉なものでこれが最初で最後のプロデュース作品になってしまった。

今年の2月21日。まさかの突然の訃報に驚いたのがついこの間のようだが、既に7ヶ月が過ぎた。

本当ならこの時期多くの番組で番組紹介をしたかっただろう。

そんな大杉漣さんを観られたはずなのに本当に残念だけど、大杉漣さんのお人柄に合い通じる役なのではないかと思った。

公開する劇場数がそんなにないし、1日に2本しか上映されないからか、満席だった。

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教誨師というお仕事

「死刑囚」は刑務所に行くことがない。死刑執行のその日までをずっと拘置所でただただ孤独に生きる。

それはこの夏に立て続けに死刑執行が行われたことでも知られたことになった。

死刑囚以外の懲役は刑務所に送られてそれぞれの役務を行うことができる。

死刑囚にはただ「待つこと」しか許されていないのだなってことを実感する。

大杉漣さんはプロテスタントの牧師という役で月に2回教誨師としてボランティアで死刑囚と面会する。

6人の死刑囚。

きっと実際もあんな感じなんだろうなぁって。

死刑囚となった彼らではあるが、見た目が違うわけでもモンスターなわけでもない。

それでも思考のズレを感じる。

死刑囚にとって教誨師は唯一の話し相手なのかもしれない。

なぜ彼らは教誨師と面会するのか?と言うことが疑問でもあった。

教誨師と話して何が変わるのか?

既に確定した刑が変わることはない。そして教誨師は「死」が国によって定められた人々の何に寄り添う存在なのだろう?

大杉漣さん演じる佐伯は教誨師となって半年という役柄で寄り添うことを模索しているという雰囲気が伝わってくる。

最初に登場した死刑囚は鈴木という死刑囚。鈴木は佐伯の問いかけに反応しない。心を閉ざしているのか何かなのかもわからない。

次は光石研演じるヤクザの組長の吉田。とても気の良い人物で、佐伯のことを気遣う人物でもあった。

年老いたホームレスの進藤役の五頭岳夫。まず言い訳しかしない。自分を守るためのことなんだろう。そんな進藤に佐伯は聖書をすすめる。

烏丸せつこが関西出身のおばちゃん丸出しの野口役で登場。自分のした罪をまるで見つめることはなく、文句を繰り返す。でも、見回りの橋本という刑務官の話を真剣にする。

気弱な小川役の小川登。家族とも縁を切られてしまったが、子供のことを思いつづける。

大量殺人者の若者、高宮役の玉置玲央。世の中をバカにし弱者が生きていてもしょうがないから自分が変えようとして行ったとまるで自分の犯した罪の大きさをわかっていない。

この6人と向き合うだけの進行。

拘置所の1室。

夏から秋くらいの季節からスタートしたのだろうか。

対面を繰り返しているうちに心を開いて、自分がしたことを話し出す人も出てくる。

そして佐伯自身の生い立ちも出てくる。

なぜ教誨師となったのか。

そもそもどうしてプロテスタントになったのか。

母親に捨てられた中学生なのか?高校生なのか?

自分のために兄が殺人者となってしまい、罪の重さに耐えかねた兄は20で自殺をした過去を背負っていた。

死刑囚一人ひとりの「生」との向かい合い方に寄り添おうとする中で全ての死刑囚は「罪」とは向き合ってはいない。

ほとんどが身勝手な考え方だ。

その中でホームレスの進藤は少し気の毒な部分がないことはないなと思った。

聖書をすすめられたものの読んでいないことを言えない。絵本レベルのものを一緒に声を出して読んでみましょうと言う佐伯だったが、読めない。

そこでやっと佐伯は進藤が字が読めないことを知る。

そんな進藤に佐伯は「大変な人生でしたね」と同情するが、それを否定する進藤。大変だったのは自分じゃないと。

最初に勤めた場所で自分に名前を書いて欲しいと頼まれたことで喜んで連帯保証人のサインをして債務をおったことについても「自分がそんな大金を借金出来たことが嬉しかった」と言う。

そういう考え方もあるよね。

それでもその後は車で人を引っ掛けてしまって賠償金の支払いをしなければならなくなり、借金も返せなくなってしまったと。

佐伯は字を教えることにする。

「死」を迎えるだけの人生の中でも出来ることはある。そして洗礼を受けたいと願い出る進藤に洗礼することを伝えると脳梗塞で倒れてしまう。

一命をとりとめたことはどう思うのだろう?だって、死刑しか待ってないわけでしょ?って考えはだめなのか?

最初の頃はまるで反応を示さなかった鈴木は佐伯との面会を繰り返し、佐伯が自分のことを話す中で徐々に自分の心も開いていく。

が、それは未だ罪の意識のない感情が吐露されただけでもあった。

彼はストーカーだったのだろう。そのストーキング行為の中で勝手な妄想でその対象となった女性含め家族をも殺害したことのようだ。

そして被害者となった彼女が心の中で自分のことを許してくれたとも言い出す。

うーん、それを教誨師としてどうすることもできないのだろうね。

被害者への謝罪をさせるための存在ということではないのだろう。

そして生まれ変わるなんてことはないのだから、生きている残りの時間を寄り添うことなのか?

ヤクザの組長の吉田は話をするが、その中で他の罪の告白まで行う。

「二人だけの秘密だぞ」と。

その約束を守っていたが、刑務官との話の中でそれが刑を伸ばすための作戦だということを知る佐伯。

吉田は生への執着から夜中にノイローゼで壁を殴って大暴れをしていた。それを他の死刑囚から聞いていた佐伯はまさかそれが吉田であったことに気づき動揺する。

秋から冬になり、執行があるはずだと疑心暗鬼になっていく吉田。

最初の快活さはなくなり、秘密をなぜ公にしなかったと詰め寄る。

唯一の女性の野口は首謀者として死刑になったらしく、なぜ自分だけと被害妄想しかない。

野口の話の中の刑務官も実際にはおらず、妄想であった。

妄想とも付き合わなければならないわ、勝手に逆ギレするわ、罪の意識は皆無だわって人間と向き合う人ってどれだけ器が大きいのだ?

小川は子供への思いを毎回話す。そして自分の罪のために妻子がどうなったのかということまではなかったように思う。

小川は稼ぎが少なく子供に野球をさせていたが、それを辞めさせなければならなくなった。

そして会費とかいろんなことで借りていたバッドを返すということでチームメイトのところへ行くとそのバッドはバッドを買ってもらえない息子にあげたものだと言われる。

そしてお金を払ってもらう話が既に終わっていると言われ帰ろうとしたが、そこで子供のことを侮辱されてきっと溜まっていた不満が暴発する。

金属バッドが血まみれになっていたことしか覚えていないと言う。

何が悪かったの?

稼ぎが悪いことは悪なの?難しいね。言葉で攻撃する人には罪を問えず、それで耐えられなくなった人が結局は最後のトリガーをひいてしまう悲劇は結構ありそうな気がする。

殺人を肯定するつもりはないが、それでも相手を逆上させるまでのことを言うことを考えるべきだ。

若者の高宮は佐伯の話の矛盾を突く。自分がしたことの罪の重さは関係なく佐伯の言う言葉ひとつひとつ、世界で起こっていることひとつひとつに対して自分の意見を通そうとする。

佐伯はそんな高宮の質問に真摯に向き合う。

佐伯は高宮の弱者が生きててもしょうがないという考えには我慢ならないのか、かなり反論するが、高宮に「ベジタリアンなのか?」の質問に「違う」と言い、「なぜイルカは食べないのに、牛豚は食べるのか?」と言われるとつい「イルカは知能が高いから」と言ってしまう。

それって本質的に同じじゃないのかと。

生きているものは平等だと言っているのにと言われる。

高宮のような大量殺人者には自分が世界を変える要素の人が多いのか?

それでもそんなことは伝え聞こえることはなく、精神異常者ではあるが、罪は罪として罰せられる世の中だ。

そう、高宮も最初に「自分は統合失調症だ」と言っていた。

なら何をやってもいいってわけではないだろう?

知能犯というのか?一般的な「常識」が通用しない人種との対話は厳しいだろう。

ヤクザの組長の吉田の予想通り、12月の末に佐伯自身初めての刑の執行立会が決まる。

6人の誰が?

どういう基準で決まるのかわからないが、それを知ってからも死刑者と対面する佐伯。

高宮に対し、「自分は高宮さんが怖かった。なぜかと言えば高宮さんのことを知らないから」と言う。私がもし高宮の立場だったとしてマニュアル通りで接してくる佐伯に対して高宮と同じような態度を取るかもしれない。そこにある本音とかがこちらもわからないから。

でも、佐伯のこの言葉で高宮は少しだけ佐伯の言葉を受け入れる。

佐伯は高宮と寄り添っていきたいと言う。

他の死刑囚に対しても同様だが。

一番すごかったのは佐伯の兄役の少年だろう。

名前はわからないのだけど、大人になった弟大杉漣さんに兄として接しなければならない。

タメ口で兄でという関係性。

いくら役とは言ってもすごいなぁ〜って思った。

その兄から「嫌なら逃げればいい」と言われても佐伯は寄り添う気持ちを固める。

死刑執行。

立ち会うということが出来る精神力ってどれだけのことだろう?

最後に少しだけ拘置所以外のシーンがあり、妻との会話がある。

そこには受刑者にはお酒はしないと言っていたが、お酒の飲み過ぎを窘められるセリフがある。

求められる像があるのか?

最後は一人歩いてフェードアウトしていくシーンで終わる。

エンディングに音楽はない。

何か大杉漣さんそのものを見送っているそんな感じになっている。

あまりにも突然の別れで66歳でまだまだこれからいろんな作品を観せてくれると思っていただけに悲しみしかない。

そして今日から「日日是好日」も先行上映が始まった。

樹木希林さんの死も同様に悲しいが、樹木さんは自分の余命を受け止めて仕事をセーブするのではなく出られるものには全て出て逝かれただけにちょっとだけ違う感情がある。

樹木さんが残したかったものが作品に盛り込まれているような気がするから。

大杉漣さんの作品はまだこれからも出演するという雰囲気しかないから。

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【パーフェクトワールド 君といる奇跡】感想。二人でいられるだけの幸せ。

感想が難しい

どうしても障害者という役に対してどう表現していいのか、自分のボキャブラリーのなさに気づく。

現実にきっとたくさんある問題なんだろうなぁって。

泣ける。

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足の動かない演技

岩田剛典演じる鮎川樹こと先輩は杉咲花演じる川奈つぐみの高校時代の憧れの先輩。

岩田剛典、29歳で高校生役をした勇気を褒めよう!まぁキレイなお顔ですからね。。。でもさすがにキツイかなと。

あんなカッコいい先輩居ないでしょって感じ。大政絢もセーラー服で登場してた?全然気づかなかったけど。

杉咲花にピッタリの役って感じがしてしまう。

川奈はインテリアコーディネーターの普通のOL。仕事で見ていた雑誌に鮎川樹の記事があり、鮎川の会社と飲み会があるとのことで高校以来の再会を果たす。

鮎川も川奈のことにすぐに気づく。

明るくカッコいい先輩。笑顔は素敵だけど、突然目の前に車椅子に乗る姿。

固まる川奈。

それでも、憧れの先輩に出会えたことで繋がりを持とうと頑張る。

内気で気弱だった高校時代には告白さえも出来なかったことを後悔していたこともあり、少しだけ大人になった川奈は先輩と一緒に居ることを楽しむ。

二人で食事に行く。

お店の方に手助けをいただいて店内へ。

そこで先輩は川奈に説明する。

大学3年の時に自転車に乗っていて車と接触して脊椎損傷で下半身不随になったと。

そんな告白を聞いても再会出来た喜びの方が勝っていた。

わかるなぁ〜って思う部分もあるけど、現実的にはどう行動してしまるだろう?

そんなことを考えてしまいながらの鑑賞になってしまう。

鮎川の会社の先輩役のマギーから連絡があり、鮎川が入院したことを知る。

病院に駆けつける川奈。

久しぶりに再会した先輩と後輩の間柄で連絡をされてしまった鮎川はどう思っただろう?川奈は心配だから駆けつけて「手助けをしたい」オーラ満載になっているけど、何が正解かがわからない。

鮎川はコンペ作品用の絵を高熱の中仕上げようとしている。

川奈が手伝う。

打ち解ける二人。

同窓会。鮎川と二人で出席した川奈だったが、鮎川は昔の彼女の大政絢演じる美姫先輩と話す。事故の後に別れていた。美姫は「結婚することになった」と報告する。

鮎川が事故の後に美姫のことを思って別れたらしい。

が、美姫に素直になれない鮎川を見た川奈はドライブに連れ出す。

そこは美姫の結婚式の教会だった。

怒る鮎川に川奈は「美姫先輩のためにも先輩のためにもきちんと思いを伝えて」と言う。

鮎川は遠くから美姫に「おめでとう」と伝えることでスッキリし、川奈に「連れてきてありがとう」とお礼を言う。

お茶をしているところで捨て猫を見つけて飼うことにした鮎川。

また熱を出して入院した鮎川の元に母親役の財前直見が。

母親としては地元に戻って自分の近くに居て安心させて欲しいと願うが、鮎川は「自分はたくさんのことを諦めたのだから仕事はさせて欲しい」と言う。

足が動かないは目に見える症状であって、もっと怖いのは合併症などの併発なのだと言う。

痛みを感じないことの怖さなんだろうね。

そういうことを知らなかった。ちゃんと考えたらそうなんだろうけど、考えることも失礼かなと思ってしまう。

20年以上前パラグライダーをしていたことがあったが、目の前で仲の良かった方が墜落して圧迫骨折でだったのか、頚椎損傷だったのか・・・いずれにしても下半身不随になった方がいたが、数年後離婚された。

母親は息子に地元の同じ女の子が居たことを嬉しく思いながらも、親の気持ちはわかりながらも後輩だと言い張る。

川奈は自分の気持ちをしっかり伝えようと退院した鮎川の元を訪れると雨の中、猫を探している。

雨の中、傘もささずの鮎川の代わりに自分が探すと言う。

そして「自分の気持ちも知らないで勝手に決めつけないでください」とハッキリと言う。そして「好きなんです。先輩のこと。」とやっと思いを伝える。

川奈の本気を受け止める鮎川。

「好き」の押し売りなのか?受け止めなのか?

この辺が難しい。「好き」だけではどうにもこうにもって感じになっていく。

お盆休みに鮎川の車で帰省する二人。川奈の自宅近くで川奈の父親役の小市慢太郎と会うが会釈だけで去っていってしまう。

川奈の年頃に親は心配らしい。母親役が伊藤かずえ。財前直見と伊藤かずえも母親役よね。そうよね。同世代なんだから。

川奈は鮎川とお付き合いしていると両親に告げる。

そして、鮎川が車椅子に乗っていることも。

無言で部屋に行ってしまう父親とお付き合いには反対だと言う母親。

「娘の幸せを思う親」

うーん、何が幸せで何が不幸せなんだろう?それをいつまで親が決めるのだろう?

親の気持ちは「別れなさい」の現実に暗くなる川奈。それを感じる鮎川。

「一緒に居るだけで」は難しい。

障害というものは世間の壁になることなのだろうか。

川奈は自分が先輩を支えたいの気持ちを強め、ヘルパー役の芦名星の代わりを自分がすることに。

仕事をしながら毎日鮎川の元へ通いだす川奈だったが、疲労困憊になり、線路に落ちてしまい、足を怪我する。

助けられない鮎川の無念。

救急病院へは川奈の同級生役の是枝の須賀健太が一緒に居る。是枝は川奈の思いを知りながらも「恋愛って頑張るものじゃないだろ?」と言っていて鮎川にも川奈に無理させないでと言う。

須賀健太かぁ〜。茶髪で誰だろう?って思ってた。うん。

言われたらそうなんだけど?そうでもないな。

でも、是枝はずっと鮎川を見ている川奈を見てきているのよ。それってきっと是枝は川奈のことを好きなんだろうなぁ〜。

入院した川奈に寄り添う鮎川だったが、そこに川奈の両親も駆けつける。

「家族だけにしてくれないか?」と鮎川を帰らせてしまう。

後日、鮎川が病院を訪れると川奈の父親に呼び止められる。

川奈の父親は頭を下げて「娘と別れて欲しい」と言う。

それって・・・親のエゴじゃないのか?自分に負い目のある鮎川にとったら自分のために過労で倒れて助けることも出来ない無力さを感じてたところでダメ押しって感じで辛いよね。

「好き」の押し売りをしたのは娘なのに。

それを受け止めたらその親から止められるって日本的なのか?

どうして親は子供をどこまでも自分の占有物的な思考なのだろうか?

幸せと不幸せは誰がはかれるの?

鮎川の姿を見かけた川奈は自分も車椅子になったことで目線が同じことを喜ぶ。鮎川は川奈に「退院したら遊びに行こう」と伝える。

退院した川奈と鮎川は遊園地に。

よこはまコスモワールドだよね。きっと。

観覧車に乗って大切な話をするのだけど、観覧車が止まったまま?

全然動いていないことに気が散ってた私だった。

それでも、鮎川は川奈に「川奈にしてあげられることが少なすぎて辛い。別れよう」と言う。

泣くよね。

さすが「先輩のために」が上手く回らずに迷惑をかけた川奈も「いや」と言いながらもそれ以上は言えない。

別れてしまった二人。

仕事に邁進していた川奈に連絡があり、父親が脳梗塞で倒れたということで実家に戻る。

幸い軽度だったことでそんなひどい状態ではなかったらしい。

そこで高校に行ったりして先輩とのことを考える川奈。

今度はヘルパーから連絡があり鮎川が大変な手術をするという。

東京に戻りたいと両親に告げる。

父親は自分が脳梗塞をしたことで気持ちが変わったと言う。

病院に駆けつけるとヘルパーから手紙を受け取る。鮎川が渡してほしいと託していたものだ。

そこには鮎川の川奈へ対する思いが綴られていた。

いなくなって初めて気づく大切なこと。

手術は無事成功し、二人で思い出の高校の桜の木の下。

そこで「俺とずっと一緒に居て欲しい。結婚しよう」と伝える。

障害はハードルなのだろうか?

杉咲花のウェディングドレスが大人っぽかった。

岩田剛典は車椅子に乗っているとは言ってもタキシード着せたらやっぱりカッコいいわね。

岩田剛典の演技は大変だったと思う。

まず、足に力が入らない演技ってどういうことだろう?ってこと。

意識をしなくても力が入り、バランスを取ることを人間は最優先でしているからこそ、意識してそれをシャットダウンするって出来るのか?

一番最初に車椅子に乗り込むシーンで足がまるで「モノ」になった感じの演技をしていた。

自分の意思ではどうにもならないから手で持ち上げる、寄せる、位置を正しくするとか。

そして筋力がなくなるから自然、足が細くなる。

ダンサーがメインのお仕事なんだよね?パフォーマーって?

あんなに細い?ってくらい細い。

力を感じない。まぁ車椅子生活が6年って言ってたんだっけ?にしては上半身が細い感じはあったけどそれはしょうがないよね。

でも、健常者が車椅子バスケって大変じゃないかな。

結構練習されたのだろうな。

最後は結ばれたわけで良かった良かったなのかもしれないけど、いろいろ考える。

「幸せってなんだろう?」って。

純愛は純愛。泣けたし。

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【散り椿】感想。全ての出演者が自ら名前を書いたらしい

オープニングロール

最近、オープニングで主演、助演の方の名前が出ることがあるが、この映画では縦書きの名前が表示されたのだけど、「?」「手書き?」

まず「岡田准一」が出て、「西島秀俊」と出て・・・

「黒木華」が左右対象の漢字だからデジタルっぽくて・・・

でも、エンドロールは人の名前は全て手書き。

「誰が書いたのだろう・・・大変ね」って思っていたのだけど、なんか癖の統一感がない。

え、全員の「サイン?」

ってことで一番の達筆は監督の「木村大作」でした。

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時代劇だけど美しさの追求

木村大作監督作品。

79歳と言うご年齢から考えると監督と言う仕事は大変だったのだろうか?

舞台挨拶で監督が涙するのはあまり聞かない。それを見て岡田准一までもってすごい絆を感じた。

監督最初の作品「劒岳 点の記」を観に行き、「春を背負って」を観ていないことに気づいた。

そして岡田准一との共演。

最近のジャニーズは時代劇をしたがるように思う。

岡田准一は昨年は「関ヶ原」でも時代劇に出ている。

「関ヶ原」は観ていない。基本的に時代劇は武士の殺陣のシーンばかりというイメージであまり好きではない。

この映画を観に行ったのはいいが、まぁ眠気がすごくて大変だった。

とことん時代劇好きじゃないのね。

でもね、じゃあなぜ行ったのか。岡田准一が好きってわけではない。ただただ「木村大作監督作品が観たい」以上みたいな。

好きではないけど、時代劇を観ないわけではないし、「銀魂」だって殺陣のシーン満載だし。

「散り椿」は殺陣が本格的。

すごく疑問だったのが、刀で切ってもほとんど血が噴き出すシーンを観たことがなかったってことだろう。

バイオレンス系ではない。

でもリアリティを求めているように思う。

冬。雪の中のシーンでいきなり切り合う。そこでは全然血に染まるようには見えなかった。

岡田准一演じる瓜生新兵衛が4人に襲われるが4人を切る。

家では麻生久美子演じる妻の篠が切り合いをしてきたことを袖口の汚れで気づく。

ストーリーをまるでわからないまま話は進む。

故郷の藩を追われた新兵衛。篠は夫に最後の願いとして自分の代わりに自宅の「散り椿」を見ることを頼む。

そして、西島秀俊演じる榊原采女を守ってほしいと。

榊原采女はかつて篠と夫婦になると思われていた相手で新兵衛と同じく一刀流平山道場で「四天王」と呼ばれた一人だ。

藩を追われた身でありながら篠の願いを胸に藩に戻る。

まぁ関係が複雑だ。

まず一刀流平山道場で「四天王」が 岡田准一演じる瓜生新兵衛
西島秀俊演じる榊原采女
駿河太郎演じる坂下 源之進
緒形直人演じる篠原三右衛門

緒形直人がいい感じになってるわぁ〜。

駿河太郎、まだ顔が認識しきれてないから観てて「誰だっけ?」って感じだった。時代劇だしね。

扇野藩の勘定方で不正を暴こうとしたことで端を発したこと。そのことでまず坂下家の当主だった源之進が横領の罪を着せられて無実を主張するも切腹に追い込まれる。だから、駿河太郎は一瞬なんだよね。登場が。

奥田瑛二演じる石田玄蕃がくせ者。結局この藩の家老に切腹させられたわけで。

玄蕃って誰だろう・・・ってずっと思ってた。

そして奥田瑛二ってあったけどどこに居た?って。

まさか玄蕃が奥田瑛二だったとは!?

そうかぁ。そうだったか。

登場人物には驚いていたのだけど、それ以上に今の日本にまだこの景色があるのか?って思うくらい、景色が素敵。

しかもオールロケ。

富山、彦根、松代。

そっかぁその辺りだよね。

瓜生新兵衛が藩に戻る途中、坂下家の当主となった若侍の坂下 藤吾役の池松壮亮が扇野藩組頭宇野十蔵役の新井浩文と遭遇する。

藤吾は篠の弟であり、新兵衛の動向に気を遣っている。

そして篠の妹で源之進の妻里見が黒木華。

新兵衛は平山十五郎役柳楽優弥の元を尋ねる。

平山道場の道場主。四天王の一人だった新兵衛に誰も敵わない。

新兵衛は十五郎に聞きたいことがあると言う。

十五郎は知っていることを伝える。それを聞いた新兵衛は複雑だ。

新兵衛は坂下家を訪れ篠の死を伝える。

里美は新兵衛を信頼しているが故に姉の言葉をそのままに行動しようとする新兵衛に「お優しすぎます」と涙を流す。

姉の言葉の裏には新兵衛に「生きて」というメッセージがあると伝える。

扇野藩御用達の和紙問屋の田中屋惣兵衛が石橋蓮司。もうさ、どの映画を観てもこの手の役は石橋蓮司さんって感じくらい。以外に適役が浮かばないのもあるけど。

惣兵衛は新兵衛に護衛を依頼する。

惣兵衛は横領の事実を書いた書を持っていた。

それを奪われる危険があった。

その書を預かる新兵衛であったが、惣兵衛が襲われる。そして藤吾が人質に取られてしまう。

助けに行く新兵衛はその書を里美から采女に預ける。

そこには横領の事実があった。

扇野藩若殿千賀谷 政家が渡辺大。まぁわがままな若様を演じて采女の言葉を聞かずに警備が手薄だと言っているのに三右衞門に命じて出かける。そこで三右衞門が若様を守って撃たれて亡くなる。

采女は側用人としての責任を取るようにと玄蕃に迫られる。

新兵衛と采女は玄蕃との戦いへ向かう。横領を記した紙を藤吾に若殿に渡すようにと。

藤吾は十蔵に行く手を阻まれるが、新兵衛に剣術を教えてもらっていた成果か切り勝つ。

若殿は自体を把握し、馬で向かう。

その頃、戦いが始まり、采女が矢を放たれてしまう。

新兵衛着火!

まぁ血が噴き出す噴き出す。最後は新兵衛の顔は血だらけで赤鬼の形相。

首筋に刀を当てて恐怖を与えてから引くのね。そっちの方が倍怖そうだ。

結局、藩の重要な人間がいなくなってしまったが、藤吾筆頭に藩を立て直すことになる。

藤吾は榊原家に養子として入り、芳根京子演じる篠原美鈴と結婚して跡取りを作って坂下家、榊原家を絶やさないようにと言われる。

大変な時代だ。

新兵衛は篠を弔いまた藩を後にする。

時代背景がわからないと登場人物の関係も「?」のままだ。

でも音楽、景色の入り方が普通の時代劇とは違う。

庭のちょっと薄暗い雰囲気と大自然の広がりを感じる部分がとてもいい。

もう79歳?まだ79歳?

まだまだ木村大作監督作品が観てみたいと思う。

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