去年のクリスマスイブ
今日は佐藤名人と金井六段の対局。
去年はデビュー戦を最年長棋士の加藤九段に挑むことになった藤井四段。
そんなニュースはあったのだろうか?一般人には興味の外にあることだった。
感謝している
藤井四段にとても感謝している。
今この瞬間も将棋チャンネルをつけている。
自分でも驚くくらい将棋を観ることにはまっている。
まだまだ自分の好きな棋士に限るな見方ではあるが、それでも過去の放送などを見ているととても興味深い。
自分の頭だけでただずーっと座っている仕事。
しかもほとんどの棋士が幼少には自分の道を決めている。
それはすごいことだと思う。
しかも小さい頃から悔しさに向き合っていく。
藤井四段の悔しがり方のすごさが話題になるが、小学生の低学年でそこまで悔しいと思うことに向き合える人生ってすごいなと思う。
昨日の対深浦九段戦。
久しぶりに心の中で咆号している藤井四段を観られたのではないだろうか。
号泣していたとしている記事が多い中で、藤井四段の小さい頃を知る人は「あれは咆号だ」と言う記事があった。
あまりにも悔しさが湧き上がってきていたのではないかと。
昨日の藤井四段。プロとして勝っても負けてもすぐに感想を求められる。
この1年で10敗。
54戦して10敗しかしていない。
44回は相手が思っていたことだろうが、藤井四段は10回で留めた。
負けたときの自分をどうしていいのかまだわからない部分もあるのではないだろうか。
昨日の対局。
藤井四段は「自分が指し違えた」ことの敗局としていたが、本当にそうなんだろうか?
私はすべてが深浦九段の作戦の中で行われていたのだと思う。
序盤、深浦九段は定跡にない手をかなり指し、藤井四段を惑わせていた。
ギリギリのところで藤井四段が優勢を保てるような感じで。
それには藤井四段は時間を使う。
深浦九段と1時間の持ち時間の差がつく。
途中、千日手になりそうな推測もあったが、藤井四段は気づいていない。
100手当たりまでは藤井四段が若干優勢。
それでも解説の中村王座も評価値に対して微妙な反応。
そして、明らかに中村王座も言葉を失う悪手。
それでもまた優勢を盛り返したあたりは良かったのだろうけど、それも深浦九段の策略なんではないだろうかと思う。
将棋素人は指し手を観ても何もわからない。
それでも「なんでここに打たないのだろう?」とかは思う。
中村王座の解説はわかりやすく、「ここにこうするとこうなってしまうから・・・」素人でも納得できた。
A級棋士との対局。
夏の豊島八段との対局は子供と大人くらいの違いを棋譜からも感じた。
先手で優勢でスタートしたのに、そうそうに千日手に持ち込まれて、素人としては「なんでそこで千日手に応じちゃうの?」な感じのままやり直し局であっという間に終わり。
その後は上位棋士は菅井王位との対局も一方的な感じ。
そこからC級2組棋士に負けが続き、もっと負けが続くと思っていたら、9月のNHK杯の森内九段との対局で勝ったことでまた連勝に進む。
まぁ取りこぼしもある。
他の棋士より少ないのかもしれないのだろうけど。
今月の久保王将との非公式戦、屋敷九段、松尾八段の勝利で自信がついてしまったところの昨日の対局だったのだろうか。
「負けました」を言うまでの心の準備。
脇息にもたれ掛かるなんてことは今までも観たことがない。
そのくらいの心の葛藤。
「負けました」
その後の無言の時間。
深浦九段も言葉を失くしていた感じだった。そのくらい死闘だったんだろうな。
それでも客観的にみたらやっぱりレベルが違うと思う。
その相手に本気で勝とうとしていた藤井四段。
私は深浦九段のこの粘りの将棋と練習している弟子の佐々木大地四段が怖いわ。
この粘りに若さの研究が入ってきたらやっぱり怖い存在だと思う。
深浦九段がA級にずっと在籍している強さを感じた。
豊島八段の強さと違うねちっこい、相手に間違えさせるような手筋にしていくような。
でも、本戦に出たから戦える相手なわけでデビュー1年で多くの上位棋士と対局できたことはすごいことなんだろうなと思う。
今年最後が28日の王座戦の1次予選の豊川七段。
私が最初に覚えたおじさん。ダジャレすごすぎってことで。
昨日の最後に全員が並んだところで藤井四段がすごい身長が伸びたことを感じた。
中村王座よりはまだ低かったけど、まだ成長しているを感じた。
表情も。
29連勝の頃のあどけなさがなくなって、大人の顔になってきた。
藤井四段が連勝せずにいたら私が将棋を観ることはなかった。
将棋を知ることはなかった。
だから感謝しかない。
来年も楽しませてほしい。