歴史的な背景はまるで知らない
第二次世界大戦の最中の1940年5月に起こった出来事。
去年の「ダンケルク」を観ていたらもう少しわかったのかもしれないけど、アカデミー賞が関わってなかったら絶対に観に行かなかっただろう作品。
誰の大義で戦争は起こるのだろう
第二次世界大戦。日本はドイツと同盟関係であり、戦争を起している国と降伏する国という縮図においてはイギリスとは別の立場だ。
ただ、日本とイギリスの共通点は国王と天皇陛下という国家の象徴の元に首相がいる。
大英帝国時代からの国王の権力というものはかなりあったのだろうか?
日本でも戦争責任というものに対しての天皇陛下のお立場というものはあったと思うが、あくまでもそれは形式的であるとして戦争責任はなかったのだと習ったのだと思うのだが。
1940年5月のイギリスの国会ではチェンバレン首相が退陣し、新しい首相としてチャーチルとハリファックス子爵を候補とした。
が、ハリファックス子爵は「貴族院議員の私が首相になるのは望ましくないでしょう」と言いチャーチルになった。
しかし、ハリフォックスは組閣の一員として残る。
国王はチャーチルの首相就任は本来は反対であったようだ。ハリフォックスとは友人だと認めている。
就任式というものはなく、バッキンガム宮殿を訪れ、「直ちに組閣せよ」との大命により首相の就任となって、手の甲にキスをするのが慣わしなのか?
すぐに背中で手をぬぐう国王ジョージ6世。週に1度の面会も設定される。
チャーチルという人物。
興味はゲイリー・オールドマンの面影漂うチャーチル首相が居るということ。
顔とかアップでもシワ、毛穴、すべてが素晴らしい。辻一弘さんがクローズアップされなかったら、やっぱり行かなかったかもしれないのだけど。
戦争に大義も名分も何もないと思っているから。
しかも歴史を知らないのでほんとただつまらない時間になってしまうことが多い。
当時のチャーチル首相の秘書のミス・レイトンはほんと大変だっただろう。
タイプライターってすごいのね。とただただ関心。
滑舌の悪い首相の言葉をタイピングするとしても初日はチャーチルに癇癪を落とされ、辞めようとする。そこに奥さんが来てチャーチルを叱る。
チャーチルという人にこの奥さんが居たからきっと大成したのだと感じた。
とても偉大な女性だ。
ミス・レイトンは屋敷から出る際に電報を受け取ってしまう。それが「バッキンガム宮殿」からのものだった。
ミス・レイトンはそのまま秘書として活躍していく。
1940年は日本だとまだ戦争の気配はなかったような。
日本の第二次世界大戦は1941年からってことだからその前辺りにヨーロッパは次々とドイツの侵攻に屈していた。
同盟国のためにイギリス軍も参加していたのだろうが、戦況は最悪だ。
そしてベルギー、オランダが降伏し、ダンケルクが包囲されてしまう。
フランスも降伏の意思を示すが、チャーチルの言葉で引き伸ばされる。
ダンケルクに追い詰められた兵30万のためにカレーを犠牲にする決断をする。
カレーに電報をうつ。「救助はない」と。絶望のカレーの准将。
そこにドイツの空爆があり全滅する。
ダンケルクを救うためにチャーチルは小型のボートなどの徴収を命令する。
800隻が集まる。
戦況はいよいよ次はイギリス本土へと向かっている。
フォックスはイタリアムッソリーニを仲介に和平工作を行う。
チャーチルは就任以来、「平和」「降伏」と言ったことは言わない。
本土は安全だが、防御体勢は無に等しい。その状況でどう戦うのか。不安になる。
和平工作を受け入れることが使命なのかと悩むチャーチル。
強硬路線を崩したくないが、周囲の賛同を得られないジレンマに悩む。
そこへ突然、国王が自宅を訪れる。
ハリフォックスと話し、イタリアからの提案を聞いた後の訪問。
我々が助かる道がある。
ただ、国王は言う。
「私は、君を支持する」
国王は、「ヒットラーは君を恐れている。そんな君を支持する」と。
突然の告白に驚くチャーチル。国王から嫌われていると思い、他の人からも嫌われているとの思い。自分の進むべき道を悩んでいたときの国王の後押し。
国王はさらに「国民の声を聞いて寄り添ってほしい」と注文する。
バスにも電車にも乗ったことがないチャーチル。翌日閣議に行くところで突然車から降りて消えてしまう。
チャーチルは地下鉄で1駅分電車に乗っていた。
首相の顔って・・・あぁ新聞とかには載るからか。電車に乗り込んでいた首相に驚く市民。
首相は乗客一人ひとりと話していく。彼らは自己紹介をする。
そして、首相は悩みを打ち明ける。
「何もしないで降伏すべきか。最後の最後まで戦うべきか。」
降伏に対し、市民の考えは「NEVER」
大英帝国という長い歴史で屈したことのない国民の感情なんだろう。
その言葉を受け止めて首相は国会の前に大臣にまず同じことを問う。
そしてもし、ナチスに屈したら・・・自分たちはどうなるのだ?と。
大臣たちの考えも「NEVER」
そして戦争内閣にも同じことを語り、和平交渉は白紙となる。
国会ではチャーチルの言葉に全員が賛同する。
そして言葉を武器にしたイギリスが同盟国と戦い本土上陸を阻止し、ドイツを降伏へと誘ったわけで。
まぁこの映画はわずか3週間の話し。
その半年後にチェンバレンが死去し、大戦の終わる前にはチャーチルも退陣している。
歴史的にみたらこの1ヶ月のことはほんと奇跡に近いものだったのだろう。
彼の勇気がなかったら。イギリス国民の勇気がなかったら、今の世界はどうなっていたのだろう。
ナチス・ドイツが全世界を制服していたかもしれない。
それはたらればの話ではあるが、チャーチルの勇気でイギリスが守られたことは事実だ。
日本は加害国だから様相が違うし、チャーチルの行動が必ずしも正しいとは思えない。戦争を長引かせたとも言えるし、犠牲が多すぎる。
自分たちだけ助かる理論でもある。本土上陸をさせないでヨーロッパの同盟国を舞台にドイツを降伏させた形なんだよね?結局。
まぁ戦争なんて誰得?なことでしかない。
いつの時代も。
これから先、このようなことが起こらないことを祈るだけだ。
辻さんの作品はとても素晴らしかった。
上半身は手を入れたのだろうか?
ただ、ちょっと血色が良すぎに見えたし、65歳という年齢と顔のシワの具合と杖を持っているわりに元気良すぎに歩いちゃうゲイリー・オールドマンに違和感を持ったことは否めない。
まぁずっと葉巻を吸ってるわ、お酒を飲んでるわ。すごい人って役ね。
チャーチルの写真を見てもこの映画に出てくるチャーチルと遜色なく、それでも目の奥にゲイリー・オールドマンを感じる。
演技ひとつひとつが重く戦時中のいろんなものを感じさせられる。
英語のヒアリングが出来たらもっと良かった。
字幕追っているのが大変だった。