【湯を沸かすほどの熱い愛】やっと観ることができた

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Amazon Primeで観られることが素敵!って感じで待ってたのだけど。。。

大きな劇場で観たかったとほんと思う。

自宅でここまで泣く映画ってすごいと思う。

日本アカデミー賞総なめの作品

第40回日本アカデミー賞の主要部門を総取りした作品ってことで知ったのだけど、公開していたことすらも知らなかった。

2016年10月29日公開ってことだけど、新宿バルト9系ってことはよほどテレビとか見てないと情報を得られなかったし、その頃・・・忙しかった?

ってことで、公開からもう2年弱って感じの作品。

力があるわ。

宮沢りえが主演ってだけでも期待はあるし、杉咲花も着実に存在感がある女優さんになってきている。

10代はぐっさんとの麻婆茄子のCMの印象が一番強い感じだったけど、最近は朝ドラから始まって映画でもいい役がついている印象がある。

話はかなりショッキングだと思う。

銭湯の表には「蒸発して休業」って貼り紙があるし、残された宮沢りえ演じる母ちゃんの双葉と娘の安澄役の杉咲花の母子関係も難しい。

安澄は学校でいじめられている。

が、双葉は甘やかさない。

学校を休みたいという安澄に双葉は帰りに学校の近くで買い物をして帰ってくるようにと言う。

高校生のいじめは陰湿だ。

美術の時間の終わりに絵の具を全部出されて点けられたのは一目瞭然なのに、「自分でやった」と言う本人。それに対して教師も何も対応するわけでもない。

双葉もいじめられている我が子を知ってはいるが、「明日も学校行くよ」とけしかける。

逃げ場所がない安澄。

私には理解が出来ない。なぜ?そこまで追い詰めてしまう?

双葉には双葉の想いがあるのだろうけど、いじめられている方としたら、意味もわからずにいじめられているわけで。

子供はなぜいじめられていても「いじめられている」とは言わないのだろう?

そこが実は私には理解できない。

言っても言わなくてもいじめられるのは同じだ。それでも自分を守るためにアラートをあげることで状況は何か変わるかもしれない。

それもしない人間をきっともっといじめるのが世の常じゃないのだろうか?

双葉は絵の具で汚れた制服を夜中までかかってアイロンをかけて嫌がる娘を送り出す。

双葉はそのためもあるのだろう、バイト先で倒れる。

病院で検査を受けた結果は「末期がん」

自覚症状があったとしても蒸発していなくなった夫に代わらなければと思うのが女性なのか?

なぜそこまで強くなるのだろう?って思ってしまう。

双葉は自分が長くないことを知り、まずは蒸発した夫探しを探偵に依頼する。

探偵役って・・・あぁ駿河太郎か。まだまだ顔と名前が一致しないけど、そろそろ名脇役の一人になりそうな気配はある。

二世感がまるでないし。

探偵は夫をすぐに探し出し、情報を提供する。探偵は一人娘の真由を連れている。真由の母親は真由を出産したときに亡くなってしまったらしい。

そんな真由にも愛情を注ぐ母ちゃん。

ストーリー知らないからこの二人が結ばれるのかと思ったわ。

話はそうではなくて、夫は小学生くらいの女の子と二人で暮らしているという情報を得て、夫が住んでいるという隣町へ行く。

夫役がオダギリジョー。なんか久しぶりに観た。オダギリジョー世代っていっぱいいるから大変だろうな。

夫は鮎子という少女と住んでいた。ある日昔浮気した女性が現れて鮎子を「あなたの子」だと言い、一緒に住むことになったが、鮎子を残して母親が居なくなってしまったという。

まぁ身勝手な大人に振り回される子供がほんと気の毒だ。

父と鮎子は銭湯に戻り、営業を再開することになる。

何も知らない鮎子に対して最初冷たい。

鮎子は母に捨てられたことはわかっているが、どうしていいのかわからない。

銭湯の手伝いを一生懸命しているが、番頭から小銭を盗んでいることを見られてしまう。

ある日居なくなった鮎子。

鮎子の誕生日だった。

鮎子は元のアパートのドアの前で座っていた。母ちゃんと安澄はそんな鮎子を迎えに行く。

翌朝、食卓には「しゃぶしゃぶ」が。何かあったら「しゃぶしゃぶ」がルール。

鮎子の誕生日だからなんだけど説明しない。

鮎子は「これから一生懸命お手伝いするからここに居させてください。でもママのことも好きでいさせてください」と言う。

健気過ぎだよ。

泣くわ〜。

安澄は学校で体育の時間に今度は制服を隠される。

体育の時間じゃないのに体操着の安澄に教師まで「制服に着替えろ」と言う。

馬鹿なんじゃないか?気遣いのない教師が多いってことなんだろうな。

こういう態度の教師がもっといじめられている生徒を追い込んでいるようにしか思えない。

翌朝、やっぱり学校へ行かないという安澄に双葉は許さない。

必死に抵抗する安澄。

父は「新しい制服買うか?」と言うが、双葉は許さない。

双葉も安澄の抵抗に必死で向かう。それが通じたのか安澄は学校へ体操着を着て登校する。

それを咎める生徒に突然下着だけになる安澄。安澄の覚悟が出た瞬間だ。

双葉が「何かの時に」と贈った上下ペアの下着。

こういう意味だったのか?って感じだけど。グラビアアイドルでもない杉咲花が下着だけになるってすごい勇気だっただろうな。それでもこの演技もあっての助演女優賞だな。

極度の緊張で飲んでいた牛乳を吐く安澄。保健室で寝ていると制服が保健室のところに戻される。

いじめに勝ったってことになるのだろう。

双葉は次に女3人で旅行に行くことにする。

鮎子が嬉しそうに父に報告する。本当に嬉しそうだ。

赤のレンタカーに乗って箱根に行き、タカアシガニを食べに行くコースだという。

毎年タカアシガニが届く。それに返事を書くのが安澄の役目だった。

それと関係があるのか?

安澄はあまり気にしてなかった。

途中のPAで停車するとそこにヒッチハイカーの拓海役の松坂桃李が乗せてくれないかと言う。

あまりの必死さに同乗させるが、双葉は拓海の嘘に気づいていた。

娘が寝たことを確認して本当のことを聞き出す双葉。拓海は自分の身の上の不幸を笠に着て自由に目的も持たない旅をしていた。

「時間は腐るほどある」という拓海。

もう時間のない双葉はその言葉に「あなたなんて乗せなきゃ良かった。あなたの腐った時間に付き合うなんて」と言う。

本音で怒られた拓海は次のPAで車を降りることに。

双葉はそんな拓海をハグし、「ここから最北端を目指しなさい」と目標を定める。

拓海は目標を達成したらまた会いに行っていいかと聞くと「早めにね」と返す。

拓海は安澄と鮎子に「あんないい人がお母さんでいいね」と何気ない一言。鮎子の表情が曇る。

この出会いは必要だったのか?

松坂桃李がこんなちょっとだけの役?って感じが否めない。

出ていることも知らなかったんだけど。

拓海のいなくなった車は元々の目的地へと行くが、双葉の具合は徐々に悪くなっていく。

タカアシガニを伊豆半島の戸田のドライブインで食べている3人。

戸田だよね。きっと。

はめ込み?ってくらいの富士山が見えている。

食べ終わり子どもたちに先に行ってなさいと言う双葉。精算する双葉。突然お店の女性の頬を叩く。

何が〜!!!

お店の女性は言葉が不自由だった。安澄は手話ができるようだった。

なぜ?

車に戻ると双葉は安澄に言う。

「私は再婚で父親とは15年前に出会った」のだと。

計算が合わないことに気づく安澄。安澄は自分が産んだ子ではないと告げる。

安澄を産んだ女性は先程のお店の人でその人が毎年タカアシガニを送ってきていることを告げる。

双葉は「安澄はこれからあの人に挨拶してきなさい」と言う。夕方迎えに来るからと。

残された安澄の元に酒巻君江が近寄ってくる。タカアシガニを送ってきている人。

そして君江もやっと安澄のことを認識する。そして手話で語りだす安澄に「どうして?」と言うと安澄は「母が将来役に立つから」と習わされたと。

全てが他人を思っての行動。

手話で盛り上がる二人。

鮎子が安澄を呼びに行き戻ると双葉が倒れていた。

隠しきれない病気。

そこからは地元の病院へ入院生活になる。

安澄と鮎子は一緒にお見舞いに行く。鮎子は双葉のベッドに一緒に寝ていたりする。

幸せの形が様々だ。

どこにも血の繋がりがないが、母ちゃんで結ばれた娘二人。

君江はそれからちょくちょく銭湯へ来るようになる。

拓海も最北端から戻り、住み込みで働くことに。

人が集まったことで父はみんなに頭を下げてお願いをする。

それは・・・

双葉の願いは「エジプトに連れて行って」ではあったが、それが叶わないために人間ピラミッドを作って安心させようとした。

そこにはなぜか探偵の姿も。

最後を悟った安澄は泣いてはいけないと涙を堪えて笑顔を作って母ちゃんに向く。

息を引き取った双葉。

銭湯の浴槽でお葬式。富士山の絵がとてもいい感じ。

そして出棺。

そこにはなぜか探偵が運転する霊柩車。今風じゃない霊柩車でしょ。

そこで探偵は真由にやっと天国へ行くことに意味を伝えることができる。

そして彼らはなぜか火葬場ではなくその場をウロウロしているだけだ。

たぶん彼らは自分たちで火葬したんだろうな。ってことなんだよね?

そのお湯に入る家族。

母ちゃんの愛で繋がれた人々。

大泣きでした。

映画館で観たかった作品だわ。やっぱり。

だんだんやせ細る感じがすごく鬼気迫っていた感じで。

本気でぶつかる杉咲花もすごかった。

あぁすごい絆を感じるなぁって思ったわ。

観られて良かった。