キャスティングの妙
綾野剛演じた横山は綾野剛でなくても成立したような気がする。
彼はなんか悪者みたいな声を張る役が多いけど、MIU404の時のような飄々とした感じの方が好きだな。
でも、堂本剛演じた沢田は剛じゃなきゃダメだっただろうなって気がした。あ、でも、香取慎吾でも空気感は似ている気がしたんだよね。
27年ぶりの主演映画ってことだけど、剛って45になったんだね。光一よりはちゃんと年齢を重ねていて良き。光一はまだアイドルができるくらいに保っちゃってる気がするんだよね。
怪しさと納得と
沢田は吉田鋼太郎演じる秋元のアシスタントをしている。
そこには吉岡里帆演じる矢島と戸塚純喜演じる田中が同じくアシスタントをしている。
沢田は作業としてアシスタント業を淡々とこなすが、矢島と田中は不満を口にする。
田中は入ったばかりだけど、思っていたのと違うと言うが、大学院卒だからコンビニとかでも働けないという。
うん。真理だね。
そして、矢島は沢田に才能ありとみて、「このままでいいのか」と問い詰める。が、沢田の回答は「法隆寺は聖徳太子が建てたと思っているが、大工が建てた」と真理だね〜。
世の中なんてそんなものでしょ。誰かの人気に便乗して仕事が発生して。いや、会社って形態そのものがそういうものだ。それが嫌なら自分で起業するだけだろうって思うし、美術家なんだったら、世間に認めされたらいいわけで。
まぁ文句も言わずにアシスタントをこなしていたはずの沢田はなぜか文句を言っていることになり、怪我をして即解雇になる。まぁ大体そんな感じだね。世の中って。
そして、沢田はただアリの行動を変えたかっただけなのか?円を描く。と言っても、キャンパスってあんな感じになっているのねって感じで巻かれているサイズで描く。
それを小道具屋に持ち込むのだけど、その店主が片桐はいりだったことに気づかず・・・誰だろう?って思ってて、エンドロールに片桐はいりの名前を見たけど、「え?どこにいた?」状態だった・・・。ほとんど声張ってなかったよね?
そこからなぜか沢田は勝手に翻弄されていく。
まぁ時代なんて怪しげなアートディレクターに見出されるかどうかで決まるんだね。きっと。
沢田も自分の描いたものが勝手に世の中で高値がついていくことに何かあったんだよね?きっと。飾ってあった画廊に行き、小林聡美演じる画廊のオーナーの若草に自分が沢田だと告げて、契約を結ぶ。
早乙女太一演じる土屋が怪しげなアートディレクターで画廊のオーナーが小林聡美で。アート業界って怪しいわ。
隣人が綾野剛演じる横山なんだけど、壁が薄くて怒鳴り声が響いてて、しまいには横山に壁を蹴って穴を開けられて・・・いや〜怖いわ。
横山はずっと名乗ってなくて、最後の最後に・・・うまい方法だわね。
あ、円を描くきっかけってやっぱり怪しい「先生」役の柄本明なのかな。この年齢の俳優さんが最早柄本さんしか残ってないんじゃないかってくらいご出演されているし、存在感を残している。
アシスタントをクビになった沢田は森崎ウィン演じるモーが働くコンビニで働く。モーもかなり良いことを言う。
昨今の日本なんてコンビニ行ったら日本人より海外のスタッフの方が多いんじゃないかって感じなのに、そのイントネーションをイジるバカって居るのかな?
日本語をマスターしているのってすごいことなんだけど。ミャンマー語話せるのか?って言いたいよ。
森崎ウィンはミャンマー出身ってことでとても上手にカタコト日本語を話しててすごいなって思ったわ。
矢島はアシスタントをどうしたのかは知らないが、アシスタントの仕事を富裕層による搾取だと言い出し、演説を始め、沢田の個展で作品を台無しにする。
うーん。ただの嫉妬だよね?自分の才能のなさ、運のなさに対する。
まぁそんな感じで現代社会のあるあるが散りばめられた作品だなと。若い頃はそんな感じになるよねって感じで見てたかな。
でも、堂本剛自身が醸し出す間とかがとても沢田という人物とマッチしていて違和感ががなくて本当に良かったんだよね。
沢田自体はほんと何を考えているのかよく掴めない感じなんだけど、でも、マイナスな感じでもない思考が良いなぁって。
舞台挨拶付きだったのだけど、堂本剛ってこんな感じだったっけ?ってくらい久しぶりのトークを聴いた気がした。