予告の段階で・・・
「あなたの優しさには容赦がありませんでした」
過去と現在。
松坂桃李演じる亮介が悲しい。
吉高由里子演じる美紗子は・・・
吉高由里子の哀しみが切ない
亮介は父親の部屋で偶然1冊のノートを見つけてしまう。
そこには「ユリゴコロ」と書かれた殺人鬼の告白が書かれたものだった。
その内容にのめりこむ亮介。
婚約者だと思っていた千絵が突然目の前からいなくなる。
そのことが物語を複雑にしていく。
亮介の読んでいるノートは美紗子が書いたものだった。
美紗子は「ユリゴコロ」が足りない幼少期を過ごし、人が死ぬことが「ユリゴコロ」となってしまう。
美紗子の幼少期をやった子役の子が一番エライと思うよ。
大人でも嫌がりそうな虫を殺すことから始めるわけで。
中学時代の清原果耶は雰囲気のある役になっていた。
中学時代の「ユリゴコロ」
通りすがりで子供が帽子を拾うところを助けようとしている大学生に手を貸したようで本当は子供を殺すようにしむける。
そこから料理専門学校での佐津川愛美演じるみつ子との出会い。
みつ子はリストカットに喜びを感じていた。最後にはみつ子を殺してしまう。
罪にならずに大人になる美紗子。
そのうち娼婦となり街でお金を得る。
大人になってもユリゴコロは消えない。
ラーメン屋さんの店員や昔の職場の同僚といった形で殺害していく。
そんな時に松山ケンイチ演じる洋介と出会う。
洋介は美紗子にお金を渡すだけ。
ラーメンを食べさせるだけ。
自分は・・・罪滅ぼしをしているだけだと言う。
その罪とは。
美紗子がしむけた子供殺害の時の大学生だった。
洋介は小学校の教師になりたかったのに子供を殺してしまったことで、執行猶予付きの判決を受ける。
そして罪の意識から欲を欲することが出来ずにいた。
罪を感じないでユリゴコロしかなかった美紗子にも変化が生じる。
娼婦の頃に誰の子かわからない子供を授かっていた。
洋介は性的不能な自分だけど子供がいるのだったら結婚して育てようと言う。
二人は結婚する。
結婚したことで美紗子のユリゴコロは抜けていく。
しかし幸せは長続きしない。
そこに同僚殺害を知っている元の職場へ出入りしていた人間が押しかけてくる。
その男を洋介の持っていた青酸カリで殺害する美紗子。
警察が事情を聞きに来る。
そのことで二人の関係にズレが生じる。
洋介は嘘をつかずに正直話して欲しいという。
そのことで美紗子はこのノートを書くことになる。
美紗子は自殺をはかるが、失敗する。
失敗した後でノートを読むことになる洋介。
洋介は苦悩する。
自分をどん底に落とした本人こそが美紗子であり、どん底だったから美紗子と出会えたことに。
亮介は洋介の不在をみつけてはこのノートを読んでしまう。
自分の中のユリゴコロを感じながら。
千絵の友人と名乗る木村多江演じる細谷。
細谷は千絵が実はやくざと結婚していてひどい目にあってたところを亮介と出会ったということをつかむ。
亮介の中で大きくなる千絵への思いとやくざへの殺害心。
亮介は自分の中で気持ちが抑えきれなくなっていく。
細谷は千絵の居場所を告げる。
その場所へ行くとすでにやくざが殺害されていた。
その現場にある「ひっつきむし」
それを見て亮介はある可能性を感じる。
「母親は生きているんじゃないか」
母親は川でなくなったと聞かされていた亮介だったが、その頃には自分の母親が美紗子で自分にも殺人鬼の血が流れていることを知っている。
洋介から聞いた母親は結局は生きていた。
千絵から聞いた名前。「みつ子」
細谷が母親であることに気づく亮介だった。
亮介は母親を殺そうとするが、出来ない。
ユリゴコロは引き継がれているわけではない。
松山ケンイチが洋介の最後までやってたのかしら?
そうしたらすごいわ。
誰だかわからなかったもの。
松坂桃李の演技も鬼気迫るものを感じた。
久しぶりに観たのだけど、陰の部分に怖さを感じた。
吉高由里子は・・・キレイだけど怖さを感じる目に怖さがあった。
すべてに怖さと切なさがある。
途中の歩道橋のシーンで青看板に知ってる地名が・・・
「あ、群馬なんだ」
前橋フィルムがエンドロールにあった。
きっとこのユリゴコロを持ってる人間が少なからず存在する。
彼らは自分の生き場所がわからずにいるのだろう。
そこに他人の死というものが入り込んでしまうことがきっとあるのだろう。
そんな事件がたまにある。
それを感じさせるテーマだと思う。
それでも大人になる。
そのまま大人になるわけではない。
大人になれば自制が少しはきくのだろう。
幼少期の殺意は自制がきかない。