その場では気づけないこと
この映画は難しい。
上映前に主演二人と監督の特別対談もあってその時の言葉にヒントがあるが、観ている時には気づけない。
唐突な感じのエンドロール。
部屋に帰ってきて、やっとつながったかも。
荒木監督脚本作品
第1回木下グループ新人監督賞の準グランプリを受賞した作品ってことで完全オリジナル。
初長編作品ってことだけど、いろいろ考えさせられる内容だったと思う。
今の世の中への人々がなんとなくしか感じてない事実。
SNS時代のフォロー数という数。
投稿数という数。
誰が?何のために?なことが多いが、普段そんなことを気にしては居ない。
中村倫也演じる・・・誰?
ちょっとの間だけ青山哲也という男だが、その名前が呼ばれることはない。
借金取りに追われて自分は生きててもしょうがないと思った瞬間、見ず知らずの人間に助けられ、施設に入れられる。
そこは、何も感がなければ「居場所」が与えられて、「衣食住」が提供され、男女の行為も制約がない。
ここを「居心地がよい」と思うか「ここには居たくない」と思うか。
ある意味、宗教団体と変わらない。
何も考えず、ただその団体のために動くコマになる。
ただ、ここは「政治」も絡んできている。戸籍がなくなり、戻れない。
何かを埋め込まれ、脱走ができない。すごい方法だわ。ある意味。
私は石橋静河をずっと妹の方だと思っていたが、逆だった。
妹の立花恵理のスタイルが良すぎる。あぁ「ニッポンノワール」に出てた人だわね。ビキニ姿でずっといたわけだけど、余計なお肉がないわけで。
あくまでもフィクションだろうけど、本当にあったら?
あるのかもしれない。
情報操作の数の倫理を誰かが操作して実社会で居場所がなくなった人に役割を与える。
選挙も当人の選挙権はないが、他の同類の人の選挙権で支持された人に投票する。
実社会では選挙にも行かないようなのであれば人ごと売買するのもありなのかもしれない。
いずれも訳ありが集まる施設に妹の捜索のために入り込む姉。
が、妹は姉の行動を喜べない。そりゃあそうだ。自分のためにそんな場所に来るなんてどうかしているわ。
しかも姉は妹のために自己犠牲をいとわないようにしつけられているのかね。
妹は一番助けてほしい時には何もしてもらえなかったし、今更逃げられるわけないし、実社会に「安心」があるわけでもないのであればなぜ逃げなきゃいけないのかわかんないわ。
妹に行為を持っていると思っていた青山が馴染もうとしない姉を心配しだし、なんか訳のわからない行動に出たわけで。
最後もはっきりとしたことはいろんな解釈があるのだろうけど、「居場所がない」と言っていた人間が「居場所を作りたい」と願ったことでそれが叶ったということなのか?
それでも荒木監督の感性は面白いと思った。
中村倫也も、こういう優柔不断的な男性役がはまり役だわね。