【映画 夜明けのすべて】多くの人が他人の障害に寛容な社会であって欲しい

朝ドラの二人

「カムカムエブリィバディ」が終わってもう2年も経つ。その最初の場面で夫婦役だった二人が映画初共演ということで、作品の内容はあまり良く知らないままに観に行った。 三宅監督がラジオに出演されて、それを聴き流していたのだけど。 10年前は「まれ」で共演した二人がしばらく映画でも共演する状態が続いたけど、今回の作品はそういう感じではないな。

同じ女性ではあるけど

男性監督が積極的に「生理」という題材を取り上げるのはとても良い傾向のように思う。私の時代は男子には「生理」については伝えない社会だったように思う。それが良かったとは思えない。知らないから余計知りたいと思うし、勝手に妄想が膨らんで女子を揶揄うといった行動もあったのだと思う。

よく生理前はイライラすると文字で見るけど、自分はそういう感じはあまり感じなかった。ただ、生理自体は誰にも相談できずにずっと悩んでいたと思う。

今回の上白石萌音演じる藤沢さんのPMS(月経前症候群)のような人は私の過去の周囲には居なかった。だから、あそこまでの状態になってしまう人がいるのか!?とかなり衝撃を受けた。

いきなり人が変わったように押さえ込んでいた気持ちが爆発する。

まぁ自分も怒るときっとそんな感じにはなるのだろうけど、誰でも彼でもってわけではない。彼女は、日常では大人しいと思われるタイプの女性だから、知らない人はかなりビビるレベルで驚くと思う。

入社したばかりのまだ人間関係も出来てない状況で不安とストレスがかかる場面で抑えきれずに爆発する。同僚に居たら、どうする?と思う。私はきっと関わらないようにしてしまうかもしれない。もう他人に対して干渉するような部分はなくなってきてしまったから。

彼女が転職した先は、そんな他人の弱さをみんなで少しずつ補うような会社。

そこには松村北斗演じる山添くんがやる気なさげに働いている。

山添くんがある時、炭酸のキャップを外すと、いきなり藤沢さんにキレられる。

PMSの彼女には何かきっかけがあれば、それまで積もっていた鬱積が噴き出すようになってしまっているのだろう。

それでも、彼ら以外の存在が彼らを見守る。

当事者だけにしないことが大切だということを教えてくれている。

零細企業だからできることなのかもしれない。社長が自分の弟と作った会社。大きくするとかではなく、弟の夢を叶えようとしていたのか?そんな弟が突然いなくなり、社長にも穴が空いている状態。

山添くんは突然パニック障害になったことで、この会社に転職していた。

パニック障害の山添くんとPMSの藤沢さんは互いに干渉しすぎることなく、補い合う関係になっていく。

山添くんは藤沢さんの発作が出る兆候を感じて彼女の発作が出ないように自然に接する。そうすることで彼女もストレスを感じないことで発作が抑えられる。

抑えるという表現が正しいのか?

パニック障害の山添くんは早期で元の会社への復帰を目指すが障害は思うようにコントロールが出来ないわけで。

パニック障害で引きこもりになっている人がどのくらいいるのだろう?

社会はそこまで寛容になれてはいないし、自分が知らないことを知ろうと思わない人が大多数だろう。私もかなり軽度ではあるけど、パニックを起こすと過呼吸になる。

まぁ過呼吸がひどくならない程度に落ち着けるようになってきたけど。

五体満足なんて表現は不適切なんじゃないかと思うけど、一人で生きることが仕事ができることができる状態でいられることは奇跡なのではないだろうかと思う。

何かが少し違っただけで生きづらいものを抱えていた可能性もあるわけで。

まぁ自分にもHSPだなってところはあるけど、今はそれを認識して対処してどうにかなるし。PMS、パニック障害はほんの少しの症状だろうけど、世の中にはもっと目に見えない症状で苦しんでいる人がいるということを知っておきたいと思った。